男子高校生のマツダくんと主夫のツワブキさん

加地トモカズ

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マツダくんの新しい恋

お隣のツワブキさん

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「最悪……。」

 松田まつだ智裕トモヒロは絶望に打ちひしがれていた。
 彼は、とある街の川沿いに並び建つ集合住宅(公営団地)の10階の自分の家のドアの前で川風と春一番の強風に晒されて、更に追い詰められていた。
 家に入ればいいのに、と第三者は突っ込むだろう。
 智裕にその選択肢は存在していなかった。何故なら彼は家の鍵を紛失してしまったからだった。

 現在午後5時ちょい過ぎ。先程、地域で鳴らしている5時のチャイムを聞き終えたところだった。風は一層強くなり、生暖かさが徐々になくなってきている。
 通信アプリで家族に連絡を入れる。「何時に帰ってくるんだ?」と。

 サラリーマンの父からは「今日は接待で遅くなるって昨夜言っただろう。」
 少し離れた場所の百貨店で働く母からは「早くても8時になる。」
 そしてこういう時の頼みの綱である、小学5年の弟・智之トモユキは今日から2泊3日の林間学校だった。
 まさに四面楚歌、ピッキングするほか手段はない。

「神様も仏様もあったもんじゃねーなぁ……。」

 空を見上げて呟くと、エレベーターから誰か降りてきた。パタパタと可愛らしい足音が近づく。

「あーっ!あ、あー!」

 少ない前髪にイチゴの髪飾りをつけた、歩きの拙い女の子が笑いながら智裕に向かって走ってきた。

茉莉マツリちゃん⁉︎」
「あーっ!たっちー!」

 自分にダイブするその女の子を智裕はしっかり受け止めた。こんなに小さな子が1人でエレベーターに乗るわけがないので、必然的に保護者が一緒にいる。

「まーちゃん、いきなり走りませんよ。」

 智裕の胸に収まっている1歳児の保護者が現れた。

「ツワブキさん!」
「あれ?智裕くん、こんにちは。」
「こ、こんにちはぁ……。」


 智裕の家の隣に住む、石蕗つわぶき拓海タクミさんと娘の茉莉ちゃん父娘おやこだった。去年の秋に越してきたばかりで、父子家庭ということもあり松田家とは既に深く交流していた。
 
(相変わらず…ちょー綺麗な人ー…。)

 智裕が拓海に見惚れていると、いつのまにか茉莉ちゃんは拓海に抱っこされており、智裕は解放されていた。

「ほら、まーちゃん、智裕くんにバイバイは?」
「あいあーい。」

 茉莉ちゃんは無邪気に小さな手を智裕に向けて振った。智裕は一瞬だけほっこりとしたが、次の拓海の言葉で自身の今の現実に引き戻された。

「あれ?智裕くんはお家に入らないの?」
「え?あー……えっとぉ、ですねー……入りたいんですけどぉ……入れないんですよねぇー。」
「……鍵、忘れたの?」
「ご名答ですぅ。そんで夜まで誰も帰って来ないんですよーあはは。」

  智裕は後頭部をクシャクシャとしながら笑い飛ばした。心の中は不運で泣いている。すると拓海はニコリと笑う。

「じゃあ、誰か帰って来るまで、うちにおいでよ。」
「へ?いいんですか⁉︎」
「でもまーちゃんが散らかしちゃってて片付いてないんだけど。」
「ぜ、全然!大丈夫です!屋根と壁があるだけでありがたいです!」
「ふふ…じゃあ入って入って。」

 智裕は通学用のリュックを片手に持ち、茉莉ちゃんと拓海に続いて玄関に入って行く。ドア、壁の色、間取り、全て自分の家と同じなのに全く違う部屋に迷い込んだように見渡した。
 玄関にはグシャグシャにクレヨンで描いた奇妙な絵が3枚飾られ、雑多な松田家とは対照的で物が少なく、全体的にスッキリしていた。

