うだつの上がらないエッセイ集(たまに自由研究)

月澄狸

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夢のドッペルゲンガー

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 これは私がこの間見た怖い夢の話だ。

 ある日、私が夢の中で目覚めると家のトイレの中にいた。

 夢の中で目覚めるというのもおかしな表現だが、なんだか寝ぼけているような感じだった。おや、ここはトイレだなーと。
 そしてトイレの扉の前には「私」がいた。


 自分の姿が見えたのだ。


 ああ、私だな。
 改めて見るとこんな顔していたんだな。
 これ鏡かな?

 などと思いつつ目が覚めていき……次の瞬間凍りついた。
「うちのトイレに鏡なんかなかった」と。


 すると目の前の自分は……?

 よく見ると鏡みたいな平面なんかじゃなく、立体的な人間だった。
 もしかしてドッペルゲンガー!?


 相手の「私」は扉の前にいる。
 狭い個室の中、私には逃げ場がない。

 なぜだか「やられる!」と思い……
 どうしようもなくなった私は、思わずドッペルゲンガーに抱きついた。
 そこで夢が終わった。


 文章にすると少し長く感じるが、この夢は始まりから終わるまで10秒くらいしかなかった気がする。
 なぜ抱きついたのだろう。私は命の危機を感じると人に抱きつく癖でもあるのだろうか。


 夢の中のこととはいえ……ドッペルゲンガーに出会うと何かが起こる、なんて噂もあるので、この夢を見た後しばらくはビクビクしながら過ごした。しかし、数週間過ぎても特に何も起こらなかった。


 怖い夢といえば以前にも「お風呂にある鏡に写っている自分が動いた」夢を見たことがある。
 あのときは思わず夢の中で叫んで飛び起きてしまった。
 現実でも叫んでいたのだろうか……。だとしたら恥ずかしい。

 その夢は多分、テレビで見た心霊映像の影響だと思うのだが……。
 いずれにせよ私は「狭い空間」と「鏡」が苦手なようだ。


 鏡は、深夜の決まった時間に覗くと何かが起こるとか、合わせ鏡の奥に不思議なものが映るとか、怪談に登場することが多い。その影響か、鏡を見ていると怖くなることがある。

 狭い空間は、逃げ場がないので一人で入っていると早く出たくなるときもある。リラックス状態だと大丈夫だけど……。


 しかしよくよく考えてみると、「自分が本当に怖いのは鏡や狭い空間なんだろうか?」という疑問が出てきた。


 私は鏡を見るときはいつも無表情だ。
 というか作り笑いが下手なので、常に無表情だったりする。だから自分の顔といえば無表情の記憶しかないし、夢に出てきた自分も無表情だった。笑っていたらそれはそれで怖いかもしれないけれど……。

 もしかしたら、私は無表情な私が怖かったのかもしれない。


 そういえば私は怖い雰囲気の人が苦手だが、自分自身がその怖い雰囲気を放っていたような気がする。

 ということで、今度から鏡を見るとき笑いかけてみることにした。
 これで少しは優しい印象になるだろうし、笑顔の練習にもなって一石二鳥かもしれない。


「鏡は先に笑わない」という言葉があるように、優しさや楽しさ、幸せはこちらから先に発信しなくてはならないらしい。
 ずっとこちらが笑っていれば、夢の内容も、そして現実まで変わるかもしれない。





 その後「鏡に向かって笑顔」の習慣を続けていたのですが、いつの間にか「鏡の前に立ったら変顔をする」というマイルールに変わっていました。

 深夜に鏡に写った自分の変顔を見て吹き出したりしていることも。我ながら一体何をやっているのか……。

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