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12.共和国・人探し

二百四十話 探し人の情報収集

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240話 向き不向きってあるよな

外から見る限りでは建築物の素材は石や土で作られた壁やばかりだ、木で造られた
物は少なく小さな柵や扉位だろう・・・そして開かれている大扉から見える街の中は
外と変わらない程に全てが砂にまみれており、風に吹かれ壁の上から砂が落ち壁に
すら沿う様に砂が流れている、街中がこれだけ砂まみれだと生活が面倒そうだ・・・
流石にこんな早い時間だからか他に人は居ないため、並ぶ必要も無く門番の兵士に
近付き冒険者カードを見せる、少し怪しまれていたようだが前後から確認されると
それだけで通してもらえた、やはり帝国と繋がりがあるこの国でも冒険者としての
特権は機能しているようだ、やはり冒険者と言う肩書が便利すぎる・・・とは言え
ここは人間の国ではないし、複数の種族が共同で管理している国でありそのためか
色々と他の人間の国とは勝手が違うようなので、気をつけなければならないし当然
争い事を起こすと面倒になる、入ってすぐの場所にはオーガ系・・・鬼人だったかが
多いが直ぐ近くにある店の店員はドワーフやオークが殆どだ、他にもちらほらと
龍人やダークエルフも見られる、そしてどうやら入口直ぐのここは商店街道なのか
道には結構な広さがあり、奥に行くほど道が広まっていて中央らしき場所では道が
2つに分かれ中心部分は広場の様になっている・・・ここら辺は帝国や王国と共通の
形状になっているようだ、そしてやはり食料系の出店が殆ど占めていて他の店も
日常生活で使うような物ばかりだ、冒険者向けなら入口近くにあった店がやはり
それだったんだろう、さて人探しだが人間の女性・・・人間の姿もそう珍しくはない
数えきれる程ではあるが、ここは大通りであり隠れ住むならここら辺からは外れた
人の少ない場所や宿屋・・・もしくはここの住人達の住居区画かなのだが、人間の国
と違って他種族が自由に住居区画に踏み入る事は出来ないようだ、その道の入口に
その種族の兵士が立っており通る者を確認している、同じ種族なら問題はないよう
なので変化で姿を変えてしまえば普通に入れてしまうと思われる・・・とは言えあの
反応や動きからすると警戒は他国の人間では無く同じ共和国の他種族に対しての
ものなのだろう、種族間の仲は良くないのかもしれないし本当はまだ争っている
最中なのかもしれないし・・・どうなっているか実際知らない、そもそもそう言った
国の情勢に関する情報は聞いた事が無いからこれに関してはどうとも言えないし
今回は特に関係ないから気にしなくてもいいはずだ、面倒事さえ起きなければ・・・
聞き込みを始めようと思ったが名前も知らないし姿も知らないためどうしようかと
思い悩むはめになった、共和国自体は思ったより結構広さがあって入口の反対側は
壁が無く龍人族が住処を広げているようだ・・・しかし人間である以上この中央区画
と思われる部分かドワーフや龍人のような他種族と関わりの多い種族の場所にしか
居ないと思われる、難点としては戦士であった場合鬼人やオークの場所も捜索範囲
に含まれてしまう事だ・・・彼らは戦士であれば他種族であっても歓迎しているよう
だからな、逆に戦士でなければ関わったり区画に受け入れる事は無いと言う事でも
ある・・・そして戦士なのかどうかすらも分からないと言う殆ど情報が無い現状では
全て予想にすらならない空想でしかない、こうなると一体何をどうして何から始め
ればいいのだ?正直2人に探してもらうしかない、それ位しか自分には考えつかない
「我々が探しに行くから主は気にせずともよい」
「正直自らの眼で見ねば確証も持てん故な」
「探すには自分で見るしかない・・・記憶と一致すればいいのだが」
「うむ、面影で判断するしかないからな」
流石に2人共自身が無いようだ、子供の頃に会ったきりとの事だからそれは仕方ない
何もわからない私が動くよりも、見られず・・・いや龍人族には感知されているか?
とは言え特に反応もせず放置されているから、殆ど見られず感知もされない隠れて
行動出来る2人の方が圧倒的に動くのに適している以上、私の役目は取り2人の邪魔
をしない事だろう、問題を起こさずに静かに大人しくしていればいい・・・これって
結局の所いつも通りじゃないか?まぁ捜索は得意な訳じゃないから、無理にやった
所で足を引っ張るだけだからやらない方が良いまであるからな・・・それにしても人の
活動区域だと動きづらいって私は魔物か?別に間違っていないのかもしれないが
最近人間より魔物側に性質が近くなってきたように感じる・・・まぁそんな事はいい
しかしこれからどうしたものか、短い横に尖った耳のエルフ・・・耳の特徴から恐らく
ハイエルフと思われる者や龍人に鬼人は、近くに来ると何故かこっちを警戒・・・と
言うか訝しんでいる?気がする、別に何もしてないし人間だって珍しい訳じゃない
しいて言えばずっとローブを被っているだけだが、それだってそこらじゅうに居る
エルフや人間は殆どローブを被ったり口元に布を巻いている者ばかりだ・・・幾ら
顔を隠していると言えそこまで警戒される謂れは無いはずだが・・・武器も入る前に
亜空間倉庫に入れたから持ってないし、うーん?魔物的な気配でも感じ取っている
のだろうか?そこら辺は自分では判らないからなぁ・・・取り敢えず今は周囲を刺激
しないように大人しく広場の椅子にでも座って待っていよう、3~4人は座れそうな
大きい椅子の端に座って待つ事にした、思ったより複数人固まって座っていて近く
の椅子が空いていてよかった、屋台の食い物を食べる場所なのか椅子の近くにゴミ
箱が設置されているだ、どこからか気分が失せるような嫌な臭いが漂ってくる・・・
これは腐敗臭だろうか?方向的には近くのゴミ箱からじゃ無さそうだから気にして
も仕方ないか、よく見るとゴミ箱の近くには消臭用なのか何かの薬品が入った棒が
着き刺さっている瓶が置かれている、暫く空を眺めて待っていると来た場所と反対
側の方が騒がしい、何かあったようだ・・・近くの兵士たちが慌ただしく動いている
あっちの方は龍人やダークエルフの区域への道だったか?僅かに聞こえてくる声
から察するに誰かが死んでいた、そして殺人らしいとの事だ・・・所々聞き取り辛い
事もあってこれ位しか判らなかった、まぁ私達には関係ないだろう・・・あの2人が
殺人で騒ぎ起こすとも考えづらいし、ん?盗みもあった?ふむ、盗み目的の殺人か
この騒ぎに乗じて上手く捜索が進めばいいが、この事件で妨害されるのは困るな
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