アパート管理人はダンジョンマスターを兼務する

深香月玲

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第10話 地獄の沙汰もダンジョンマスター次第

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ゴミ男は何が起きたのかいまいち把握できていないようだ。
違うか、生き返ったことに動転しているのかもしれない。
丁度いい。
やってしまえ。
ゴーレムは私の思考を汲み取ったのか、再び何かの塊をぼんやりしているゴミ男の頭に直撃させる。
何だろう、この感覚は。
スプラッター映画も真っ青な映像なのだが、三度目ともなると特に何の感情も湧かない。
さっきも言った通り、嫌いな人間がどうなろうがという元々の気質もあるのだろうが、ダンジョン化の影響もあるのかもしれない。

『敵性勢力の眷属を撃破したのでポイントを獲得しました。』

「多田さん?」

面近さんが怪訝そうに声をかけてくる。

「あぁ、ちょっとお仕置きついでにダンジョンのルールを確認しているところです。」

「オォー、月ニ替ワッテオ仕置キ、デスネー。」

「お仕置き、ですか。まさか、チラシ男みたいに…。怪我なら私の治癒で直してみますけど…。」

「どうやら自陣内で死亡した場合は復活できるようなんです。」

「へ?死亡?復活?多田さん、やっちゃったの??」

「皆さんの安全を守るためです。ちょっとした事故でしたが実験台になってもらうことにしました。」

「やっぱり頼りになるのですわ。多田さんにどこまでもついていくのですわ。」

「そういう問題なのか?」

言ってる間も脳裏の映像を注視していたが、ゴミ男が二度目の復活を果たしたところだ。
部屋の中は全部は見えていないが、見えている限りでは置かれているものはなくなったようだ。
この分だと部屋の中の「モノ」が代償となるなら、あと一回復活できるかどうかじゃないだろうか。
所有する財産ならゴミ男は会社勤めしてたはずだから、貯金とかいくらかはあるはずだけど。

やっておしまい。
三度みたび、ゴーレムの投擲がゴミ男の頭を潰す。

『敵性勢力の眷属を撃破したのでポイントを獲得しました。』

『敵性勢力眷属の素体を獲得しました。』

あぁ、ご愁傷さまです。
どうやら、ゴミ男はリスポーンするための代償がなくなったため我々の駒になったようだ。
この感じだと、貯蓄している財産は代償には充てられないようだ。
通帳とかの残高はダンジョンとしては何ら価値を持たないということなのだろう。
今どきはネットバンキングで通帳すら持ってないかもだけど紙通帳なら紙の分ぐらいは代償になるかもしれないが、極めて少量しか貢献しないことだろう。
そう言えば、気にしていなかったがこのゴーレムが駒なのだろうか。

『駒はダンジョン内を巡回するゴーレムや、定位置で監視するガーゴイル等として配置することができます。』

そうか、チラシ男のなれの果てがこのゴーレムか。
ゴミ男共々、精々私たちの役に立ってくれ給え。

ここまでに分かったリスポーンの条件、駒のこと等を皆に共有しておく。
その後、ゴーレムをみんなで見に行こうと思ったところでまた「天の声」が響いた。

『侵入者を感知しました。迎撃を開始します。』

はー、なんでこのタイミングで入ってくるかなあ。
自動追尾監視が捉えているのはゴミ男の上に住んでいるコーポ大家を通り抜けに使っている阿呆だ。

ゴーレムは待機だ。
侵入者の処置として考えられる方法は何がある。

『侵入者は倒すか倒されるかです。』

侵入者が投降したり、侵入された側が放逐することはできないのか。

『ダンジョンマスター以外の投降は不可です。放逐は不可ではありませんが無意味です。』

いやいや、こんなだったら郵便配達とか宅配とか成立しなくなっちゃうよ。

『侵入者の判定は敵性行為の有無、ダンジョンマスターの記憶照合の順で判断しています。』

おや?
クリスが侵入者と判断されなかったのは「天の声」が何かしらの情報を持っているからと思っていたが違ったようだ。
チラシ男、通り抜け男については直接的な敵性行為は無かったが、私の記憶照合で侵入者と判断されたのか。
チラシ男は以前に来たことのある人物かどうかは知らないが、張り紙を見て回れ右しなかったのだから仕方ない。
運が悪かったと諦めてもらおう。

さて、通り抜け男はどうしてくれようか。
境界の塀を乗り越えようとしてできないので困っているようだ。
こいつも見かける度に注意していたが、一向に通り抜けをやめる様子はなかった。
見つからなければ問題なしとでも思っているのだろうか。
面倒なのでとっとと駒にしてしまおうか。
あー、それか先に制圧してしまうのはどうだろう。
自領を広げてこいつらに侵入者の相手をさせるのもいいかもしれない。
うちの住人がより安全に暮らせるというものだ。
敵陣を制圧するにはどうしたらいいんだ。

『敵陣の制圧は、敵陣ダンジョンマスターの撃破、もしくは降伏により成立します。』

ふーん、あのババアさえ何とかすればいいのか。
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