うだつの上がらないエッセイ集(たまに自由研究)

月澄狸

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天の邪鬼

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 私の口癖は「でも」だ。

 客観的に自分の会話を見ていると、無意識に……というか反射的に「でも」「けど」ばかり言っている。まるで、反対意見を唱えることが偉いとでも思っているかのように。

 それも別に、本気で反論したいことに対して言っているわけじゃない。
 Aと言われれば「でもBな場合もあるかもよ?」と返し、Bと言われれば「私はAだなぁー」と返す。なんとなく反論癖があるらしい。

 私自身は人から反論より共感をしてもらいたい。世界の美意識も善悪論も結局好みの問題であって、どれが好きかしかないと思うから。それならわざわざ好みじゃない意見の人に囲まれて、「いやいや違うなぁ~」「君の意見、好きじゃないなぁ~」「なんでそんなふうに考えるの? もっとこうした方がいいよ」「興味ないね」と言われ続けて一生を終えるより、「君のそういうところ好きだなー」「分かるなぁ」と言ってくれる人と一緒にいたい。

 なのにどうして自分は人の意見に反論してしまうのだろう。
 反論されるのが好きだったらこちらも反論していい気がするが、自分は批判されたくないのに人の批判ばかりするのは不公平とか卑怯な気がする。自分がこうされると嬉しいと思う理想の態度を人にも見せるべきだ。

 よし、これからは意味もなく反論するのはやめて、様々な意見を受け入れてみよう。理解しようと歩み寄ってみよう。素敵なところ、良いところを見つけて広げよう。

 悪いところを見つけようとすれば悪く思えてくる。批判しようとすれば批判すべきものに思えてくる。それよりどんな表現で世界への感謝を表そうかと考える方が面白いに違いない。

 もしAにもBにも賛同できないと思うなら、AやBを批判したり反論したりしていないで、それ以外を探して広げればいい。世界にはAやBが好きな人、それを必要としている人がたくさんいるのだから、何も一々否定して回らなくて良いのだ。

 ……そんなことを何年も前から思いつつ、なかなか変われていない。

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