【休止中】死が二人を分かつまで

KAI

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”日常その肆”

【敗北の代償】

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 夜ーーーー



 セツナがインターホンの音を聞きつけて、玄関に出ると芥川が頼んでいた出前が届いていた。



 受け取り、彼にも何か食べさせて元気を出させないとと思い、部屋をノックした。



「・・・・・・」



 コンコン



 コンコン



「・・・・・・」



 ダメか・・・・・・



 部屋の前に芥川の分を置き、去ろうとするとーーーー



「すみません! 入ってきていただいて構いませんよ!」



 やっと聞けた芥川の声。



 少しホッとしたセツナはドアノブを掴み、彼の部屋へ・・・・・・



 ・・・・・・!?



「いやぁ~今日はピザが食べたいなぁと思いまして! Lサイズ頼んじゃいました!!」



 なんだろうか・・・・・・



 違和感がある・・・・・・



 あれほど落ち込んでいた芥川が、妙にテンションが高い・・・・・・



 なんだ??



「う~ん・・・・・・いい匂いですねぇ」



 ピザの皿を受け取・・・・・・



「・・・・・・ッッ!?」



 伸びてきた彼の手を見て、セツナは驚愕した。



 なんと十本の指全てが、包帯でグルグル巻きになっている。



 スンスン・・・・・・



 錆びた鉄のような臭い・・・・・・



 セツナは止める芥川の言うことも聞かずに、ゴミ箱まで近づき中を覗いた。



「・・・・・・」



 あった・・・・・・



 あってほしくなかったが・・・・・・予感は的中した。



 生爪・・・・・・!!



 それも、無理矢理剥がしている。



 爪には血も皮膚も、真皮まで付着していた。



 生々しい血痕と爪たち・・・・・・



 キッ!



 セツナが芥川を睨んだ。



 芥川はアゴヒゲをイジりながら、ばつが悪そうに、



「なんて言うンですかね・・・・・・その・・・・・・自分への罰ってやつ?」



 キュキュッ!!



『自分を痛めつけて、何が償えるって言うの!!』


「己の・・・・・・弱さですかね」


『・・・・・・仮に私やアラキが負けたとして、同じことを強いることができる!?』


「それは・・・・・・」


『・・・・・・愚痴くらい、聞くわよ』



 セツナは哀しそうな顔をしている。



『いくらでも・・・・・・泣きベソでもなんでも聞いてあげる!! だから、もうこんなことしないで!!』


「しかし・・・・・・弱き自分への戒めとして・・・・・・」


!!」



 初めて聞いた・・・・・・



 セツナの怒号・・・・・・



「ゲツ・・・・・・ダメ・・・・・・」


「・・・・・・すみません」



 今にも泣き出しそうなセツナに、平謝りする芥川。



『・・・・・・今までも?』


「素直に言うと・・・・・・そうですね。負ける度に・・・・・・」


『なんで・・・・・・』


「かつて海外の著名な文豪が、締め切りを守れなかったら指を詰めていたそうです・・・・・・亡くなる頃には、彼の指は数本しかなかった・・・・・・ちょっと真似を・・・・・・」


『もうやめなさい・・・・・・もしも、痛めつけないと気が済まないって言うのなら・・・・・・』



 バッとセツナが自分の手を差し出してきた。



『私の爪、あげるわよ』


「そんなことしませんよ!」


『じゃあ、もう終わりね』


「・・・・・・分かりましたよ・・・・・・戒めはこれで終わりにします」


『イイ子。それじゃあ、ごはんにしましょ』


「・・・・・・はい」



 二回り以上歳が離れている少女にガッツリと怒られた芥川は、ピザを彼女と囲んだ。



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