年齢とか外見とかルッキズムとか

月澄狸

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年齢とか外見とかルッキズムとか

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 マッサージとか治療とかを受ける男性が、「綺麗なお姉さんが来てくれると思ったら、お婆さんでガッカリ」となるギャグ(?)を見かけた。

 珍しいネタではない。マンガとかでもよくあるやつだ。知らない女の子と一緒に行動することになり、「一体どんな子が来るんだ……!?」と期待しつつ振り返ったら、ブサイクだったとか。「あるある」的な笑えるネタとして扱われる。

 心の中で思っているだけ、という表現の場合もある。が、言わなきゃいいという問題か。


 私もどんどん若くはなくなってゆく。もし何かの仕事で勝手に「綺麗なお姉さん来てほしいなぁ」と期待されて、「チッ、なんだブスババァか」「ハズレ~」とガッカリされていたら怖い。

 口に出さないだけで、「下の下だな」とか判断されているんじゃないかと思うと、人が怖くなる。嫌いになる。関わりたくなくなる。
 何も言われていないのに勝手に思うなんて被害妄想だけど、実際そんな話ばかり世に溢れているんだから、みんなそうなんだろと思う。テレビには美男美女ばかり出てるし。


 この問題はもちろん、性別関係ない。私が女だから、男の人に測られるのが怖いだけであって、男性に心ないことを言う女性も多い。

 中学生の頃、電車にいる女子生徒たちが、ハゲた男性を見た途端大笑いしていたと、先生(男性)が話していた。別に男性の容姿を笑ったのでなく、たまたま会話していて笑っただけかもしれないが、人の容姿を笑うのは良くない、と話されていた。

 大人もだろうが、子どもも残酷だからなぁ……。話して聞かせたところで、どこまで分かっているやら。


 異性にだけでなく同性にも、人は容赦ない。クラスメートの女生徒たちが、他校の女生徒の容姿をみんなで指差して、「せっかくの可愛い制服も、あんなヤツが着ていると台無し」と大笑いしていたのを見たことがある。クラスメートたちは私には比較的優しくしてくれていたもので、あんなこと言うんだとショックだった。

 私の友達の容姿を、別の友達に笑われたこともあった。
 こういう場面を見ると、女性に優しくされても、裏では馬鹿にされてるんじゃないかと不安になる。


 私自身はルッキズムから抜けたいと思っている。が、自分にもおかしい部分、アンバランスな部分、無意識な部分、整理がついていないところ、言葉がきついところ、至らないことは山ほどあるだろう。人様にどうこう言えるようなことはない。ただ、同族嫌悪で人間が怖くなるだけ。

 私は外見至上主義から抜けたいと言ったが、この理屈というか信念もまったく定まっていない。人間と生き物を分けて考えていないため、矛盾が生じる。

 私は生き物たちの外見ばかりを愛でている。生態とか詳しく知らないし覚えられないし、人で言う「中身」なんて全然知らない。外見を見て美しいとか面白いとか可愛いとか言ってばかり。そして外見を好きになる。


 それは付き合いの浅い人間でも同じことかも。私が関わる人間といえば主に職場の人だけだが、みんなのこと、話し方や声や外見の雰囲気くらいしか知らない。

 実はヤバい危険思想とか、聖人並の深いお考えを持っている人が身近にいるかもしれないが、基本仕事の話しかしないので、職場の人の性格などほぼ知らない。仕事は性格を表現する場所ではないし。職場の人を好きになりすぎたら、喋る方に夢中になっちゃうだろうし。私は喋りながら働けるほど器用じゃない。


 ルッキズムに染まりたくはなかった。
 私は美意識は人よりズレている部分もある。けど、容姿で人や生き物を判断する本質は、そう変わらないと思う。
 美しい生き物や景色は美しいと思ってしまうし、個人的に美しいと感じないものに対し、あからさまに態度に出してしまっているかもしれない。

 ルッキズムをなくそうというより、「すべての生き物が美しいのではないか」と思うことはある。私はハエもゴキブリも、哀れみとか同情でなく、本気で美しいと思っているはずである。多分……。
 お婆さんの目やシワも、美しいなと感じる。あんまり人との繋がりもないし、人をまじまじと見る機会もないけど。

 でも私も、イケメンや美少女が出てくるマンガばかり読んでいる。それは美男美女が好きなのか、美女美女が出てくる作品が多いからか……。やっぱり私は外見の良いキャラを好きになるのか。美しいって何だ。


「“ルッキズムは差別”という人権意識から『ブス』や『ブサイク』『個性的な顔』など見た目に関する暴言が禁止になった小学校の話」というウェブページを見て、子どもの世界もひどかったなと思い出す。

 子どもは純粋で清らかで可愛い? そんなことはない。醜い縦社会だ。大人の世界より露骨に態度に出す。


 人間と一緒にいると、思い悩み、自分も人間なんだなと感じてしまう。

 人は鏡のようなもの。私を映す。
 自分は壮大な考えを持つ良い人のはずだったのに、人と話すと本音がポロリ。ポロリところかドバドバか。
 文章なら書き換えられるけど、現実での失言は書き換えられない。文章でもひどいけど。

 人と話すと私は、思っていた私じゃなくなる。良い人じゃなくなる。


 私はこんな小さいことに囚われるような人間じゃなかったはずだ。私は弱くない。もっと大きいはずで……。
 そんな自意識も失われていく。私は弱く醜いクズで、そのままさらに年齢も重ねていく。


 人間以外の場所に意識を向けたい。景色、生き物たち。
 人間は心が醜い。なんだかんだ言って私はやはり……美を求め、美に囚われているのだった。


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