うだつの上がらないエッセイ集(たまに自由研究)

月澄狸

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カマキリって水に口をつけて飲むのか! 雨の日のカマキリ幼虫

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 カナブンたちが樹液をめぐって必死で争いを繰り広げる様子を眺めつつ、「あれっ? 樹液が出ているということはもしかしてここ、朝や早朝にはカブトムシスポットになっているんじゃないの?」などと想像していた、ある日の昼下がり。ふと庭の地面を見ると、成虫一歩手前くらいの大きなカマキリ幼虫がテクテク歩いていた。


 カマキリってけっこうゆったりしている時もあるが、このカマキリはお急ぎの様子だ。私がカメラを持って行ってパシャパシャとカマキリの写真を撮ると、面倒そうにちらりとこちらへ顔を向け、また前を向いてスタスタと歩いていく。

 どうしてもカマキリにかまってもらいたい私は、しつこく追いかけ写真を撮った。するとカマキリ幼虫は足を止めてこちらを見る。


 カマキリはこちらへ歩み寄り、私が向けたカメラに上ってきた。
 モデルさんのような小顔と目が合う。

 ……可愛い。


 私は近くにあったアジサイにカマキリを乗せた。
 おお、似合う……。

 しかしカマキリはまたスタスタと歩き出す。
 モデルさん系美形だけれどモデルになってくれる気配はない。

 しかしここで、カマキリの珍しい行動を目にすることができた。
 いや、珍しくはないのかもしれないが……初めて見た。
 カマキリが、アジサイの葉に溜まった水に口をつけて飲んだのだ。

 これには少し驚き。カマキリって動くものにしか反応しないと思っていた。



 水を飲んでは歩き、飲んでは歩き……
 急いでどこかへ向かうカマキリを見送ったあと思う。
 私って随分と虫の能力をナメていたんだなぁ……。


 カナブンが樹液を、カマキリが水を見つける姿を見て、虫って少しの時間にエサや水や繁殖相手を見つけてちゃんと命を繋いで偉いよなと思うけれど、そもそも偉いよなという見方が上から目線なのだ。

 生き物たちは私より、生きるのが上手だ。お目当てのものを見つけるのが上手だ。その能力、分けてもらいたい。

「虫ってこんなこともできるんだね!」などと上から目線で見ていないで、弟子にしてもらうべきかもしれない。
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