おっさんが異世界から戻ってきたら

盾乃あに

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帰還

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 宿屋でようやく疲れが取れた俺はまたレベル上げのために森に行く。
 今度は罠じゃなく影潜りで近づき急所を指すだけの簡単な仕事だ。
 一日食べる分だけしか取ってなかったが影収納という技をあみだしてからはもっぱらそこに入れている。
 また一ヶ月ほどで街に戻る。
 揶揄われながらも影収納からたくさんの獲物を出すとビックリされた。金貨108枚の儲けだ。
 勇者もちゃんとやってる様だしエリナもたまに見かけるがちゃんと馴染めてる様だ。
 こっちでは、レベルを上げよう!と決めてから二ヶ月で、レベルは50代に入っている。
 そろそろ別の場所に行こうかとしたところで魔法陣が足元に光っている。
「あぁ、勇者が勝ったのか」
 そして地球に戻る。

「アァ。地球に戻ってしまった」
 あの場所に戻って来ていると思ったが俺の格好は変わってない。
「え!」
「ん?」
 鎧を着たエリナだ。
「おぉ。やっぱり地球に戻ったのか」
「え?まじでケント?カッコよくなった?」
「痩せただけだよ」
「てか、あそこにいるのマサキ?」
「そうみたいだな」
 剣も折れて鎧もボロボロ、だけど外傷はなさそうだな。
 マサキの元にいってこれでも被れと外套を渡すと、
「ありがとう!ってあのおっさんが?」
「そうだよ、あのおっさんだよ!」
 ったく、貸してやったの俺だぞ。
 そして今俺たちは一文無しだ。
「あー、あーしの財布とか売っちゃった」
「俺もこれしか持っていない」
 影収納から取り出したのは財布とスマホ。
「え?なんで?」
「なんでだろ?こっちでも使えるな?」
「じゃあ俺もクリーン」
「わたしも、クリーン」
「使えるじゃん!」
「やった!」
 って。他に使い所ないだろ?
 とりあえず今が何年何月何日化を知るためにコンビニで新聞を見てみるとあの日だ。
 とりあえずウニクロに入って2人に服を買ってやる。俺薄給なんだけど。
 2人の装備は影収納の中に入れてある。
 で、チェーン店の店に入りガツガツ食う2人、人の金だと思って!!
「うー腹一杯!ゴチソー様」
「あーしも!ごち!」
 2人ともくった様だな。
「じゃあ俺から一つ、これからどうするんだ?」
「え?普通に暮らすよ?」
「俺も」
「なら極力自重したほうがいいだろうな」
「えー?なんで?」
「変な目で見られるし、頭おかしいやつだと思われるぞ?」
 2人とも想像したらしい。
「あはは。あーしが魔法剣士だって言ったらみんなが爆笑すんのが目に浮かぶ」
「俺なんか勇者だしな!バカ丸出しだろ?」
「な?これからどう生きるかがキモになるわけだ。ちなみに2人ともレベルはいくつだ?」
「おれが58」
「あーしは30」
「俺は50だ、クリーンなんかは使えばいいけど攻撃魔法なんか使ってみろ?世間は騒ぐぞ?」
「だね。あーしも使わないし」
「俺なんか使いたくても聖剣折れたから使えないスキルが多いんですけど」
「とりあえずスマホの番号はこれだから」
 と名刺を渡す。
「「わかった」」
「スマホ買ったら連絡するわ!」
「俺も」
「ふぅ。2人の装備はどうする?」
「あーしも使わないから預かっといて?」
「あ、俺のも壊れてるけど一応預かってくれるかな?」
「はぁ。わかったよ」
「悪いねケント」
「すいません」
「いーよ。てか俺仕事だったから会社に戻らなきゃ!」
「おう!頑張ってね!」
「頑張れー」
「じゃーな」
 飯代を払って、少ない給料でまたリクルートスーツを買い、会社に戻る。
「はぁ、今戻りました」
「白井くん!君は…どうしたんだい?」
「あ、これですか?なぜか痩せてしまってスーツがブカブカになってしまったので買い直して」
「そ、そうか、と、とりあえず席に戻りなさい」
「はい、すいませんでした」
 野崎課長に頭を下げ、自分の席に戻ると進めていた仕事に取り掛かる。

 冴えた頭で出来上がった資料を出し終えたので良かったと思い、ふと時間を見ると定時だった。
「課長、自分の仕事が終わったのですが?」
「な、なら帰りなさい。とりあえず明日病院に行ってから会社に来る様に!」
「はい?はぁ」
 まぁ、久しぶりの定時上がりだ。と言うかなぜか頭が冴えるな。レベルアップで頭脳まで良くなったのかもな。
 
 とりあえず風の様に体が軽い!
「キャアァァァァァ」
 声がした方を見ると子供がトラックに轢かれそうだ!すぐに走ってなんとか間に合うが、走ったあとが焦げ臭い。
「あぁ。ヤマトちゃんが」
 がっくりしてるところ悪いですが生きてますよ?
「ママー!!!」
「ヤ、ヤマトちゃん!怪我はない!」
「うん!あのお兄ちゃんが助けてくれた」
「あ、ありがとうございます!ありがとうございます」
「いぇ、たいしたことは」
「まぁ、靴が大変なことに!」
「えっ!うお!っとっと」
 靴が燃えてしまったので急いで脱ぐ。
「弁償させてください!鈴木!急ぎよ!」
「はい!!」
 なぜか弁償してもらうのに車に乗ってなぜかブランド品を扱うショップに連れて行かれると、
「この人に似合うのを選んでちょうだい」
「あの、こんな高いところじゃなくても」
「いえ、うちの子を助けてくれたんですからこれくらいは当然です!」
 何故かスーツまで着替えさせられ、
「まぁ、男前度が上がってますわ!他にも来てくださる?」
 と服を五着も買ってもらった。
「あとは髪型があれだから、鈴木!美容室へ」
「はい!」
「あの、本当に宜しいんですか?」
「あ、まだ名乗ってなかったわね、私の名は桐生院と申します」
「桐生院って、桐生院グループですか?」
「はい、訳あってあの場にいたのですがヤマトが飛び出してしまって」
「ごめんなさい」
「わかればいいの。それで跡取りを助けて下さったんですから遠慮は入りませんわ」
「は、はぁ」
「あのね!カッコよかったよズバーンってきてたすけてくれたんだ!」
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