「おじゃましまーす……。」
「どじょー!」
「あ、どうも…。」

 茉莉ちゃんは恐らく「どうぞ。」と智裕を歓迎してくれたようだった。拓海は荷物をダイニングテーブルに置くと、茉莉ちゃんを捕まえて洗面所に向かった。

「まーちゃん、お家に帰ったらおててを洗いましょうねー。」
「あーい!」
「智裕くんも、手洗いしてね。」
「あ、はい。」

 家ではよほど汚れていなければやらないが、1歳児がいるとこうやって習慣付けさせているのだろう、と智裕は感心した。手を洗うと、智裕は茉莉ちゃんと一緒に子供向け番組を見ながら遊んだ。
 記憶のある中でこんな経験は殆ど初めてだった。弟の智之がこれくらいの年齢の頃にこうして遊んでやったことは無いに等しかった。智裕も遊び盛りで弟なんて眼中になかったのだと、何となく自分の愚かさに後ろめた気分になった。

「ああうー。」
「えっと…あ、ありがとう。」
「あーと!」

 茉莉ちゃんに次々とオモチャを渡される智裕はどうしていいかわからず彼女にされるがままだった。するとキッチンの方から香ばしい匂いが漂ってきて、同時にポケットに突っ込んでいたスマホが持続的に振動した。
 スマホを取り出し画面を確認すると、母からの電話だった。

「もしもし?」
『あ、智裕?ちょっと今日職場のみんなで飲みに行くことになっちゃったのよー。』
「はぁ⁉︎帰り何時になるんだよ?」
『10時くらいかしらね。』
「親父も今日接待じゃねーか!」
『もう高校生なんだから自分の夕飯くらいなんとかしなさい!出前とか取っていいわよ。』
「そーゆー問題じゃなくて…。」
『火の元には気を付けなさいよー。』

  ブッ…

「は?もしもし!おい!オフクロ!……なんだよ、もう切りやがったよ。」

 愕然としていると、茉莉ちゃんが同情的に智裕の頭を撫でる仕草をした。しかしそれではとても彼への慰めにならない。

「智裕くん、お母さんから電話だった?」
「あ…聞こえちゃいました?」

 智裕はバツが悪そうに声をかけてきた拓海に応える。茉莉ちゃんはずっと智裕を「ヨシヨシ」としている。

「えっと、オフクロもすっげー遅くなるとかで、夜中になっちまうみたいなんですよーねー……。」
「え……っ?」
「でもツワブキさんち、茉莉ちゃんの寝る時間とかもあるでしょうし、そんな長居出来ませんよね。ちょっと友達の家とか掛け合ってみますよ。」
「よ、良かったら…今日はウチに泊まりなよ。」

 智裕は間抜けな顔をした。だけどもこの拓海の申し出は今の智裕にとっては神の救いだった。数秒後に眉を下げて感激する。

「ホントに?」
「う、うん……着替えも、布団も1組あるし……。」

 拓海は恥ずかしそうに下を向きながら話すが、今の智裕にはそれを気に留める隙がなかった。思わず立ち上がって、先程の茉莉ちゃんのように拓海に抱きついた。

「ツワブキさん…!貴方は俺の命の恩人です天使様です救世主様です神様です!」
「そ、そんなの大げさだよ……い、いつも松田さんには、お世話になっているし…ね?」

(ツワブキさん、本当に一児の父親かよ。何か甘い匂いするし、その辺の女子より細いんじゃね?なんか妙に……。)

 「ムラムラ」という単語が頭を過ぎった瞬間、智裕は「わあぁあ!」と叫びながら拓海を引き剥がした。抱きつかれた拓海は顔が熱くなっていた。

「ご、ごめんなさい!急に!超嬉しくてつい…。」
「だ、大丈夫!まーちゃんで慣れてる、から…。」

 1歳女児と16歳男性の差では苦しい言い訳だった。拓海は少し息を整えると、一保護者としての毅然とした態度をとる。

「うちに泊まること、ご両親に連絡しておいてね。きっと心配するだろうから。」
「わ、わ、わかりました。」

 智裕はすぐにスマホの入力を始めた。しかし彼の心臓はまだうるさい。

(ムラムラとかおかしいだろ!いくら美人さんでも同性なんだからさ!……でも今時そういうのカンケーねーのかも…いやいやありえねーって!今日の今日でそんなん無理だろ!)

