アンチコメントに震え上がったあの日

月澄狸

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アンチコメントに震え上がったあの日

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 私は以前、あるSNSにいた。そこでは私の投稿を見てくださる方がけっこういて、フォロワー様も多くなり、私も頻繁に投稿していた。

 多くの人の投稿を読んでいると、中には他のユーザー様とトラブルになったという人もいたし、誰かの投稿にやや攻撃的なコメントが付いているのも見た。荒れた空気にピリピリしたり警戒を強めているユーザー様もいたし、私も怖いなぁと思っていた。そのSNSの有名な人を晒す掲示板を見つけたときなどはショックを受けた。

 なので私は、寂しいけれど自分から人にコメントしないことが多かった。多くを語ると誰かに狙われそうなので控えめに。

 しかし幸い、優しいコメントをくださる方もたくさん現れ、コメントやいいねをお返ししたりしつつ楽しい日々を送っていた。荒らしや嫌がらせ、アンチなどとは関わらないまま過ごしてきた。

 その後そのSNSサービスが終了するという知らせを聞き、感傷に浸りつつフォロワー様との最後の一時を味わっていた。今まで仲良くしてくださっていた方や、コメントしたいけれど勇気が出ず話しかけていなかった憧れの人に話しかけたりしつつ、最後まで投稿を続けた。

 が、そんなときに来たのだ。アンチコメントが。

 すごくショックだった。
 なぜ今? 最後まで楽しい気持ちのまま終わらせたかったのに。その人には話したい相手とか友達とかいなかったのだろうか。

 アンチコメントをしてきた人の投稿を見ると、誰かを煽るような言動ばかりして楽しんでいるようだった。こういう人は残念ながら存在するのだ。だからあんまり気にしなくていいのだろうけれど……、さらにショックだったのは、アンチコメントにいいねが1つ付いていたことだ。コメントにいいねを付けていたのは話したこともない、知らない人だった。

 コメントは、コメント欄に入らないと読めない。コメントへのいいねも、コメント欄を開かないとできない。私はわりと頻繁にSNSに出入りしていたし、炎上が怖いから、アンチコメントは見つけたときにすかさず消した。しかしそれよりも早くアンチコメントにいいねが付いていたのだ。

 ということは今までにも、私の投稿を気に入らない人が、コメントしてくるでもなくじーっと私の投稿を見たりコメント欄を読んだりしていたということだろうか。
 ゾッとした。自分のまわりには優しい人しかいないと思っていたから。明確な悪意を表してこない分、アンチより不気味で怖いかもしれない。

 アンチは何を思って投稿を見ているんだろう? お互い時間の無駄じゃないか? まぁ私も批判屋だから人のこと言えないけど……。

 あのコメントをずっと放置していたらどうなっていただろう……。手が着けられないほどのアンチや喧嘩師がどこからともなく現れ、悪口のオンパレードで盛り上がっていたかもしれない。

 今は幸か不幸か、私のブログも作品もアクセス数が増えない。収益化したいこちらとしてはそれも困るけれど、やはりあのときのことを思い出すと交流の盛んなコミュニティも怖いなと思う。

 冷静に考えると、自分の人生そっちのけでこちらに体当たりしてくる人間なんて大したことないのだろうけれど、そういう人が山ほどいるなんて絶望的だ。
「みんなもっと自分の人生生きようよ。人間いつ死ぬか分からないし、1日は1440分しかないんだよ? その貴重な1440分を削ってわざわざ嫌いな投稿を見たり、人の悪口を言いに来たり、反応して盛り上がったりすることないよ」と言いたくなる。人のこと言えないけど。

 しかしSNSというのは恐ろしいもんだなあ……。以前私がうろついていた無料ゲームや無料チャットにはいいねやフォローなどというハイテクな機能がなかったし、絡んでくるのは大抵初対面の人であって、嫌な人に絡まれたらこちらが逃げれば終わりだったのに。

 今は好きでも嫌いでも、ある一人の人をずーっと追うということがしやすくなった。日々「コイツ気に入らないな」と思いながら投稿を眺めてくる人がいる可能性を思うと冷や汗が出る。

 まぁ気にしすぎてもしょうがない。誰も見ていないと思って人に知られたくない秘密を打ち明けたり、本音を言ったりとかはネット上でしない方がいいかな、と思う程度に留めよう。
 大体もう一生アンチなんか付かないかもしれないんだし。嫌なことは忘れて楽しく生きよう。
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