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4.異世界生活の始まり

六十八話 宿屋と鑑定

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68話 未鑑定品の鑑定

こっちらへんは冒険者向け施設が揃っているから探すのは難しくないだろう
適当に歩き回ってみるか、静かで人気の少ない所がいいかな
ちょっとメインの場所から離れるけど住宅街近くにも宿がいくつかある
看板が出ているから間違える事はないだろう、しかしここらは人が多い
もう少し逸れて裏通りの方にも行ってみるか、期待は出来ないが
fmfmふむ?建物も疎らになり空き地が多い場所にぽつんと看板があった
どうやら宿屋のようだが、ここらへんは人気がほとんどないし見えない
この宿にも客はいなさそうだが、まぁすでに寝入っているのかもしれない
宿はまだ開いてはいるようだ此処にしてみるか、ドアはスムーズに動いた
立て付けも悪くはないし、外観も普通の木材建築でしっかりしている
客が来ないのはなによりも立地、次に値段やサービスなどの問題だろうか?
まぁ後者に関しては相場とか普通が判らないからどうとも言えないが
中は綺麗と言えば綺麗だろうそれなりの年季による傷みはありそうだが
手入れはされているがなんと言うかこじんまりしているせいか
宿屋と言うよりも家を宿として使っているような感じがする
「いらっしゃいませ、宿泊なさりますか?」
「えぇ一泊幾らになりますかね?」
「一泊100ヴェレになりますが、食事と風呂は別料金になります」
「100ヴェレは安い方何ですか?」
「はい安めではあると思います、大通りのは大体250からになります」
結構高いな逆にここの方が良かったかもしれない
「何泊致しますか?」
「いえ特に決めていないんです、なので一先ず3日分で」
「分かりました、それと食事は朝昼晩の1度につき10ヴェレとなり
風呂は夜のみの5ヴェレとなります、部屋は何処に致しますか?」
図をみると泊まれるのは1階に1つ2階に3つ、まさに民家だ
「では1階でいいですかね?」
「はい、では鍵はこちらになります無くさないでくださいね
部屋はこの奥にある1番になります、トイレは正面の扉です
私達は隣の部屋に居ますので用があればいつでも呼んでください
水は部屋にお持ちしましょうか?」
「分かりました、水は大丈夫です」
金を払い鍵を受け取り部屋へ向かう、間取りとしては入ってきて右はリビング
キッチンやらテーブルと椅子に使われてない暖炉などがある部屋になっている
正面は階段と左側の通路に手前が店の人の部屋その奥が1番目の宿泊部屋
トイレが近いし管理人の部屋の隣···まぁ当たり部屋だよな?
でも私以外に人は居なさそうだ、多く出入りしてはいないようだし
部屋はそんなに広くは無いが最低限必要な物はベッドと机位だ、揃ってる
入り口右の空間にベッドや机が並んでいる、枕側の台には照明器具がある
3M位の奥行きと2M程の横幅3M位の高さ、広さはまぁ十分だろう
それでも宿屋にしては泊まれる人数は少ない、4部屋しかないし
まぁでも安いし4-5人位なら1部屋で寝ようと思えば寝れるし、2階は少し広い
冒険者になったばかりの新人とか、収入の少ない人にはいいのかも
まぁとはいえ分かりづらく人の居ない場所にはそうそう来ないだろう
あ結構ベッドは柔めだ、布団は薄めだなまぁ寒い時期ではないから十分
寝ようと思えば寝れるわけだし、寝るかずっと起きててもしょうがないし
明日はどうするかな組織探しでもするか?いやちょっと調べる位にしておくか
ダンジョンの情報集めもありか、うーむ···まぁなんでもいいか
うむむぬぬぬぅ······眠い···少女ちゃんが顔の隣に来た、かわゆ
ねゆかぁしょうじょちゃん···
······
···
んっ?寝たはずだが···あぁいやここは夢の中か体が重いし、動きも遅い
今の状態は、少女ちゃんが居ない、ベルトが無い、フードも無い
腰布はある、指輪は無い、手と肩の装備が無い、手に模様がある
亜空間倉庫が使えない、開かない、武器も無いし道具も無い
黒い影のような人型の何かが目の前にいる、足は地に着いている
空には暗い虚空が広がり、紅い月と蒼い月と銀月の3つが並ぶように浮かぶ
中心には黒い孔がありそこから同じ黒い泥のような何かが溢れ地面に流れる
紅い月からは血のように紅い泥、蒼い月からは蒼穹のような泥が
銀月からは仄かに金の輝きを放つ銀の泥が溢れて大地を汚す
影の人型は何処を向いているかも分からないが天を仰いでいるようだ
<世界>が砕けていく、隣り合った月が<世界>に出来たヒビによって
どんどん離れていく、砕けた隙間から黄金に輝く太陽が現れる
離れたように遠くから赤い太陽と青い太陽が顔を覗かせる
黄金の太陽は暗い孔へと近づくが、孔はどんどん離れていってしまう
悲しそうに哀しそうに黄金の太陽はそこに佇む、泣いているかのように
それがどこか私を責めているようで、胸が少し締め付けられる気がした
······
···
ぬっ···目には何でもないただの木の天井が映る、目が覚めたか
横には少女ちゃんがいて何やら首を傾げ不思議そうにしていたが
じっと暫く此方を見て何時も道理に戻った、何かあったんだろうか?
ポンポン右手を叩かれた、手を見てみると夢で見た模様があった
手の甲と指、手首から少し上に簡素な刻印の様な物が浮かんでいる
特に悪影響も無いし、効果が有るわけでもないようだ、気にしなくていいだろう
さて持ち物の鑑定だ、連続で失敗すると成功率が下がるみたいだし
1つ3回くらいまでかな、まずはスクロールからだな3つあって全部攻撃系っぽい
1回目は失敗するも2回目で全て鑑定出来た
[ファイアライン] [アクアバレット] [ウィンドダフ]
アクアバレット意外は効果が読めないな、まぁ全部鑑定出来たから良しとするか
魔法杖は3回目で何とか成功した[フレイムバースト(3)]か
火属性がダブったのはまぁいいとして、使用回数3は少ないか?
指輪は[融けない 鉄の指輪]効果は酸無効と延焼無効位だろうか
ネックレスは[猟犬模す 獣骨の 首飾り]猟犬の形になっているのか
素材は見ただけでは骨とは分からない、白い金属か木製だと思ってた
最後に肩と腕の一式ぽい奴の鑑定[猟犬の 毛皮纏う 火を逸らす 肩腕革鎧]
火耐性持ちの装備か、なんか属性デメリットも有りそうだな、分からんが
メダルの鑑定?いやあれはまだ触りたくない、最初に比べれば威圧というか
嫌な気配というかそう言うのが薄くなってはいるが触れると
魂とか命とか吸い込まれそうな気がするんだよな、あの黒いメダル
ん?日が明けてきているか、今日は色々回ってみるか
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