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第六話
天気はそこまで良くないが暑くもない。
いまは夏が終わろうとしている季節、こちらにも四季がある。
「絶好の旅日和だねー」
「そうだな、これからだな」
馬車を受け取り、馬にはブラハムと言う名前をつける。一緒に旅する仲間だ。
一応御者も出来るように勉強したから問題なく馬車に乗り改良した荷台にはリミが乗る。
門から出る時の確認は不要だ。
そしてようやく旅の始まり。
「ねえねぇ!私ワクワクしてる!」
「まぁ、俺もだ」
「いいねぇ!よし!ブラハム飛ばせぇぇ!」
“ブルルルル”
「ダメだってさ」
「あはは!そう見たい」
と笑いながら街道を南に進んで行く。
途中ウルフ系モンスターが襲ってきたが、返り討ちにして解体はリミに任せる。
毛皮なんかが売れるらしい。
迷宮街まで約1ヶ月。
途中にある村や町で宿をとりながら進む。
ようやく半分程、来たところで初の盗賊イベントだ。
って、あまり出会いたくないイベントだな。
「おら、お前らここで死んでもらうぜ!」
「あ、兄貴、お、女がいるぞ」
「よし!女は生かしといてやる!」
と巨大な男が1人と20人くらいのボロを着た盗賊だ。
「リミ、行けるか?」
「任せといて!『精霊召喚!来てシルフ!』」
緑色の旋風の中から飛び出してきたのは、悪ガキっぽい羽の生えた子供だ。
『ヤッホー!リミ!こいつらを蹴散らせば良いの?』
「そう!お願いできる?」
『分かったよー!んじゃ行くぜぃ!』
周りを取り囲んでいる盗賊達は一斉に吹き飛ぶと落ちて動かなくなっていた。
『へへーん!俺っちにかかればこんなもんだ!』
だが一人無傷なのが大男だ。
「よ、よぐも兄貴達を!」
と向かってくるので『マジェスティブレード』で斬り裂く!
「ウガァァ!イデェェェェェェ!!」
そりゃ両足を斬られれば痛いだろうな。
「はぁ、弱いな」
「そうね、盗賊達を縄で縛りましょ!」
気絶している盗賊達を縄で縛って行く。
「…は、な、なんだこれ!くっ!ほ、ほどけ」
ようやく気絶から復活したようだ。
「解くかよ!馬鹿じゃないか?」
盗賊だろうに、プライドはないのか?
「さぁ、アジトはどこなの?」
「い、言うわけねぇだろ!!
縛られている中で一番偉そうなやつに聞いたがダメのようだな。
するとリミがナイフを太ももに刺す。
「ウギャアァァァ!」
「どこにあるのか言わないとまた穴が開くわよ?」
「い、言う、あっちの林の中だ」
「だそうよ?私はこいつらの見張りをしておくからルシエ、お願いできる?」
「分かった」
リミを怒らせるとなかなか危ないなぁ。
指差した方に歩いて行く。
ちょうど獣道のように草が踏み固められている。
「ん、ここからかな」
少し進むと建物が見える。
まぁ、そこまで立派な建物ではないがそれなりに大きく作ってある。
扉を開けると大男が座って酒を飲んでいた。
「なんだ?まさかあいつらが負けたのか?」
「そう言うことだな」
すると飲んでいた酒瓶を叩きつける。
「まぁいい!お前を殺して助けるまでだ!」
と言うと横に置いてあるデカい斧を握る。
「お前らにも仲間意識があるんだな」
「舐めてんのか!」
横に振り切った斧は建物をぶち壊す。
しゃがんで躱した俺はミスリルソードに闘気を纏わせて斬りつける。
「グアッ!!」
よろけたところに『エアリアルラッシュ』を使い連続して斬りつけると大男は床に倒れた。
「グッ!クソッ!まだだ!『不屈』!」
こいつスキルを使って起き上がりやがる。
「クソッたれぇ!『マジェスティブレード』!」
首を斬り落としようやく倒れた。
「う、おぇぇ…」
人を殺す感覚はこんなにキツイのかよ。
出来るだけ殺したくはなかったが、殺さないと止まらなかっただろうな。
「胸糞悪いな」
ルシェールもまだ殺しはしてなかったからな。
とりあえず収納に入るか確かめると入った。
「こんな事のために取ったわけじゃないんだが」
俺はやるせない気持ちを抱えながら建物の中を見て回る。
奪ったであろう金貨や物資、その他の日用品や武器。とりあえず片っ端から収納して行く。
奥に行くと裸で縛られた女が二人いた。
「いま縄を切るから」
解放してから収納した物資の中で服を出して渡してやる。
「あ、ありがとうございます」
「…」
茶髪の女は喋れるようだったが、紫の髪の女の子は黙ったままだった。
そりゃこんなことになったんだ、喋る事ができなくてもしょうがないか。
二人を連れ外に出る。
来た道を戻ってリミと合流する。
「おかえり!どうだった?」
「コイツがいた」
大男の首を出すと、
「お、お頭ぁ!」
「う、嘘だ…」
盗賊達は気力を無くしたのか涙を流して項垂れている。
「もう戻していいわ、ごめんね。辛い思いさせて」
「いや、大丈夫だ。それよりこの二人が中にいた」
俺について来た女二人を指差すと、
「そう、服はあったのね。二人とももう大丈夫よ。そうね、馬車に乗って」
足を斬った大男だけはポーションを振りかけて傷を治し、俺たちは馬車に乗り込み盗賊達は縛られたまま走る。
盗賊達は抵抗しないみたいだ。
次の街には3時間ほど走ると到着した。
門兵に盗賊達を引き渡し、お頭と言われた大男の死体も渡す。
あと女二人を渡そうとすると紫の髪の女の子だけ、俺の服を握って離してくれない。
「どうしたの?もう帰れるのよ?」
「…わ…たしも連れて行って」
紫の髪の女の子はそれだけ言うと馬車の中に入る。
「ふぅ、仕方ないわね。まぁ、明日になれば気が変わるかも知れないしね」
「…そうか?それなら良いんだが」
門兵に明日に来てくれと言われ、書類を書いて街の中に入る。
茶髪の女は門兵について行った。
「まずは宿屋に馬車を停めてからギルドに行きましょう!今まで解体したやつも売却しましょう」
「分かった」
街はそれなりのデカさがあり、道も石畳だ。
大通りは賑わっていて、獣人やドワーフも見かけるな。
宿屋に着くと馬車を預ける。
「ねぇ?そろそろ喋ったらどう?何の目的があるの?」
リミが紫の髪の女の子に詰め寄る。
「名前はアイラ…冒険者。私もパーティーに入れて」
「ダメよ?冒険者なら自分で何とかしなさい」
「貴女に言ってない」
「な!」
リミは呆れたように身体を避けると女の子の真正面に俺?
「貴方に助けてもらった。私は魔導士、回復も少しなら出来る。役にたつからパーティーに入れて」
リミを見ると首を捻り俺に任せるらしい。
「俺たちは旅をしている。今はダンジョン都市に向かっているが、ついてくるのか?」
「問題ない、パーティーに入れて」
「…はぁ、まぁ、俺は良いけど?」
とリミの方を向くと、
「そうね、私も問題ないわ」
「だそうだ」
綺麗な紫色の髪は肩まであり背の低い女の子、目力が強くちょっと睨まれている気分だな。
「私がリミで、ルシエよ」
「分かった、二人ともよろしく」
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