姉の様子が、おかしいです。

桃次郎

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150  ポン酢を探そう

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「明日、土鍋が届くのだったら、さっそく鍋をしないか?」

ジークの声が、ちょっとテンションが上がっている。

料理長の土鍋の完成報告を聞いて、もうジークの口は、鍋待ちになっている。

ジークの我が儘で建てられた、鍋専用の家。

発案者はジークだが、ハート家の邸の敷地内に建てられている。

鍋専用の家は、旅をしている間に内装まで済んでいる。

あとは、土鍋待ちだった。

「そうね。最初は、チーズフォンデュの予定だったけれど、ジークの討伐した、ビッグボアの肉が沢山あるから、お肉を使った鍋がいいわね。」

土鍋でチーズフォンデュよりキムチ鍋とか、しゃぶしゃぶなんていいかもしれない。

というより、私が食べたい。

「俺は、すき焼きが食べたいな~。」

ジーク、ヨダレ、ヨダレ。

「土鍋で、すき焼きは無理よ。」

早急に鉄鍋を注文しなければ。

クラウスとケインは、ヨダレを垂らしているジークを見て、何やら美味しそうな料理が食べれそうだ。とキラキラした目で見ている。

「じゃあ、しゃぶしゃぶだな。」

あら、ジークもしゃぶしゃぶが食べたいのね。

しかし・・・・

「ジーク、私もしゃぶしゃぶが食べたいのだけれど、ポン酢がないわ。」

そうなのだ。

ポン酢やゴマダレを見たことがない。

醤油もみりんもないし、キムチだって、だし昆布すらない。

しゃぶしゃぶどころか、寄せ鍋もすき焼きもおでんもできない。

なんせ、この世界の食事は前世と比べ物にならないぐらいに、遅れているのだ。

そもそも、クッキーが石かと思えるぐらいに固いのだから。

「あーーーーーっ。そうだった。俺もポン酢、見たことないな。」

ガックリーーーー。と肩を落とすジーク。

しかし、忘れてはいけない。

ジークは、食欲魔人なのだ。

「よし、アリス。ポン酢を探そう!」

すっくと立ちあがるジーク。

そして、椅子に座っているアリスの手をとり、立ち上がらせる。

「ルカーっ、馬車を出してくれー。」

近くに控えていたルカに声をかけて、アリスを引きずりながら走って行くのだった。

あるのか?

ポン酢。



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