メシマズスキルを持った私の作る料理はこの世界ではチートでした。

たかはし

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始まりはテンプレ ⑥

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「ん~~~!うまくいってよかった~~!!」

着の身着のままではあったけど、ある程度のお金を手に入れて自由の身になれた。これもなろう系小説読んでたおかげだよ~っありがとう!ありがとう先人達の作品!!
とまあ、そんな風にいつまでも喜んでる場合じゃない。全く知らない場所で一人きり、この土地のことも知らないし風習なんかもわからない。
もちろんもらったお金も、どのくらいの価値があるのかもわからない。頼れる人も、いない…。
無い無い尽くしで、始まるんだ…。

「がんばらなきゃ…っ」

握りこぶしを作って気合を入れる。これからは今まで読んできた小説が頼りだ。思い出せ。主人公達がどうしていたか…!

「よしっまずは古着屋さんに行って、この世界の服とお金を手に入れよう…!」

大抵召喚された国がおかしいって気づいた主人公は、服を古着屋に売ってお金に換えてそのお金で身の回りのものを手に入れたり、宿を取ったり、ギルドに登録したりするんだよね。
私もまずはそれに従って行動をしよう。大丈夫。きっとうまくいくから…っ


■■■


なんか…あんなに気負ってたのが馬鹿らしくなるくらい、1時間くらいでスムーズに全部うまくいってしまった。
やっぱりこれもテンプレなんだけど、日本人は幼く見えるってやつ…。
私15歳なのに10歳の子供に間違えられたんだよね…。なんだ?胸か?胸で判断しやがったのか?
普通そこは12歳とかそこらでしょ!ちくしょー!しかもあの古着屋のじいちゃん、あめまでくれる始末だしっ
『お前さんくらい幼い子がこんな上等な服を売らなきゃならんなんて没落以外考えられん…。いいや。お嬢ちゃん…生きてれば、きっとこれからいいことがあるからな…!』
って涙目になりながら言ってきたんだけど絶対あのセリフは、良いとこの子供が親を亡くして生きてくために仕方なく服を売りに来たって思ったんだよね?!違うからっ

あー…でもまあ、あめは甘くておいしいし、見た目で得することもわかったし…全部いいってことにしておこう…。
これ以上異世界初日から精神削らないようにしなきゃ。
ああ、でもあれだ。今まで散々嫌なことがあったクラスだけど、これくらいは思ってもいいよね…。

お前ら全員乙wwwww

これからチビデブハゲの王さまにいいようにコキ使われると思うけど、強く生きて欲しい。まさしく『皆さんのご多幸とご武運をお祈りします』ってやつよねw
まあ私もお祈りメールならぬ、お祈り追い出しされたわけだけども。でも、自分で望んだことだからいいって事にしとこう。

それにしても今、あの場所から離れられたからこそわかる。少なくともあの王さまとオジサマの二人は、私達を新しい手駒が手に入った程度にしか見てないってことを。
まあ王さまは一言もしゃべってないから、実際の所どんな人なのかはわかんないけど…。でも、この街の人達の表情とあの人達の表情を比べればすぐわかる。
別にこっちを敬えって思ってるわけじゃない…。ただ、対等に扱って欲しかった。

「ま、『召喚する人が悪い人』なんてのも異世界小説ではままあるからなぁ…。運が悪かった。そういうことだよね…」

ちょっとしんみりするも、ここは天下の往来。昼時なこともあって、そこかしこにある屋台からはいい匂いが漂っている。
も、もう我慢できない!お腹も鳴ってるし、一人でシリアスなんてしてる場合じゃないっ!

「腹が減っては戦はできぬと屋台が私を呼んでいるぅーーーっ!」

急に叫んで屋台へと走っていった私に、まわりの人達の目線はなぜか優しかったです…。か、完全に子供あつかいだ…!
なお、屋台のお肉はおいしかったです。小さな子供だと思われてサービスもされたし…。まあ、いいか。おいしいごはんは正義だもんね!
また午後からも色々しないとなぁ…。頑張ろうっ

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