おっさんが異世界から戻ってきたら

盾乃あに

文字の大きさ
30 / 41

しおりを挟む

「おかえり」
 桐生院は何も知らずに座って出迎えた。
「ただいまだこの野郎」
 怒った俺は机を蹴り飛ばした。
「俺が悪かったよ」
「当たり前だ!最後の生き返りの薬がなかったら一生後悔してたぞ」
「誰か死んだのか?」
「鈴木さんがな」
「生き返ったのか」
 みりゃわかんだろ。
「あぁ」
「すまなかった」
「いいですよ」
「もう作るなよ」
 あんなダンジョン二度とごめんだ。
「アァ。誓って」
「ならよし。あー疲れた」
「ごめんな鈴木」
「本当ですよ!死んだ時はもうダメだと思いましたし」
「本当にごめん」
「もういいですよ」
 土下座をしている桐生院。
 オキヌは白狐に戻って欠伸をしている。
「みんなとりあえず休んでくれ、報告は後でもいいし」
「あー1ついいか?」
「どうした?」
「永遠の命の水が出たぞ」
「それは捨ててくれ」
 即答だったのにビックリだ。
「いいのか?」
「永遠の命なんて要らないさ」
「カッコつけて」
「あはは。ヤマトよりは先に死にたいからな」
「じゃあ捨てよう」
 影収納に入れておく。
「あ。あれは白井さんが使ってくださいよ」
 鈴木さんが俺に言う。
「なにをだ?」
「若返りの薬」
「なに!そんなのも出たのか」
「あるぞ?使うか?」
「いや。お前が使え」
「えー。俺は38でいいよぉ」
「私が使って欲しいんです!」
「いや、とりあえずこのままで良いかな」
「なんでよー!」
 若返りの薬…20歳若返る。
 だから飲めなくなっちゃうんだよねー。
「そんな理由で?」
「桐生院もそう思うか?」
「酒飲み友達がいなくなるのはなぁ」
「だろ?」
「じゃあ40になったら使って下さい」
「へーい」
 忘れそうな気がするが影収納に入れておく。
 さて、それから聖剣なんかはマサキにでも渡すか。
「100階層は疲れたぞ」
「済まなかったな、作ってしまって」
「まぁいいさ、なんとかなったんだから」
「本当に作るのは辞めるよ」
「作ってもいいけど50階層くらいまでにしといてくださいね」
「あぁ」
「さて腹が減ったな」
「よし。夕食に行こうか!」
「えっ!もうそんな時間か」
「あぁ、一回くらい帰ってくると思ったぞ」
「すぐにでも攻略して消したかったからな」
 そうか、そんなに時間がたっていたとはな。
「さて。今日は和食の気分だな、あそこにしよう!」
「まかせるよ」
 夕食を食いながらしゃべる。
「魔石エネルギーは順調なんだろ?じゃあ、あとはダンジョンを要る分だけ消していけばいいんじゃないのか?」
「それが、まだ枯渇するかどうかの検討もしなければいけない」
「あぁ。そうなのか」
「魔石エネルギーが順調にいけば来年からでも運営できるが、どれだけでも出るとは考えられないのだ」
「そりゃそっか。いつまでもダンジョンを攻略できるとは思わない方がいいよな」
「だからダンジョンは大切な資源になるから迂闊に消したりはできない」
「だが増え過ぎも問題になるぞ?」
「そこら辺のバランスを今考えているんだ」
 ダンジョンを消してダンジョンコアを集めるなんてことは…結構きついな。
「で?100階層作ったダンジョンコアはどうなったのだ?」
「ここにある。光がだいぶ弱くなっているな」
「そうだな。それじゃあ今後は少し攻略の頻度を下げるか」
「そうだね。同じダンジョンを攻略するのを少し控えてくれ」
「わかった。まぁ、いっとき休もうと考えてたしな」
「そうなのか?」
「もう38だぞ。いくらなんでも働きすぎだ」
「あはは。そうは見えないから凄いよな」
「どこか旅行にでも行くさ」
「わ、私も一緒ですよね?これでもそれなりに英語なんかは堪能ですし」
「あぁ。鈴木さんさえ良ければお願いするよ」
「ヨシっ」
 その小さくガッツポーズは何なんだ?
「はぁ。うちの部下を取られてしまうとはね」
「ハハッ。まだいっぱいいるだろうが」
「有能な部下はいくらいても足りないくらいだよ」
 そして他愛ない話に移り変わり、俺たちは帰った。

 半年後。
「いやぁ、世界一周は楽しかったな!」
「えぇ!まさか自分が行けるとは思わなかったですよ!」
「あんな国がいっぱいあるんだな」
 俺たちはどこに行くのか決めかねて折角だったら世界一周してみようと世界一周クルーズのたびをしてきたのだった。
 まぁ色々見れたしなかなか刺激的だったな。
 部屋に戻りビールを開けてテレビをつける。
 冒険者がサイキッカーに殺されるという事件が起こったそうだ、サイキッカーってなんなんだ?
「鈴木さん。サイキッカーって?」
「何でも。最近冒険者じゃなくてサイキッカーと呼ぶものが増え始めているそうです」
 サイキッカー、超能力者か…まぁ、そういう意味合いにもとれるな。
 冒険者の不良版か?
「縄張り争いなんかも頻繁に起きてるみたいですよ」
 電話をしてみる。
「まさかマサキ達は関わってないよな?」
『は?あーしラがあんなダサいことするわけないじゃん』
「だよなぁ、おじさんにはついていけないんだが」
『まぁ、普通に冒険者してたらスカウトされるけど無視してればいいと思うよ』
「そうか。あと世界一周してきたから土産を持っていくわ」
『な!何であーし達も誘わないんだよ!いちなぁ』
「楽しかったぞ?行ってくればいいさ、それくらい金はあるだろ?」
『まぁね。でも一言誘えよなぁー!』
「わかったから、今度から誘うよ」
『わかればいいよ。そんじゃお土産楽しみにしてるから』
 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

【完結】剣聖と聖女の娘はのんびりと(?)後宮暮らしを楽しむ

O.T.I
ファンタジー
かつて王国騎士団にその人ありと言われた剣聖ジスタルは、とある事件をきっかけに引退して辺境の地に引き籠もってしまった。 それから時が過ぎ……彼の娘エステルは、かつての剣聖ジスタルをも超える剣の腕を持つ美少女だと、辺境の村々で噂になっていた。 ある時、その噂を聞きつけた辺境伯領主に呼び出されたエステル。 彼女の実力を目の当たりにした領主は、彼女に王国の騎士にならないか?と誘いかける。 剣術一筋だった彼女は、まだ見ぬ強者との出会いを夢見てそれを了承するのだった。 そして彼女は王都に向かい、騎士となるための試験を受けるはずだったのだが……

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件

言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」 ──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。 だが彼は思った。 「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」 そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら…… 気づけば村が巨大都市になっていた。 農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。 「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」 一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前! 慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが…… 「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」 もはや世界最強の領主となったレオンは、 「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、 今日ものんびり温泉につかるのだった。 ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

処理中です...