 智裕の百面相に気がついたのは茉莉ちゃんだけで、それを見ながら「キャッキャ」と嬉しそうに笑う。智裕は何がおかしいのか分からなかったが、茉莉ちゃんにヘラヘラと合わせて笑う。


 午後6時、一宿一飯の恩義のつもりで智裕は茉莉ちゃんをお風呂に入れた。湯船の中でお風呂用のおもちゃで一緒に遊んで、子供用シャンプーで茉莉ちゃんをしっかり洗う。
 1歳児といえど他所よそ様のお嬢様ということもあり、腰にタオルを巻いていた。

「ツワブキさーん、茉莉ちゃん上がりますよー。」
「はーい。」

 浴室のドアを開けて、脱衣所に茉莉ちゃんを降ろすと、はしゃいだ茉莉ちゃんはお約束のように智裕を隠していたタオルを無残に取り上げた。出てきた智裕自身を見て茉莉ちゃんはケタケタと笑う。

「茉莉ちゃん⁉︎何してくれてんの!」
「きゃー!あはははは!」

 しかしコレを認識している相手は男しかいなかったのが不幸中の幸いだと智裕は少し安心したが、自分の汚物を見せてしまったような気分になり軽く謝る。

「すいませんツワブキさん。茉莉ちゃん、お願いしまー……す。」

 ヘラヘラと笑って顔を上げ、拓海の反応を確認したら智裕は訳がわからずに固まりそうになった。
 拓海は思いっ切り顔を逸らして、固く目をつぶっていた。そして顔面の皮膚は真っ赤に染まっている。智裕はそっと浴室のドアを閉めた。

(何で赤くなるの⁉︎俺がめっちゃ恥ずかしくなるってば!)

 智裕は他人の家の浴槽に沈んだ。

 脱衣所に出ると、智裕には少しだけ窮屈なシャツとスウェットが置かれていた。下着も新品、智裕は普段トランクスなのだが一晩だけなら、と明らかにコンビニで売ってるボクサーパンツを身につけた。

「お風呂先にいただきましたー。」
「いや、こっちもまーちゃん入れてくれて随分助かったよ。」
「あーい!」

 茉莉ちゃんは可愛らしいベビーピンクのパジャマに着替えていた。

「あー!たぁ!」
「うぉ⁉︎」

 智裕の膝にタックルをかけてくる。智裕はニヤリと笑って、高い高いの猛攻。女児は無邪気に大笑いする。

「ほら、2人ともご飯だよー。」
「あーい!」
「やったー!」

 智裕のテンションは1歳児と同等となった。男子高校生なら誰でも大好きな焼肉と炒飯が合体して彩りも綺麗な「焼肉炒飯」が大盛りで置かれていた。
 茉莉ちゃんは小さいおにぎりと柔らかそうな茹で野菜、小さく切ってもらったバナナが乗ったプレートの前ではしゃいでいた。

「まーちゃん、はい、あーん。」
「あー……んー!」
「美味しいねー。智裕くんはどう?お口に合うかな?」
「美味いっす!うちのオフクロの何倍も美味いっす!」

 空腹も手伝って智裕はあっという間に大盛り炒飯を平らげて満腹になった。拓海は少々驚いたが母のように微笑んで喜んだ。

 午後8時、茉莉ちゃんは拓海の膝に抱きつきながら駄々をこね始めた。これは睡魔が襲ってきた証拠らしい。

「ちょっとまーちゃん寝かせてくるね。」
「あ…はい。」

 拓海は食器の片付けを中断して茉莉ちゃんを抱えて寝室へ入った。智裕はチラリとシンクの方を見て、腰を上げた。
 両親共働きという家庭環境下、松田家の兄弟は一通りの家事をこなせる。(クオリティーは2の次)
 拓海が戻ってくるまでには、食器の水切り棚に洗った皿を全て収めた。
 30分ほど経過して、拓海がダイニングに戻ってきた。

