アパート管理人はダンジョンマスターを兼務する

深香月玲

文字の大きさ
34 / 47

第34話 ダンジョンを封鎖せよ!

しおりを挟む
うーん、一体どういうことだろう。
私が見た覚えがあるこの建物の窓ガラスはあちこち割れていて、逆に言うとまともな窓があったかどうか怪しいくらいだったはずだ。
壁も結構な状態で、放置されて以降で悪ガキとかにイタズラされて穴が開いていたところもあったはずだ。
雨樋もだらしなく垂れさがったりしていて、九月に発生したスーパー台風の時にはいろいろとどこかに飛んで行ってしまうのではとご近所さんが警戒していたようだが、なんとかさらにバキバキになっただけで周りに被害を及ぼすことはなかった。
その後の台風15号による更なる局地的豪雨でバキバキさに輪がかかっていたようだが、この時も耐えて辛うじてぶら下がっていたはずだ。

そう言えば、局地的豪雨のことをいつの間にかゲリラ豪雨なんて呼び方が浸透し、2008年にはあの流行語なんたらのトップ10に選出された時には驚いたものだ。
マスコミが率先してゲリラなんて不正規戦闘を指す言葉を気象用語として用いるなんて、なんと配慮に欠けることかと憤りを感じたものだ。
戦争反対や世界平和を声高に叫ぶ同じ口でそんな言葉を日常に持ち込んでくるとは意味をちゃんと理解した上で使っているのか正気を疑われても仕方がないんじゃないだろうか。
さすがに現在の国営放送の報道や気象予報では使用を避けているようだが、民放では未だに頻繁に聞くことがあるので何も考えていない能天気な人が多いらしい。
同じような言葉に爆弾低気圧なんてのもありましたね。
言い出しっぺと広めた人の品位を疑いたくなります。

建物の周りを一回りしてみるが、どう見てもあのボロボロだった面影がどこにもない。
しかも周りに組まれていたはずの足場も一切ない。
寧ろ新築しましたと言ってくれた方が納得できるぐらいだ。
何らかの理由があって取り壊しが中断されていたんだろうけど、外から今の状態を見る限りでは取り壊しが必要だとはとても思えない。
老朽化ってほど築年数も経ってなかったようにも見えたし、そもそもの取り壊しの理由を知らないので何とも言えないか。

うーん、これってやっぱりダンジョンの自動修復なのだろうか。
でも、自動修復って軽微な損傷が対象だったはずで、重大な損傷はポイントを使うのではなかったか。
覚えている限りの外観が軽微な損傷とはとても思えない。
まさか、ガーゴイルがせっせと頑張って貯めたポイントが…使われてはいなかった。
一応、ポイント履歴を確認してみたが、この修復のためにポイントが使われた形跡はなかった。
そうなると更に分からない。
まだ、私のポイントが使われて修復されていた方が納得できたように思える。

あのボロボロだった状態が軽微な損傷扱いなら今夜になって建物が消える前に修復されていたっていいはずだ。
そうなるとこの辺りがそれほど人通りが多くないとはいえ周囲の人たちの誰も何も気づいていないということはないだろう。
ちょっと聞いてみようか。
向かいのお宅に確認してみたところ、今日の昼間にはボロボロのままだったらしい。
現状を知ると大変驚いていたので本当に今、知ったようだ。
ということはどういうことだろう。
ボロボロだった、ダンジョン化した、浮浪者と猫が怪物化した、建物が消えて地下にダンジョンができた、私がダンジョンを制圧した、広域連携を解除した、修復された建物が現れた。
時系列に並べるとこんな感じだろうか。
広域連携を解除したのが地上に建物を戻す切っ掛けになったのかは定かではないので、もう一度確かめる必要があるかもしれない。
ちなみに地下のダンジョンはなくなっていない。
地下に続く階段が消えていないのだ。
また猫とか入り込んで怪物化しても可哀そうだ。怪物化しないかもだけど。
新たな問題を発生させないためにも封鎖するなりしておくことはできないものだろうか。

『了解しました。当ダンジョンを封鎖します。』

あ、封鎖しちゃったよ。
まあ、いいか。
地権者とかも入れなくなったんだろうけど別にいいよね。
とっとと取り壊して更地にしてればボロアパートが周囲にいろいろな迷惑をかけることもなかったし、ダンジョン化することもなかったのに、放置してるからこういうことになるのだ。
私としては日本の法律ではこの土地も建物もどうこうできる立場でもないし、しばらくは異次元収納の容量として活用させてもらうことにしよう。
しかし、このダンジョン空間は何か有効活用することはできないものだろうか。
自陣内だから地上の建物も含めて転移、いや転送だっけ?それはできるみたいだから、利用法を是非とも考えたいものだ。
沖縄の怪物化したダンジョンに同じ事したらどこでも扉じゃないけどすぐに遊びに行けていいかもしれないなどと不謹慎なことを考えたのは決して水着回を意識したわけではない。
絶対にそんなことはない。

さて、地上に建物が戻る切っ掛けを確認するために、手前にあったあの怪しい入り口に入ってみるとしますか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

学年一可愛いS級の美少女の令嬢三姉妹が、何故かやたらと俺の部屋に入り浸ってくる件について

沢田美
恋愛
名門・雄幸高校で目立たず生きる一年生、神谷悠真。 クラスでは影が薄く、青春とは無縁の平凡な日々を送っていた。だがある放課後、街で不良に絡まれていた女子生徒を助けたことで、その日常は一変する。救った相手は、学年一の美少女三姉妹として知られる西園寺家の次女・優里だった。さらに家に帰れば、三姉妹の長女・龍華がなぜか当然のように悠真の部屋に入り浸っている。名門令嬢三姉妹に振り回されながら、静かだったはずの悠真の青春は少しずつ騒がしく揺れ始める。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

酔っぱらったせいで、勇者パーティーを洗脳してしまった

透けてるブランディシュカ
ファンタジー
悪友のせいで酔ったら。(※重複投稿しています)仲仁へび

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ダンジョン菌にまみれた、様々なクエストが提示されるこの現実世界で、【クエスト簡略化】スキルを手にした俺は最強のスレイヤーを目指す

名無し
ファンタジー
 ダンジョン菌が人間や物をダンジョン化させてしまう世界。ワクチンを打てば誰もがスレイヤーになる権利を与えられ、強化用のクエストを受けられるようになる。  しかし、ワクチン接種で稀に発生する、最初から能力の高いエリート種でなければクエストの攻略は難しく、一般人の佐嶋康介はスレイヤーになることを諦めていたが、仕事の帰りにコンビニエンスストアに立ち寄ったことで運命が変わることになる。

無属性魔法しか使えない少年冒険者!!

藤城満定
ファンタジー
「祝福の儀式」で授かった属性魔法は無属性魔法だった。無属性と書いてハズレや役立たずと読まれている属性魔法を極めて馬鹿にしてきた奴らの常識を覆して見返す「ざまあ」系ストーリー。  不定期投稿作品です。

スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~

榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。 彼はその日から探索者――シーカーを目指した。 そして遂に訪れた覚醒の日。 「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」 スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。 「幸運の強化って……」 幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。 そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。 そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。 だが彼は知らない。 ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。 しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。 これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。

処理中です...