三つ子の百合姫

長瀬 青斗

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それは、初めて赤らんだ楓の音

桃色とテディベア

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「………きろ」

また聴こえてくる声。頭の中いっぱいに鳴り響くポップな電子音。
嫌いじゃないけど少しうるさすぎやしないだろうか………

「おい楓音かのん起きろってば!!!キレんぞ!!!」
「あひゃいっっっ!?…………ごふっっっ」

後頭部に固く冷たい感触。
ボヤけた視界に桃色の世界。今日も可愛いテディベア。

「おー。。。今日も可愛いねぇテディベア。。。」
「なに寝ぼけた事言ってんださっさと降りてこい。アラーム消しとくぞ」
「おー。。。愛しき妹よ。。。もうすこし優しく起こしてくれてもバチは当たらんと思うんよ。。。」
「起こしたっつーの」

わたしにそっくりの顔をした少女は、真っ赤に染まった短い毛をサラッと揺らして去っていく

「はーーー。。。今日も一日が始まってしまったーーー。。。」

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