年齢とか外見とかルッキズムとか

月澄狸

文字の大きさ
1 / 1

年齢とか外見とかルッキズムとか

 マッサージとか治療とかを受ける男性が、「綺麗なお姉さんが来てくれると思ったら、お婆さんでガッカリ」となるギャグ(?)を見かけた。

 珍しいネタではない。マンガとかでもよくあるやつだ。知らない女の子と一緒に行動することになり、「一体どんな子が来るんだ……!?」と期待しつつ振り返ったら、ブサイクだったとか。「あるある」的な笑えるネタとして扱われる。

 心の中で思っているだけ、という表現の場合もある。が、言わなきゃいいという問題か。


 私もどんどん若くはなくなってゆく。もし何かの仕事で勝手に「綺麗なお姉さん来てほしいなぁ」と期待されて、「チッ、なんだブスババァか」「ハズレ~」とガッカリされていたら怖い。

 口に出さないだけで、「下の下だな」とか判断されているんじゃないかと思うと、人が怖くなる。嫌いになる。関わりたくなくなる。
 何も言われていないのに勝手に思うなんて被害妄想だけど、実際そんな話ばかり世に溢れているんだから、みんなそうなんだろと思う。テレビには美男美女ばかり出てるし。


 この問題はもちろん、性別関係ない。私が女だから、男の人に測られるのが怖いだけであって、男性に心ないことを言う女性も多い。

 中学生の頃、電車にいる女子生徒たちが、ハゲた男性を見た途端大笑いしていたと、先生(男性)が話していた。別に男性の容姿を笑ったのでなく、たまたま会話していて笑っただけかもしれないが、人の容姿を笑うのは良くない、と話されていた。

 大人もだろうが、子どもも残酷だからなぁ……。話して聞かせたところで、どこまで分かっているやら。


 異性にだけでなく同性にも、人は容赦ない。クラスメートの女生徒たちが、他校の女生徒の容姿をみんなで指差して、「せっかくの可愛い制服も、あんなヤツが着ていると台無し」と大笑いしていたのを見たことがある。クラスメートたちは私には比較的優しくしてくれていたもので、あんなこと言うんだとショックだった。

 私の友達の容姿を、別の友達に笑われたこともあった。
 こういう場面を見ると、女性に優しくされても、裏では馬鹿にされてるんじゃないかと不安になる。


 私自身はルッキズムから抜けたいと思っている。が、自分にもおかしい部分、アンバランスな部分、無意識な部分、整理がついていないところ、言葉がきついところ、至らないことは山ほどあるだろう。人様にどうこう言えるようなことはない。ただ、同族嫌悪で人間が怖くなるだけ。

 私は外見至上主義から抜けたいと言ったが、この理屈というか信念もまったく定まっていない。人間と生き物を分けて考えていないため、矛盾が生じる。

 私は生き物たちの外見ばかりを愛でている。生態とか詳しく知らないし覚えられないし、人で言う「中身」なんて全然知らない。外見を見て美しいとか面白いとか可愛いとか言ってばかり。そして外見を好きになる。


 それは付き合いの浅い人間でも同じことかも。私が関わる人間といえば主に職場の人だけだが、みんなのこと、話し方や声や外見の雰囲気くらいしか知らない。

 実はヤバい危険思想とか、聖人並の深いお考えを持っている人が身近にいるかもしれないが、基本仕事の話しかしないので、職場の人の性格などほぼ知らない。仕事は性格を表現する場所ではないし。職場の人を好きになりすぎたら、喋る方に夢中になっちゃうだろうし。私は喋りながら働けるほど器用じゃない。


 ルッキズムに染まりたくはなかった。
 私は美意識は人よりズレている部分もある。けど、容姿で人や生き物を判断する本質は、そう変わらないと思う。
 美しい生き物や景色は美しいと思ってしまうし、個人的に美しいと感じないものに対し、あからさまに態度に出してしまっているかもしれない。

 ルッキズムをなくそうというより、「すべての生き物が美しいのではないか」と思うことはある。私はハエもゴキブリも、哀れみとか同情でなく、本気で美しいと思っているはずである。多分……。
 お婆さんの目やシワも、美しいなと感じる。あんまり人との繋がりもないし、人をまじまじと見る機会もないけど。

 でも私も、イケメンや美少女が出てくるマンガばかり読んでいる。それは美男美女が好きなのか、美女美女が出てくる作品が多いからか……。やっぱり私は外見の良いキャラを好きになるのか。美しいって何だ。


「“ルッキズムは差別”という人権意識から『ブス』や『ブサイク』『個性的な顔』など見た目に関する暴言が禁止になった小学校の話」というウェブページを見て、子どもの世界もひどかったなと思い出す。

 子どもは純粋で清らかで可愛い? そんなことはない。醜い縦社会だ。大人の世界より露骨に態度に出す。


 人間と一緒にいると、思い悩み、自分も人間なんだなと感じてしまう。

 人は鏡のようなもの。私を映す。
 自分は壮大な考えを持つ良い人のはずだったのに、人と話すと本音がポロリ。ポロリところかドバドバか。
 文章なら書き換えられるけど、現実での失言は書き換えられない。文章でもひどいけど。

 人と話すと私は、思っていた私じゃなくなる。良い人じゃなくなる。


 私はこんな小さいことに囚われるような人間じゃなかったはずだ。私は弱くない。もっと大きいはずで……。
 そんな自意識も失われていく。私は弱く醜いクズで、そのままさらに年齢も重ねていく。


 人間以外の場所に意識を向けたい。景色、生き物たち。
 人間は心が醜い。なんだかんだ言って私はやはり……美を求め、美に囚われているのだった。


感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

『病弱な幼馴染を優先してください』と言った妻が消えた翌日、夫は領地の会計書類が全て白紙になっていることに気づいた

歩人
ファンタジー
侯爵家に嫁いで五年。ルチアは夫エミルの領地会計・社交・使用人管理を全て一人で担ってきた。だがエミルはいつも幼馴染のアリーチェを優先する。「アリーチェは体が弱いんだ、お前とは違う」——その言葉を百回聞いた日、ルチアは微笑んで離縁届に署名した。「ええ、私は丈夫ですから。どうぞ幼馴染様をお大事に」。翌朝、エミルが目にしたのは——税務報告の締切、領民からの陳情の山、そして紅茶の淹れ方すら知らない自分。三ヶ月後、かつて「地味な妻」と呼ばれたルチアは、辺境伯の財務顧問として辣腕を振るっていた。

一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました

由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。 ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。 遠い存在になったはずの彼。 けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。 冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。

身体の繋がりしかない関係

詩織
恋愛
会社の飲み会の帰り、たまたま同じ帰りが方向だった3つ年下の後輩。 その後勢いで身体の関係になった。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

片思いの貴方に何度も告白したけど断られ続けてきた

アリス
恋愛
幼馴染で学生の頃から、ずっと好きだった人。 高校生くらいから何十回も告白した。 全て「好きなの」 「ごめん、断る」 その繰り返しだった。 だけど彼は優しいから、時々、ご飯を食べに行ったり、デートはしてくれる。 紛らわしいと思う。 彼に好きな人がいるわけではない。 まだそれなら諦めがつく。 彼はカイル=クレシア23歳 イケメンでモテる。 私はアリア=ナターシャ20歳 普通で人には可愛い方だと言われた。 そんなある日 私が20歳になった時だった。 両親が見合い話を持ってきた。 最後の告白をしようと思った。 ダメなら見合いをすると言った。 その見合い相手に溺愛される。