猫たちのバレンタイン

みももも

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猫たちのバレンタイン(日本語訳)

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「おはよ♡」
「あ、ねこさんおはよう。何かいいことでもありました?」
「ひ、み、つ! ところでねこくん、今日が何の日か知ってる?」
 何の日と聞かれても、そんなことを気にしたことは一度もなかったんだけど、何か特別な日だっけ?
「……知らないならいいや。ところでこの後暇?」
「えっ、いや。特に用事はないが」
「やったー! だったらちょっと、今から一緒に遊びに行かない?」
「今から!? まあいいが。それにしても唐突だな」
 スケジュールを脳内で再確認し、いやするまでもなく暇だな。だって俺は猫だから。
「それで、遊びにってどこに行くんだ?」
「ねこくんはどこか行きたい場所ある?」
「そんなことも考えずに誘ったのかよ……」

 そのあと俺たちは気の向くままにいろいろな場所を歩き回った。特別な場所に出向くでもなく、特別なにか話すでもなくいつもと同じように。ただいつもとは違って今日は後ろに彼女がついてくる。本当にこいつは何がしたいんだ? ……そういえばこいつがこの土地にきたばかりのころはこうして一緒に歩き回ったなぁ。今にしてみれば懐かしい思い出だが。
「ねこくん。最後に寄りたい場所があるんだけど、いいかな?」
「かまわないが、もう日も沈むからあまり遠くは勘弁な」
「だいじょうぶだよ、すぐそこだから」
 日も沈みかけたころになってようやくねこさんが口を開く。何が目的かは知らないが、まあついて行っても大丈夫だろう。スタスタと歩くねこさんを追いかけて到着したのは……ねこさんが飼い主と一緒に暮らす一軒家だった。
「あのね、今日はね。人間たちにとってはバレンタインデーっていう、らしいの」
「それは人間の都合だろ? 猫である俺達には関係のない話……」
「そう、そうなんだけどね。それはわたしもそう思うんだけど。でも人間たちにとって今日は、好きな人に贈り物をして、そのあとで告白する日、なんだって。ロマンチックだと思わない?」
「人間たちはよくそんなの思いつくよな。正直その発想の豊かさには……」
「それでね、ねこくん。えっと、ね?」
「なんだよはっきりしないな。言いたいことがあるなら遠慮せず言えよ。お前と俺の仲だろう?」
「……ねこくんってほんっとデリカシーがないのね。はい、これ」
「これ、高級煮干しじゃねぇか! お前こんなものどこで手に入れた?」
「あなたのために、今日のために準備したのよ。さあ受け取って! ……好きです、付き合ってください!」
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みんなの感想(1件)

桐乃 藍
2020.02.14 桐乃 藍

2ページ目の
「にゃにゅにゃ。ぬににゃーぬにゃーにゃにゃにゃにゃ」
ですが、正しくは、
「にゃにゃーにゃ。ぬにににににゃーぬにゃーにゃにゃにゃにゃ」
だと思われますにゃん。

みももも
2020.02.14 みももも

誤字報告ありがとうございますにゃん!
その言い方だと少し回りくどいと思ったのであえて「に」を少し省略してみたんだにゃん。あとは文字数の問題もあるわけですにゃん。

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