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”日常その参”
【プレゼントと消したい過去】
しおりを挟む「あ、開けてみて」
『うん』
ゆっくり、破かないようにリボンを外すその所作だけを見ても、新樹はキュンキュンする。
嗚呼・・・・・・あんなに強くても、優しさを忘れてない女性なんだな・・・・・・と。
箱をパカッと開ける。
そこには、白い綿の上で優雅に横たわっているシルバーリングが二つあった。
セツナは目を丸くして、その綺麗なアクセサリーを見つめた。
『コレを、私に?』
「うん・・・・・・きっと・・・・・・いや、絶対に似合う」
ブレスレットにしたのは、サイズがイマイチ分かっていなくても、応用が利くという点・・・・・・だけで選んだのではない。
実は、新樹なりに考えがあってのことである。
セツナの、細く折れてしまうそうな手首ーーーー
ずっと気になっていた・・・・・・否、ずうっと忌々しかった・・・・・・
手首に残っている、鎖の跡・・・・・・
考えたくもないが・・・・・・抵抗したのだろう。
長いこと繋がれていたのだろう。
鎖が肉に食い込んで、皮膚を裂いた跡が、わずかだが残っている。
そのことが、あまりにも腹が立った。
セツナを・・・・・・自分の大切な女性を・・・・・・物扱いして、鎖に繋いでいた事実、過去を憎んだ。
芥川じゃなかったら、そいつらを皆殺しにしていたであろう。
彼女は自由だ。
天女のように美しく、百合の花のように可憐で・・・・・・言葉では形容できないほど。
なのに、あの傷痕が邪魔をしてくる・・・・・・
ならば、自分の手で消してやる。
独占欲・・・・・・何とでも言うがいい。
だが、これも新樹の覚悟の表れであった。
「・・・・・・」
「・・・・・・気に入らない?」
セツナは首が取れるほどブンブン横に振った。
ホワイトボードを置き、床に正座をした。
箱からうやうやしくブレスレットを取り出し、物珍しそうに見つめながら、はめる。
なんという幸運か・・・・・・サイズはピッタリ。
しかも、ちょうど傷が隠れる。
そのことを、彼女が意識しているかは分からない。
が・・・・・・
ニコッ・・・・・・
セツナの、破壊力バツグンの笑顔を見てしまうと・・・・・・
自分の中にあったドロドロとした黒い感情が蕩けていく。
「似合ってる・・・・・・その、お前のために作られたんじゃないかってくらい」
余裕のない新樹なりの、精一杯の褒め言葉だった。
「・・・・・・ア」
「え?」
「ア・・・・・・アリガトウ・・・・・・」
「~~~~~~~!!」
初めて聞けた。
彼女の、ポジティブな声。
そうさ・・・・・・本当の初めては、ネガティブな言葉を吐かせてしまった。
それは、無くすこともできない。
消すこともできない。
忘れてはいけない。
だがしかし・・・・・・今は浸っていてもイイよな・・・・・・
マリア様のような笑顔に、感謝の言葉ーーーー
これ以上何を望む?
しばらくの間、二人は言葉を介さず、見つめ合っていたーーーー
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