アパート管理人はダンジョンマスターを兼務する

深香月玲

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第31話 ダンジョンの行く末

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「その言い方だと、まだ何かが起きるみたいだけど?」

「そうです。昨夜、集合住宅がダンジョン化して、私のようなダンジョンマスターがいないところでは住人が怪物化しました。そして今日の日没後になって、怪物化した建物はゲームみたいな本当のダンジョンになってしまった、かもしれない。これってダンジョンが成長しているように思えませんか。」

ダンジョン化してそれで終わり、となるとも思っていなかったが少々展開が早すぎる。
住人が出られないような初期設定だったのも、怪物にするための素材を逃がさないためだったのかもしれない。
伴さんのようにまだ帰宅していない人を取り込むために建物をしばらく残しておいたとかも考えられるかもしれない。

「ダンジョンが成長して何をしようっていうのかしら。ありがちな展開だとダンジョンから魔物が溢れ出してくるとか?」

「はい、今のところそういう情報が流れていないようなので、あってほしくはないですがさらにありがちなスタンピードを起こそうとしているかもしれません。」

「スタンプがどうしたんだ?ワシにも分かるように説明してくれ。」

「金垣内さんに不思議な能力については既にお見せしましたが、実は怪物も発生してるんです。それが大量に発生して街中に溢れ出してくるんじゃないかと危惧しているわけです。」

寧ろ、それぐらいで済んでくれるなら助かるんだが、と思っている自分がいる。
実際問題として怪物が溢れるぐらいなら、警察や自衛隊でも対処できると思っているからだ。
私の射撃スキルが有効なのだから、警察の拳銃や自衛隊の武器が歯が立たない理由がない。
心配しているのはさらにその先だが、想像に想像を重ねてもキリがないので今はそこまででいいだろう。

「そんなことになったら大変じゃないか。多田くんが何とかしてくれるんだろ?」

「私だけで何とかなるとはとても思えないですね。こうなっては今はこの状況を理解できる人をたくさん増やしてみんなで協力することが必要だと思います。」

「私たちにできることはありますか。」

「お友達などに積極的に情報を開示して先ずは行動の自由を確保してもらうことでしょうか。あと、アカウントをお持ちのSNSでも発信していいかもしれません。ただし、推測したことは含まずに事実のみを伝えるようにしてください。」

「なるほど。マスター、お店のアカウントにも情報上げましょう。」

「ステータスを確認してもらって、ダンジョンマスターに働きかけて行動制限を変更してもらうんですね。私、医療関係者を中心に広めてみます。」

「マスコミに知り合いが多いでしょう令子さんにも手伝っていただけるといいかもしれませんね。連絡してみます。」

「ワシも知り合いが渋谷警察署の副署長やっとるから連絡してみよう。だが、説明は自分ではよう分からんから頼めるだろうか。」

「警察のお知り合いがいるんですね。それはいいかもしれません。説明はお引き受けします。」

こうして金垣内さんに連絡してもらった副署長さんにどうにかこうにか何とか説明すると、情報の拡散は皆さんにお願いして私は現状の把握に乗り出したのだった。
取り敢えずは獣人賃貸がどうなっているか確認しに行くことにしたのだが、向かう途中では建物が消えているところは見当たらない。
外観で見るからにワンルーム賃貸っぽいものがいくつもあるのだが、そのまま建物が消えることなく残っている。
そして、獣人賃貸が肉眼で確認できるようになる所まで来ても、ここまでで消えている建物はないということが確認できた。

獣人賃貸の中も確認するが、引き続きガーゴイルがフル回転で獣人を屠り続けていた。
同様に蜥蜴賃貸、猫獣賃貸も外観、中の様子共に変わらずだった。
どういうことだろう。
さっき考えたことが何か根本的に間違っているのだろうか。
消えてしまった建物と消えていない建物で何が違っているのか分からない。
こうなると消えてしまったところを確認した方がよさそうだ。
情報を求め、面近さんが確認している取り壊し途中だったアパートがあった場所に向かうことにした。

もうすぐ目的地というところで建物が消えてしまったと思われる場所があった。
そこには、ぼんやりとした入り口ひとつだけが存在している。
うーん、何とも言えない雰囲気が漂っている。
個人的にはあんな所には絶対に入りたくないなと思うので、ここは無視して先に進む。

もう少し進むと目的の取り壊し中アパートだった場所にたどり着いた。
さっきとは違い地下に続く階段の入り口がそこにはあった。
さっき同様、入らずに済むなら入りたくないというのが素直な気持ちだ。
しかし、ここまで来て何も新しい情報を持ち帰れなかったなんてことになると私としては立つ瀬がない。
気が進まないけど行くしかないかと決心して敷地内に足を踏み入れた。

が、念のため一度外に出られることを確認して改めて中に入った。
ほら、やっぱりちゃんと確認はしておかないとね。
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