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第三十七話
しおりを挟む朝靄の中、俺はまたギルドに顔を出す。
あれから3日経つが『眷属』は見つかっていない。
今日で『鑑定』するのは止めると言いに来た。
「おはよう」
「あぁ、おはよう。ギルマス、今日から普通に活動する」
「あぁ、そうしてくれ。『鑑定』はこれからも続けるから安心しろ」
「そうか」
ギルマスは少しやつれたようだな。
「それじゃあな」
「協力感謝する」
そう言って別れ、宿に戻るとリミ達が待っていてくれた。
「一緒にご飯たべよ!」
「お腹ぺこぺこ」
「そうですね。女将さん!朝食お願いします」
「あいよ!」
ゴテアラが仲間を失った苦しみが痛いほど分かる。
この仲間との時間が無くなってしまうと考えるだけでも怖くなる。
「ほら、怖い顔しないの!座ろ!」
リミ達が手を引いて席に着く。
「あぁ」
「眉間に皺」
アイラが俺の眉間を伸ばすので笑ってしまう。
「可笑しい?」
「あぁ、ありがとうな」
「良かったです。戻りましたね」
ネイルが笑ってそう言うので、戻ったのだろうな。
ゴテアラの事で気落ちしていた。
だがもう大丈夫だ。
「ラビオンたちは?」
「今日はまだ見てないわね」
「そうか、それならダンジョンには行ってないみたいだな」
行くなら一言言っていくからな。
「こんな朝早くから行動しないですよ?」
「それもそうだな」
今日はガイツのおっさんの所に行く。
「ルシエの武器はそれじゃないの?」
「これだが、一応剣を作ってもらおうと思ってな」
「私も短剣を作ってもらいたいです」
「ネイルの短剣も一緒に頼もう!」
「やった!」
鍛冶屋街に来た俺たちは『ブラウン』と言う小さな鍛冶屋に入っていく。
「ガイツはいるか?」
「へい!親方は今大事な仕事の最中でして」
と弟子でも取ったのか、若いドワーフがそう答える。
「そうか、ならまたの機会に」
「おう!お前ら待て待て!おい!こいつらは俺の客だから来たら絶対に俺を呼べ!」
「は、はい!」
と断って帰ろうとしたらガイツが鬼の形相で出てきた。
「来たなら来たって言ってくれ!お前たちを返したとなると俺の名が廃る!」
「大袈裟だ。まぁ、ありがたいがな」
「ルシエは刀の調子はどうだ?」
「すごくいいぞ?」
「見せてみろ!」
とガイツが言うので刀を見せる。
「…ちゃんと手入れはしているし、変な癖はついてないな!合格だ!!」
「そりゃどうも。仕事を頼みに来た」
「おう!何なりと言ってくれ!」
「俺の剣とネイルの短剣を打って欲しい」
「ん?剣と短剣か、そう言えば最初は剣だったな」
「そうだ。ミスリルソードだったが折れてしまってな」
ゴテアラとの戦闘で砕けてしまった。
「予備として剣も持っておきたい」
「わ、私は斥候なんでいいナイフが欲しいです」
「分かった!!俺に任せておけ!そうだな、3日くれ」
とネイルのナイフを見てから頷くと後ろを向いて中に入っていく。
「お、親方!今の仕事は?」
「あ?そんなの後だ!こっちの方が大事だからな!」
と奥から聞こえてくる。
「相変わらずだな。まぁ、3日後にまた来る」
「へ、へい!わかりました!」
剣も刀もどっちもメインウェポンにしたいからな。剣聖のスキルも何個かは刀でも使えるが、やはり剣技なので剣を持っておきたい。
もしも、『蠍人の化け物』が階層を移動出来たら…そのことが頭から離れないので、できるだけの措置をとっておきたい。
そのためにはスキルを十全に使えるようにしとかないとな。
「ほら、また眉間に!もう!」
「分かった、悪かったよ」
「かっこいい」
「あはは、眉間に皺寄せてるのかっこいいですけど、心配になりますよ」
とネイルは大袈裟に動いて笑いを誘う。
心配かけて情けないな。
「おっ、アクセサリー屋だな」
「あ!見て行こう!」
「好きなのを選んでくれ」
たまには俺からもいいだろう。
「やった!」
「私もいいんですか!」
3人は好きなアクセサリーを選んでいる。
リミはネックレス、アイナは指輪、ネイルはイヤリングだ。
「つけてつけてー!」
「はいはい、分かったよ」
リミのネックレスをつけてやる。
「それが狙い」
「ですです!ズっこいですね」
ニヘラと笑うリミにアイナ達が抗議している。
「平和だな」
「ぷっ!」
「おじさんくさい」
「あはは、でもいいじゃないですか」
俺の中身はおじさんだ。
夕暮れを4人で歩く。
「寒くなりましたねー」
「そうだな」
「もう冬」
「寒いのはやだなぁ」
と言ってひっついて来る3人に囲まれて、歩きにくいが我慢だな。
なんとなく3人のスキルツリーを見てみる。
リミは精霊使いが順調に伸びている。と言ってもパッシブのみだな。
まぁ、サラマンダーからは契約していないようだし、その代わり狩人が伸びているから契約にはポイントが足りていない。
アイナは魔導士のスキルツリーだが、少し伸び悩んでいる?リミのように他に取ってるスキルもないし、やはり止まっているな。
「アイナは今何を覚えているんだ?」
「…中級雷魔法」
「難しいのか?」
「難しい、けどやりがいはある」
「ん、なら大丈夫だな」
「うん」
アイナはいま成長途中だな。
ネイルはシーフのスキルツリーが伸びているが、探索者も少し伸びている?
「ネイルは勉強してるのか?」
「え、はい!みんなに追いつくために色々と」
「そうか、頑張れ!」
「はい!」
ネイルはシーフ以外にも自分の必要なスキルを選び取っているんだな。
3人とも前に進んでいるな。
負けていられない。
宿に帰るとラビオン達と食事をし、部屋に帰ってスキルツリーを確認する。
剣聖、商人、忍者、武士、錬金術師、探索者とスキルツリーを伸ばして来た。どれもいいスキルだが中途半端に伸びている。だが必要なスキルだ。後悔はしていない。
アルトとビッツから取ったポイントもあるので今はそれなりにポイントを持っている。
剣聖の『聖剣技Lv8』、武士の『刀技Lv6』。
さてどちらを取ろうか迷う所だ。
「これだな」
俺はスキルを取りベッドに横になる。
ポイントはまだ残っているが何か必要な時に使えるように残しておこう。
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