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『tortie』
しおりを挟むワンルームのアパートに帰ると鉄臭いが、合成した武器を並べている。
並べる為に武器立てを買ったのだ。
「あはは、ようやくミスリルに合成できるな!」
1本のミスリル武器に変える為に16本の錆びた製品が必要だ。鉄製品に変わればそれだけ合成回数は減るが効果も減る。
錆びた製品から『合成』したミスリルの片手剣、ダガー、片手斧が出来たので、ミスリルの片手剣を、今使っているミスリルの片手剣に『合成』してみようとするができない。
レベルが低いからか『合成』はこれ以上無理、と言うことで全て売ることにする。
「ミスリルだから高く売れる!これで俺も小金持ちだな」
片手にビールを持ちながらスマホを操作してミスリルソードの値段を見ると1500万円もしているので、まぁ、手数料を取られても1400万は確実だろうな!
しかもそれが効果付きで3本もあるのだから、笑うしか無いだろ。
「あはは、これは引っ越し……いや、まずは車だな」
これで何回も往復して武器を集められるからな。
「さて、どこに売りに行こうかな?」
ギルドはダメだな。どうせ安物しか置いてない。
近場の高級ブランド店に売るのも後々めんど臭いので、ダチの勤めている店に売りに行こうと思う。
次の日に新宿まで出ると、やはり人は多いし俺みたいなデカいバッグパックを背負っているのは外国人くらいか。
ようやく店に到着する。
店の名前は『tortie』トーティと読むらしい。
「いらっしゃいませ」
「ツネ、じゃなくて榊原さんは?」
「はい、今お呼びいたします」
とお姉さんが呼びに行く。
その間に店の中を見るとミスリルの片手剣でやはり1600万もするのだからすごいな。
客は4人組が1組だけいて、接客に1人ついている。
“カツカツ”と音を立てて歩いてくるのは榊原恒吉だ。体格は普通で髪も整えてスーツを着たツネは久しぶりに会うが変わってないな。
「いらっしゃいませ、と、久しぶりだな、ルカ」
「ツネも元気そうだな」
「あぁ、あっちで話そうか」
「おぅ」
と商談スペースで対面のソファーに座る。
「で?何の用だ?」
「武器を売りに来た」
「へ?お前が?……うちは高級ブランドだぞ?」
「だからだよ、俺も探索者になったからな」
「は?お前覚醒したのか!」
とビックリするツネを笑いながら、
「ハハッ、ビックリしただろ?もっとビックリするぞ?」
「ま、まさかな」
「これを売りに来た」
と武器を取り出すと、慌てて傷が付かないように高級そうな布を広げる、その上に置いて行くのはミスリルの片手剣、ダガー、片手斧だ。
「これ、全部ミスリルじゃねーか!……しかも付与がされてるな?」
「わかるのか?」
「一応、ここの副店長だからな」
と言ってモノクルを取り出すツネ。
「これは『鑑定のモノクル』で、これで『鑑定』するぞ?」
「どうぞ」
と俺はソファーに深く座る。
「な、なんだこれ!ミスリルの片手剣に力+15、素早さ+15、防御+3、知力+6、幸運+6も付与されてる?!」
と大声で言うと、静かな店なので声が響く。
「おい、大声出すなよ」
「し、失礼しました!」
「ダガーも、片手斧も?」
モノクル片手に片目を瞑り『鑑定』して行く。
「う、売るのか?これを?」
「あぁ、いくらになる?」
「悪い、俺じゃ決められないから店長を呼んでくる」
「あいよ」
と、俺はそのまま待つことにして、ツネが歩いて店長を呼びに行く。
少し待つと大声が響いたせいか、店長が出てきたらしく、すぐに店長が俺の前に現れ、
「先ほどはすいませんでした。私はここのショップマネージャーの窪田敏夫と言います」
名刺を差し出してくるので受け取り、
「榊原の友人の里見瑠夏と申します。名刺はありません」
「はい、よろしくお願いします。なんでもミスリル製品を売りに来たと聞いておりますが?見せていただいてもよろしいですか?」
と低姿勢の店長さん。
「どうぞ」
と同じように鑑定のモノクルで『鑑定』している。
「……これは凄い……ウチに売ると言うことは刻印を刻んでもよろしいのでしょうか?」
「別に構いません」
「ありがとうございます。それでは片手剣が3500万、ダガーが2000万、片手斧は人気があまり無いので1500万でいかがでしょうか?」
全部で7000万か、
「はい、まずはお試しでそのくらいで良いですね」
「ありがとうございます!」
と店長は喜んでいる。
「それでは現金でしょうか?それともギルドカードに?」
「カードに入れてください」
「はい!ありがとうございます、カードをお預かりします」
と機械を取り出すと入金額をこちらに見せ、きちんと入金できた事を見せてくれると、領収書を発行して渡して来る。
「こちらの品はどうやって入手したのでしょうか?」
「あはは、それは秘密ですね。また持ってきても?」
「は、はい!もちろんです!」
店長は喜んで、その3本の武器を大事にツネに渡す。
「今後ともよろしくお願いします」
「はい、よろしくお願いします」
店の外まで見送り頭を下げている。
「よし!これで車を買うか」
と目をつけていた中古車屋に行くと、やはり走行距離も少なく、大きな傷もなさそうだな。年式も去年のもので良さそうな車だった。その場でギルドカードを使う。
一括で支払い納車は三日後となった。
後は待つだけなので電車で乗り継ぎながら帰り1時間程かかった、駅を出て自転車で帰る。
タクシーで帰っても良かったが、やはり貧乏人はいくらかかるか怖くて乗れない。
「ふぅ、これで車も手に入るし、ミスリルを売る店も決まったな」
ビールを開けて飲みながらスマホを検索する。
流石にスマホで見れるオークションサイトにはミスリルは出品されてないな。
「ふーん、オークションはやっぱり海外サイトがいいみたいだな」
色々検索すると2000万でミスリルソードを落札!などと書かれている記事を見る。
オークションもそのうち視野に入れていかないとなぁ。
「まぁ、『合成』で作れるものはなにも武器だけじゃ無いしな!」
と空のビール缶を流しに置いて冷蔵庫から新しくビールを取り出す。
「プハァ、やっぱり人生、楽しんだもん勝ちだ」
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