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10.神々の相克

二百十話 教会を出て市場へ

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210話 地下市場到着

教会への階段を登ればやはり扉は吹き飛んでいた、入口の方を見れば目の前の像が
倒れ至る所が欠けては砕け最早元の姿の面影は無い、わざわざ壊したのだろうか?
随分念入りに破壊されているように見える、そしてその周囲には像の破片によって
死んだような死体や上半身と下半身が千切れている死体が転がっている・・・ふむ?
意図的に像の破片を使って殺したんだろうか?腕のパーツらしきものが頭部を潰し
ているものがあったが、それ以外はどうも像が倒れた事で死んだとは考えにくい
死体の位置と像の倒れ方から、その前に破片をぶつけて殺したものと思われる
周囲を見渡せば離れている場所の壁にも少し血がついており、見上げると2階の
通路から垂れてきているのもあった、どうやら教会内に居た者を片っ端から殺して
周っていたようだ、用もないしさっさと外へいくと…正面の扉が開いていない?
おかしい奴らは扉は開けても閉めない、そもそも壊すから閉めようがないだけとも
言えるが閉じれたままなのはありえないと思われる、となると飛んで上から外に
行ったのか、まぁ飛べるなら殺しまわってそのまま上から外に出ればいいだけか
見上げれば3階と思わしき場所のむき出しになっている木の支柱や鉄の棒の所に
プナイダが逆さになって集まっていた…寝ている訳ではないようだが、あれは
ただ休んでいるだけなのだろうか?動きは鈍く周囲を見渡したり何やら小さく
鳴き声を上げたりしているだけだ、それに私の事に気付いているのに何も反応
してこない、まるで存在を認識していないようでありながら、判っているのに
仲間の判定の様にしていて自由に行動させているようにも思える・・・何故かって
ちょくちょく視線がこっちに来ているからだ、目も合うし…どうして攻撃も何も
してこないんだろうか、もし仲間として認識しているとしたなら呼びかける位は
するのではないだろうか?勝手に行動している事になる訳だし…見捨てた判定?
何も干渉してこないは逆に不安がある、このまま居ても仕方ないからさっさと
行くとしよう、別に背中を見せても攻撃してくるわけじゃないし、大人しくして
くれているなら騒ぎも起きないからこっちとしては助かる、騒ぎが起きると市場に
入れなくなるかもしれないからな…こっちの思考を読んでるとかはないよな?
もう一度見上げてみるも特に変化は無い、流石にそれは考えすぎか…扉に向かい
外の様子を確認する、門番をしていた兵士らしき人影はもう確認できる範囲では
見えない、と言うか付近に人がいない?こんな時間だからか?それもそうだよな
像が倒れた時に大きな音が出るし人の叫び声も響くんだから近くに居れば気付く
・・・いやまてよ?そもそも下に居た自分ですら音を聞いていない、振動は特に
感じていなかったが思い返せば少し位はあったかもしれない、音を消したのか?
ふーむ…門番は時間で居なくなっただけか?軽く見渡し誰もいないのを確認して
敷居の外へ出る、この時間帯であっても外に居るだけなら誰も気にしないだろう
さて来る前に見たあの地下市場への入口へ行くとしよう、そこまで特に気にせず
歩いていたが流石にこんな時間帯ではもう誰も出歩いていないようだ、兵士の姿
すら見えない、入口まで来たが扉の前に誰もいない…もしかして時間外か?いや
そもそも常に扉の前で待機しているとは限らないか、誰も来なければ暇なだけだし
怪しさも出る、まぁ休んでいるだけかもしれないから一応扉を叩いてみるか
「なんだ?」
「入りたいんだ」
「じゃぁ承認票を見せな」
扉に付いている小さな窓口を開けて受付をしていた人物が覗きこんで対応してきた
それにしても承認票とは?あのメンバーカードらしき物でいいんだよな?
「これでいいか」
見えるようにカードを掲げる、しかしこれって表って言うのか?表ってなんだ?
「あぁ確認した入ってくれ」
合っていたようだ、ガチャリと鍵を開ける音がして直ぐに扉は開いた…にしても
確認も杜撰だし適当にそれっぽく作っていれば普通に通れそうだな…そうなると
偽装品も多いんじゃないか?いやもしかしたらそれ自体は別に重要じゃないのか?
扉が開ききり受付が横に移動する、中に入れば入口はそれなりの広さがあり机と
椅子に飲み物があり、反対側には武器と木の板が乱雑に置かれている
「危険物の持ち込みは禁止だ、確認させてもらう」
「あぁそうだったな」
腕を上げて何も持っていないことを示す・・・そう言えばポーチに短剣を緊急時用に
差したままだったのを忘れていた、もう殆ど意識の外に行っていたからな
とは言え忘れていたら緊急時に使えない、少しは意識しておかないといけない
「これは・・・預かっておくぞ、帰りに必要なら取に戻ってこい」
「分かった、正直自分でも忘れていたんだ悪かったよ」
「いいさ、こんな判り易い場所に隠す奴なんかいないからな」
「お疲れ」
軽く手を上げて別れの挨拶を済ます・・・別に悪人と言う訳でも頭がおかしい訳でも
無かった、宗教で洗脳されてはいるが宗教が関わらなければ表面上は普通なのか?
もしくは特に悪人ではないが倫理観等が欠如している、常識がないとかか?
目の前の階段を降りて行けば明るさも十分ある手入れされた地下の通路があり
壁は土ではなく基本的に木材で一部が硬質で金属の様な素材で出来ている、そして
こんな時間だというのにまだ多くの人がいる、通路が横に5人分くらいの広さがある
広めの空間であるため人が少なく感じるが、通路だけでも結構な数が活動している
取り敢えず店を見てみるか、店の入り口に何の店か看板が出ている・・・食事場まで
あるのか、別に食料系は見なくていいか、店の外からでも内部の様子が判る様に
なっている、というかその壁の上半分が吹き抜けになっているため丸見えである
中で問題事が起きれば直ぐ外に見つかるからそういった事が出来ないな・・・
外からでも大体何を扱っているか判るが、看板に取扱商品が書かれているため
判り易い、どこも種類は多くて10に届かないようだ、見たいのは掘り出し物だな
そういった物を扱う店を探してうろつく、道が十字路で後は直線しかない形状の
ようで案内板等は見当たらなかった、もしかして店もちょくちょく入れ替わるから
用意出来ないのか?ただ通ってきて大まかな区分けは判ったかもしれない、さっき
通って来た道は食料系が多かった、保存食を扱う店や屋台や食堂のような店も多く
他には食材や香辛料や塩等の調味料を扱う店が殆どだった、それ以外は医薬品か?
少ししか無かったが・・・角付近の店を確認すれば店の傾向が判るかもしれない
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