「あ、皿洗ってくれたんだ。」
「あー、はい……。」
「ありがとう、助かったよ。」
「いえ!ご飯美味かったですし、これくらい家でもやってるんで。」
「そうなの?」
「そうなんです……。」
「そっか。じゃあ俺はお風呂に入ろうかな。」
「はい、ごゆっくり。」

 拓海は脱衣所のドアを閉めた。智裕はしばらくドアを眺めるが、すぐにリビングのソファにちょこんと座った。部屋の隅に置いた荷物、その上に適当に置いていたスマホが光っている。
 通信アプリを開くと、何件も新着している。ひとつは家族から、「きちんとお手伝いしなさい」とまるで小学生に言い聞かせるような釘。そして学校のクラスのグループだった。


_松田ー、生きてるかー?
_松田くん、何気モテるんだから大丈夫でしょ。
_でも二股って、女こえーwww
_あれは小悪魔だけが成せる技なの!
_女こえーwww
_男子黙れし
_誰か今度トモのために合コンしてやれよー
_明日ヤ●ルトおごってあげるから元気出してね、松田くん。
_ヤク●トって何十円だよwww
_あの二股女、マジで痛い目見てほしいわー。
_トモ、明日は学校来いよ。少なくとも俺らはお前の味方だかんな。


 今日、黄昏る直前だった。まだクラスメートが残る教室の前で、智裕は2ヶ月前に交際を始めた彼女女子にこっ酷くフラれた。
 智裕は女子と付き合えればなんでもいいやという男子高校生特有の安易な考えで彼女ゲットしたが、バスケ部の主将をしている3年生の先輩と二股をかけられ、所謂いわゆる「第2の男」であった。それを盛大に開き直られ智裕は瀕死状態の心で家路に着いたが、家鍵を失くすという追い討ちをかけられていた。


_家の鍵失くしたけど生きてる。隣の人に泊めてもらった。


 事実をありのまま打ち込んで送信すると、スマホは絶え間なく振動をする。


_マジかよ(゚Д゚)
_え、何々⁉︎団地妻⁉︎
_団地妻の家に泊まれるとかどんなご褒美だよ!
_男子サイテー
_エロ動画見すぎ
_松田生きてた!
_トモを癒すのは団地妻か!
_いーじゃんいーじゃん!
_なんて漫画⁉︎
_男子サイテー
_男子黙れ


 話の線はズレていっているが、クラスメートの言葉がおかしくて温かく感じた。

_残念だけど隣の家は父子家庭だ。

 また事実を打ち込むと、一斉に男子から怒りや悲しみのスタンプの嵐だった。

_そういやトモのお隣さんって美人なお父さんと1歳の女の子って言ってなかった?

 智裕とクラスで1番仲が良い宮西みやにしの発言で、また智裕のスマホは台風を迎えた。荒らしているのは主に女子だった。


_写真!写真!
_写真撮って!
_美人=イケメン!
_松田のくせに!
_松田のくせにイケメンと一緒だと(゚Д゚)
_まさか松田…1歳児に。
_写真!イケメンパパの画像!
_盗撮でも構わん!


