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好きなものが増えると時間がかかるんだな……

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 私は昔から好きなことが多かったけれど注意力散漫で整理ができなかった。

 訳の分からないゴミを溜め込んでは捨てたくないと言ったし、色んなものに興味を持った。
 たしか小学生の頃は虫好き人間的なポジションにいて、中学生では吹奏楽部、高校では文芸部だった。今はマンガを描いているし、人生に一貫性がない。少なくとも猪突猛進ではない。

 と、それは良いのだけれど、最近思うのは好きなことに「優先順位を付けられない」ということ。

 写真にも音楽にも絵にも文章にも興味があるし、テレビやマンガやゲームや映画も好きで、自転車で意味もなくぶらついて1円も使わず帰るといった遊びも好きだ。つまり自転車も好きなんだろう。

 その好きなことを全部生かしてお金になっています、とか、すべてが今に繋がっていますと言えるのならカッコ良かった。そんな幻想を夢見ていた。だけど実際は、好きなだけで全然詳しくないし本気にもなれていないのだと、他の人を見ていると思う。「好き」レベルであれもこれも敵わない。本気でそれが好きな人はたくさんいるのだ。

 私がやっていることは「整理ができていない」「サボローの誘惑に負けている」だけなのかもしれない。

 別に、受動的でも面白いことは次々やって来る。テレビを付けていればずっと番組を放送してくれるように。
 面白いものを見つけて生きていくのも楽しそうだ。私が何かしなくたってすごい人がいっぱいいる。なのに私は見物者や傍観者ではなく生きている人間なのだ。

 自分は一体どうしたいんだろう? 何がやりたかったことなんだろう?
 死ぬとき後悔するんだろうか? 「本当はこれがやりたかったのに」と。

 そうは言ってもテレビやネットを見るのも、動画サイトを覗くのも楽しいんだけどな。人と喋るのも楽しいんだけどな。消費していたってお金にはならないけど。どうやったら私の作品を人に見てもらえるのかな。

 今はこれでいいか。でも一応覚えておこう。何でもかんでも追いかけていると、どんどん時は過ぎるのだということを。







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