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”アイドル篇”
【裏表】
しおりを挟む翌日ーーーー
「「「みんな~♪ ニャオ~ン! 食べちゃうぞ♪ ネコ・らぼです!!」」」
耳がキンキンするような、甲高い女性のような声。
それが道場の玄関口で響いていた。
大・中・小・・・・・・
そんな形容がピッタリな三人組だ。
「今日はこの! 芥川道場さんにて! ボクたち主演の映画のスタント協力をしていただけるということで、お邪魔してま~す!」
中くらいの赤髪の男性がぐるりと道場を見渡す。
「昭和レトロを残した見事な道場ですね~」
なんだろうか・・・・・・とってつけたかのような、薄っぺらい褒め言葉。
「って! またつまみ食いしてる! レン!」
『レン』と呼ばれた青い髪の男性・・・・・・少年? がお菓子を食べている。
「だってお腹空いたんだも~ん」
「まったく~しょうがないヤツだな~」
・・・・・・なんか、出だしから終わりまで決まっている台本を読んでいるかのような振る舞い。
見ていて少し恥ずかしくなってくる。
こう・・・・・・無理に自分たちにキャラをつけようとしている感じというか・・・・・・
「・・・・・・」
「モ~! ゴウってば! また恐い顔して~!」
この男が一番の曲者だった。
大・中・小の、『大』の男。
先の二人が成人男性の身長よりも低いのに対して、この『ゴウ』とやらはかなり大きい。
黒髪を流しており、サングラスをかけて軟骨にまでピアスを開けている。
まだ寒い季節だというのに、柄シャツ一枚を着てボタンを三番目まで開けている。そこから覗く胸筋は、なかなかの代物だった。
「・・・・・・ダリぃ」
「もう! 悪い口は、めっ!」
リーダーの赤髪『カン』がぷんすこ怒っている。
ゴウがため息を吐くと、道場に入ってくる。
・・・・・・なんだか、あまりにも他二人と色が違う。
身長も体格も厳つい。
髪もアクセサリーもビジュアル系と言った感じで、癒やし系で売っている『ネコ・らぼ』には合っていないように思える。
鼻筋は高く彫刻のような顔立ち・・・・・・おそらくだが、掘りの深さを見るにどこかの国の血が入っていそうだった。
しかし・・・・・・そんな天使から授かったかのような美形も、目つきが悪すぎて台無しだ。
ミシシッピアカミミガメのような細くキュッとした目つき。
柄シャツの胸ポケは膨らんでいる。
喫煙者ならばひと目で分かる。
中に何が入っているのか。
「・・・・・・で?」
「あ・・・・・・では~! 今日からお世話になります道場の主! 芥川 月さんです!!」
撮影クルーの拍手に贈られて、芥川がカメラの前に出てくる。
格好はいつも通り。黒の作務衣だ。
ヒゲも剃っていない。
「いやぁ~ボクたち素人を鍛え上げてくれるんですね!」
「ええ。立派な武人にしてみせますとも」
「心強い! レンとゴウも挨拶して!」
「っしま~す・・・・・・」
「・・・・・・ウス」
「と、まあこんな感じでボクらの情熱が伝わったかにゃ? みんな~映画館で待ってるね♡」
ピッ!
「はいっ! カンさん・レンさん・ゴウさん、オーケーです!」
「・・・・・・ザシター!」
急に本性を現しやがった。
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