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14.それは成長か退化か

二百八十四話 毒溜りの森:毒の歓迎

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284話 毒沼・毒ガス・毒液・毒・・・毒

動く様子の無いモズトレントは無視し姿の見えないファムルング1体も今は放って
おき左右で挟んできた2体に意識を向ける、ドレッゾスポアは近付かなければ害は
ないだろう、不意に片方に背を向け攻撃を誘う・・・が飛び掛かっては来そうにない
よく観察していると奴らの地を這う動きは思ったより鈍い、そこまでの機動力が
無いのかまだ回復しきれず大人しくしているだけなのか・・・モズトレントにくっつ
いていたのは地上での機動力の無さを補うためか?似た様なデカイのは高い機動力
が合ったのにな、まぁ類似による能力は気にするだけ無駄か・・・しかしどいつも動く
気配が無い、何故だ?攻撃寄りの魔物では無いからか?いや違うこの毒だ、この毒
でこっちが弱るのを待っているのか・・・それなら確かに攻め立てる理由が薄くなる
どうやら毒の噴出ももうしてないようだし、この様子だと待ちの態勢に入られてい
ると考えた方がいいか、だが飛び掛かるような姿勢になっては少し横に移動するを
繰り返し時間稼ぎされている、む?体が重いような、力が少し抜けるような感覚の
これは・・・流石に少しづつだが毒が回って来たか、麻痺効果は無いようで動きは阻害
されないのは良かったが、このまま睨み合いが続くのは無駄でこっちしか損がない
まだモズトレントが動かないのは助かるものの、このままだとただの木と錯覚して
しまいそうだ・・・まさかモズトレントと言う名の唯の木でしたなんて事はないよな?
いつ動き出すか判らないから常に意識していないといけない、そのせいで僅かでも
集中力が散漫になり全体に対しての警戒さえも緩くなってしまう、魔人と言う種族
のおかげで毒にも耐性があるのか?毒の影響が思ったよりかなり弱い・・・毒に耐性
が無いならもう行動不能になっているか死にかけている位の毒だろうからな、今の
自分の毒耐性でもここまで耐えられるとは思わない、能力に判明している効果以外
の能力があるのはありがたくも有り・・・困る事もあるな、大きなデメリットが隠さ
れてなければいいんだが・・・それにしても奴らも気が長い、襲い掛かってくれる方
が助かるがそんな愚は犯して来ないか、やはり外の魔物と違いダンジョン内の魔物
は機械的なんだな、外では持っている筈の生態を持っていない、生物と言うよりは
ゴーレムの方が近いのがダンジョン内の魔物だ、そうなると条件が変わらない限り
奴等から動く事は無い・・・やはりこっちから動くのが1番状況を変えるのに良いんだ
ろうけど、だが残りの1体は問題無く動ける筈なのにずっと動きを見せないのが気
になる、弱る素振りでも見せれば動いて来るか?脚の力抜いて左膝と両手を地に着
け弱っている様に見せる、するとどちらも飛び掛かる体勢に変えたのにそのままの
体勢で止まってしまった、弱らせたのに攻めて来る様子が無い、どうなっている?
この状態を弱っていると判断していないのか?それとも完全に身動き出来なくなる
のが弱っている判定でそれまで待つつもりなのか?困った事にダンジョン内の魔物
の敵意や殺意は読み辛く判断や察知が難しくなる、生命反応で大まかには探知出来
るが姿を見せないもう1体を探知出来ない、何よりこのままでは状況が変わらない
し場所を少し変えるか、2歩位前に跳んで木から離れる、もう左右のファルムング
は少し後ろになったため確認するには左右に顔を向けるしかない、後ろからボトン
っと何かが落ちてきた音が聞こえて振り向く、するとファルムングが体を地面に
打ち付けビクビクと痙攣し、左右に居た2体が飛び掛かっていた、奴は木の上に居
たのか、それで上からの奇襲に合わせて左右の2体が襲い掛かるつもりだったと・・・
もしかしてさっきの態勢維持は攻撃準備であり、上の奴へ攻撃の指示を出すのも兼
ねていたのか、そしてそれを運よく回避する事が出来たと、腕を振るい上体を捻り
足をぬかるむ地面に滑らせ3体を纏めて斬り裂く、たいして硬くなかったな・・・いや
打撃の耐性が高めだったのか?それとも自分の筋力が足りてないだけなのか、それ
にしても残り1体になったと言うのにモズトレントが動く気配が無い、やはり魔物
じゃないのか?でも魔物の気配らしきものは感じるんだよな・・・こっちから攻撃し
ない限り反応しないタイプか?それなら放っておいて良さそうだが、一応確認して
おくべきだろうな、反応するか軽く長刀の背で叩いて確かめてみるも、反応は無く
魔物としても反応しない、流石にこの程度で攻撃判定になりはしなかったか、まぁ
これで反応するなら最初のファルムングが張り付いて居る時に何かしらの反応して
いるだろうが・・・敵じゃないから反応していないだけか?、今度は強く叩いてみる
ミキミキと軋む音を立てながら木が小さく揺れ、少ない葉を落としながら枝が動く
枝がこちらに向けられると、その先からこっちに向かって枝が伸びてきた、速度は
遅いものの何本もの枝が並んだ槍の様にして向かって来る、直撃しそうな枝を斬り
払い他の枝を確認する、どうやら直進しかしてこないようで途中で曲がる事も速度
が変わったりもせず、最初に伸びた時から枝の動きは変わらなかったが伸びる程に
先端が細くなっていっていた、それと斬り落とされた枝が動く様子は無かったから
それを警戒しなくて済みそうだ、あの枝の動きは速めではあるが本体の動きは鈍く
初動に隙があり行動後には更に大きな隙が出来るのも判かった、どうやら1度伸ば
した枝を戻しきるまで次の攻撃が出来ないようだ、今の内に本体へ斬りつけるもか
なり硬く攻撃の通りが悪い、集団戦の時にこいつに攻撃してしまうと反応して戦闘
に参加してくる・・・と、そう考えると鈍くてもそれなりに大きい十分厄介な奴だな
顔らしきものは表面に見えるがあれは目や口として機能しているのだろうか?後ろ
へと回り込みながら斬りつけ、真後ろで一か所に集中して攻撃する、どうやら表面
は軟らかめで内部が硬いようだ、恐らく表面の樹皮らしき物の方はどれだけ削って
も意味が無いのだろう、人間にとっての服や鎧みたいな物の様だったから削れても
反応が無かっただけで、内部を斬りつけると体?を小さく揺らし反応した、これは
痛みを感じていると思っていいかな、有効打になっているのは確認出来たが痛覚が
あるのかは判らない・・・まぁこれで攻撃が通じているかどうかの判断は出来そうだ
揺れはするもののそれ以上の動きをしてこない内に、切れ込みへと攻撃を繰り返す
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