メシマズスキルを持った私の作る料理はこの世界ではチートでした。

たかはし

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いざ冒険者ギルドへ ①

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「ところでお姉さん、冒険者ギルドってどこにあるんですか?」

ドライフルーツの量り売りをしている露店で、レーズンを一袋買ってから売り子のお姉さんにそう聞いてみた。街のことを聞くならその街に住んでる人に、ってやつよね。

「冒険者ギルドなら、この先の角を曲がったところにあるよぉ。でもあなた、ギルドに何の用があるの?依頼を出しに行くのかなあ?」

…まあ、そりゃそうよね。こっちの人達の感覚としては、10歳程度の子供が一人で行動しようとしてるんだから気になっちゃうよね。
だけど私は実際には15歳。もうしっかり自分で考えて行動できる。なので、ちゃんとできるってところを見せなきゃね!

「いえ。私、生きるためにお金が必要なんです。だから冒険者ギルドに登録して、クエストを受けようと思ってるんですよ。鑑定もできますし…簡単なものなら、私くらいの子でもできるクエストがあるんですよね?」

ふふん!こんなこともあろうかと、古着屋のじいちゃんに冒険者ギルドについて軽く聞いてたんだよね!
孤児院の子やあまり裕福でない家の子なんかは、家や施設を助けるためだったり将来の職業選択の幅を広げるためにギルドに登録して、簡単なクエストを受けてるんだって。ギルド内で一番簡単な依頼なら小さな子供でもできるようなものがほとんどって言ってたから、私もまずはそこを狙っていこうかと思ってるんだよね。
とまあ、あの1時間の間に古着屋のじいちゃんから情報も聞き出せてたんだよというドヤ顔は控えておくけど、10歳の子供にこんな受け答えはできないでしょう!?
どうよ!ドライフルーツ売りのお姉さん!

「あら~年の割によくできた子ねぇ。もちろん子供でもできるクエストもあるけど…あそこ、強面が多いから、お姉さんがついてってあげるわぁ♡」

言うが早いか私の手はお姉さんに掴まれ、そのまま連行されるように冒険者ギルドの方角へと連れていかれたのでした。
ちなみに露店の方は旦那さんがいらっしゃるので、大丈夫だそうです。居たか?そんな人…。


■■■


「それでぇ、リンちゃんは今日はどこに泊まるのぉ?」

冒険者ギルドへの道すがら、ドライフルーツ売りのお姉さんことリエッタさんと話しているうちに、そんなことを聞かれた。
ちなみに私の名前は『長田かりん』だけど、ここもやっぱり異世界小説にあやかって、名前をそのまま教えないことにしたんだよね。
本当にあるかどうかわかんないけど『本名を知ってたらその人を思い通りにできる魔法』とかあったら、たまったもんじゃないからね!

「あーえっと…適当な宿屋を探して、そこで寝泊まりしようかなって思ってるんですけど…。リエッタさんどこかいい宿知ってたりしませんか?」

「うーん…リンちゃん。かわいそうだけどあなたを泊める宿屋は無いと思うわぁ」

リエッタさんは困ったような顔をして、そう言い切った。
は????どゆこと?


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