「怖ぇよ女子!」

 思わず叫んでしまった。

「どうしたの?」

 後ろから声がしてきたので智裕は驚いて振り向く。するとそこには湯上りの拓海が、まだ髪が濡れている状態で立っていた。その姿は妙に艶やかで、拓海が男だということを忘れそうになった。
 智裕と色違いのスエットとヨレヨレのシャツなのに、同じ男なのに、どうしてこうも違うのかと驚愕してしまう。

「ごめんね、びっくりしちゃった?」
「い、いえ!えっと…その…あの。」

 智裕は言葉が出てこない。そしてずっと見てしまう。その視線に拓海も顔が赤くなる。

「お、お茶、淹れるね。紅茶と玄米茶、どっちがいいかな?」
「え、えっとじゃあ紅茶で…オネガイシマス。」

 どことなく緊張してしまった智裕はカタコトに紅茶を選択した。脱衣所の方からガタンガタンと音がする。

「うちは夜に洗濯機回すんだ。朝はバタバタしちゃうからね。うるさくてごめんね。」
「い、いえ!うちもオフクロが夜中にやってるんで大丈夫ですよ!」
「そうなんだ。やっぱり朝は忙しいからね。はい、どうぞ。」

 ソファに座っていた智裕に拓海はマグカップを渡してくれる。そして少し離れて拓海がソファに座る。
 気心知れている、まではいかないにしろ、単なる隣に住むなのに智裕にはどうも先程から妙な緊張が走る。

(何か、話さないと!)

「あ、あのツワブキさんって、お、おいくつ、でしたっけ?」
「えと…24歳、だよ。」
「24⁉︎」
「え⁉︎み、見えないかな?」
「いや、見た目はこう、なんか、わっかいですけど、茉莉ちゃんいるし恐らくバツついてるから30くらいかと思ってました、はい!」

 智裕は驚きすぎて危うく紅茶を零しかけた。

(そういや何度も話しているけど、俺、ツワブキさんのことあんまり知らない。)

「大学卒業したばかりで、今月からやっと正社員なんだ。」
「茉莉ちゃん育てながら大学ですか?」
「うん。夜間だからアルバイトしながらだけど。大学にも託児所があったからね…なんとか卒業出来たよ。」
「すごいっすね…。」
「そんなことないよ。俺なんかよりもっとすごい人はたくさんいるし。」
「いや、俺にはそんなん出来る自信ないですよ。すげーっすよ。」

 智裕は感心しながら笑って拓海を賞賛する。


「まーちゃんのママとは20歳の頃から同棲しててさ、僕が卒業したら結婚しようって言ってたんだけど、まーちゃんが生まれてからすぐにいなくなっちゃったんだよね。」

 その憂いた拓海の横顔は、不謹慎ながら美しい、と智裕は感じた。そしてまたもや見惚れてしまった。

「あー……その……。」
「ごめんね、こんなこと智裕くんに話しちゃって。でも俺は今の生活が幸せだよ。」

 悲しい笑顔じゃなくて、いつも通りの笑顔になっていた。それを見て智裕はなぜか胸を撫で下ろした。

「あの…!俺、帰宅部で超ヒマなんで、何か困ったこととかあったらホント、遠慮しないで言ってください!茉莉ちゃんと遊んだりとか出来ますし!」

 安っぽい智裕の申し出、そしてその勢いに拓海はポカンとした顔をしたが、ふわりと笑った。

「ありがとう。」

 その当たり前の一言が、智裕にとってはキラキラと輝いて見えた。

「あの!せ、洗濯物干しましょうか⁉︎な、何かしてほしいこと、あります⁉︎」

 智裕はマグカップを持ったまま立ち上がる。見上げる拓海の目はキュルンとしているように見え。

(か…可愛い?いやいや男の人、一児の父!)

 煩悩を振り払うように、ブンブンと頭を振り回した。改めて拓海を見ると、拓海は下を向いて、両手で持ったマグカップを見つめていた。紅茶の透明オレンジが拓海の鏡になっていて、ふと見えた拓海の顔が、まるで乙女のようであった。智裕の顔の温度も上昇する。

「ま…た……こうして、泊まりにきて……欲しいな…。」
「へ?あ…でもご迷惑じゃ……。」
「迷惑なんかじゃないよ…!」

 赤面したまま拓海は必死に智裕を見上げた。バチリと目が合うが、智裕は突然すぎて逸らせなかった。



 「俺、智裕くんのことが好き、なんだ……。」



 智裕の脳内は、愛の告白というダイナマイトで大爆発を起こした。

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