メシマズスキルを持った私の作る料理はこの世界ではチートでした。

たかはし

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始まりはテンプレ ①

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右を見ても左を見ても石畳。戦後70年は経ってるはずの私達の国では、そうそうこんな建物はお目にかかれないのでは…。そんなことをぼーっとしながら考えていました。

カシャ、カシャ、カシャ

とつぜん金属の擦れる音?がしたと思ったら、それがどんどん大きくなってきて…。それに気づいたみんながすごく怯え始めました。

「え、なんか変な音…しない?」

「おい!やめろ!そうじゃなくてもこんな変なとこに急に「きゃあああああ!ち、近づい、てきてる…!いやああああっなんで?なんでこんな?!」

「う、うるせえよっこ、ここんな、の、ドッキリに決まってんだろ?!」

「は、はぁ?じゃああんたが確認してくればいいでしょ?!ほらっは、早く行ってよ!」

「なになに?どうして?あたし何もわるいことしてないのに~!廉也くぅん!あたしこわい~っ」

「だだだい、じょう、ぶ、だ…っか、かかかにゃは俺ぎゃまま、守りゅから…!」

「廉也くぅん♡かなうれしい~♡絶対かなのこと守ってねぇ~♡」

いつもならどんな時でも余裕の顔をしてる遠坂くんの青ざめた顔。ウチら怖いもんとかないしwっていつも言ってる皆月さんと内藤さん、それから坂口さんもガチガチと歯を鳴らしてビビってる。
あ、でもぶりっこで有名な仁科さんは肝が太いみたいだなぁ。こんな時でも自分をかわいく見せようとしてるんだもん。彼氏の佐々木くんはガチビビりしてる割には仁科さんを守る宣言してるからまあ、似たり寄ったりってとこなのかな。
私?私も絶賛ビビり中です。ただ、クラスから浮いてる存在なものなので、誰も回りにいないから一人で震えてるんですよ。ぼっち?いいえ。栄誉ある孤立です!(震え)

とまあそんなふざけたことを考えてないとこの恐怖で、おしっこもらしちゃいそうなんですよ!だってついさっきまで授業を受けてたのに、一瞬でこんなところにいるなんておかしいでしょう?
まあ文学少女を気取る私としては、わー!これはなろう系でよくある『クラス丸ごと移転』ってやつだ~!くらいは思いましたよ?

「…っで、でも、『小説』と『現実』じゃ、ぜ、ぜん、全然ち、違いますよ…」

ぼそっとそう呟いても反応してくれる人はいません。だってみんな今、自分のことだけで精いっぱいだからです。


ガチャガチャともう金属の音はすぐそこまで近づいてきていて、クラスのみんなはズリズリと部屋の奥の方へと後退してます。誰だって正体のわからない物とは距離を取っておきたいですもんね。
そうしてすぐ近くまで来ていた金属音が止みました。誰のかわかりませんがつばを飲み込むごくりという音と共に、正面にあった扉がギイイィと重い音をさせて開いたのでした。


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