姉の様子が、おかしいです。

桃次郎

文字の大きさ
上 下
146 / 172

146  久しぶりの我が家

しおりを挟む
「おかえり。」

「アリス、おかえりなさい。」

「おかえりなさい。姉上。」


アリスは、家族に玄関で、出迎えられた。

あれから、何事も起きずに順調に邸に帰ってきた。

ジークは、自宅へと帰って行った。

今日はのんびりと、我が家で過ごせそうだ。とアリスは思った。


「お嬢様、おかえりなさいませ。」

アンナがアリスの荷物を受け取る。

「湯あみの準備をいたしますね。」

「ありがとう。アンナ。」

アリスとアンナが、アリスの部屋へと向かう。

アリスが、部屋のドアを開け部屋の中へと入る。

アンナがアリスの後ろで、ニヤリと笑った。

「ちょっと、アンナ!これは、どうしたの?」

アリスが、背後のアンナに振り返る。

「ふっふっふっ。お嬢様の為に手に入れたのです。ご満足いただけましたでしょうか?」

アリスは、アンナにガバッと抱き着く。

「もちろんよ。さすがアンナね!」

なんと、アンナはアリスの為に、聖人様のポスターを手に入れていたのだ。

そして、ポスターをドレッサーの横の壁、ベッドの真上の天井とベッドの横の壁に貼っていたのだ。

しかし、聖人様はあきらかにジークがモデルになっているのだが・・・・。

そして、聖人様のお相手は、どうみてもウイリアム君がモデルになっている。

「この聖人さまと恋人の裸で抱き合っている絵なんて、最高じゃない?」

「私も、このポスターは、今までの絵本の絵の中でも最高傑作だと思っております。」

アンナもだいぶ、腐ってきている。

ジャイ子の腐教活動。恐るべし。



  ===================================



「おかえりなさいませ。ジークハルト様。」

「ただいま。」

ルカがビッグボアの肉を包んだ布袋を持ち、従者が荷物を受け取る。

「ジークハルト様、ルカの持っているその大きな包みは何でございましょう。」

執事がルカの持っている大きな布袋を不思議そうに見ている。

「あぁ、これはビッグボアの肉だ。」

「ジークハルト様が仕留めたのです。」

ルカが誇らしげに答える。

執事が大きく目を見開き

「なんと、ジークハルト様がビッグボアを!旦那様と奥様に報告しなければ。」

執事が執務室へと急いで向かった。

「ジークハルト様、お疲れでしょう。湯あみの準備を致しますね。準備の間、サロンにお茶をお持ちしましょう。」

メイド長が、メイドへ指示を出す。

「ルカも疲れただろう。ゆっくりと休んでくれ。」

ジークがメイドにルカの部屋へお茶を持って行くように、指示をだす。

「ジークハルト様、お心遣いに感謝いたします。」

ルカはジークへ一礼して、自室へと帰った。


「さすがに、馬にずっと乗っていると疲れるな。」

ジークは、ドアを開けサロンへ入る。


ピシッ!!


ジークが固まった。

・・・・・・・・。

ハッ!


ジークが再起動する。


「クソがーーーーーーー!!!!」


スペード家にジークの大絶叫が響いた。

サロンに備えつけられている暖炉に火をつけ、サロンの壁に貼られているポスターを全て剥がし、暖炉へ丸めて放り投げている。

「こんなものを、貼ってるんじゃねーよ。」

ジークは、すべてのポスターが灰になったのを確認すると

「アリスーーーーー!」

と、隣のハート家へと駆けこんだ。



「アリス!聞いてくれ!」

ジークは、アリスの部屋まで、いっきに駆け込むとノックもせずに、ドアを開ける。


「「「あっ!!!」」」


アリス、アンナ、ジークがお互いに見やる。

ジークは、アリスの部屋に貼られているポスターを素早く剥がし、ぎゅうぎゅうと丸めて窓を開けると


「世界の果てまでーーー!」


大きく振りかぶり


「イッテーーー、Qーーーー!」


窓の外へと放り投げた。


「「あぁーーーーーー!!」」

アリスとアンナが叫ぶ。

「ちょっと、ジーク。何するのよ。」

「この、ド腐れ!こんなものを、貼ってるんじゃねーよ。」

ジークがぷりぷりと怒っている。

「もう、あったまきた。料理長にトンカツを作ってもらう。」

ぷりぷりと怒りながら、ジークは厨房へと走って行った。

おいっ、ちょっと待て。

なんで、うちの厨房へ行くんだい?

お前のうちじゃないだろう?

色々と納得のいかない、アリスだった。






しおりを挟む

処理中です...