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前章
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◇魔王サイド◇
日々が穏やかに過ぎていく。
ユタも毎日いつも通り楽しく農作業に明け暮れていて可愛い。
だが我は日々己との葛藤に打ち勝つのに必死だった。
「ふ~今日も良く働いた~」
ユタが湯船で手足を伸ばして言った。我の真隣りで。
本来であれば我の膝の上に乗せて愛でる予定であったが、ユタの肌に触れると歯止めが利かなくなる。
仕方なく真隣りを陣取るので良しとしている。
「やっぱ広い風呂は良いな。泳げそう。泳いじゃ駄目かな」
「公共の場では他の者に迷惑が掛かるが、ここなら大丈夫だ」
「やった!」
あれだけ良く働いたというのに良くまだそれだけの元気が残っているものだ。テンですら農作業は途中で根を上げていたというのに。
好きな事は無限に力が湧くのだな。
ユタが泳ぐ姿が可愛くて微笑ましくなる。
……。いや、あれは、寧ろ……。我を誘っていないか?
時折プカリと浮き出るユタの尻に釘付けになる。あの尻は魅惑的だ。我の手に良く吸い付……。いかん。見ると欲しくなる。
我は目を瞑り燻る熱をやり過ごした。ユタが泳ぐ度になる水音が情景を正しく思い起こさせるが心頭滅却だ。我は魔王。北の魔王。四大魔王の一角ぞ。これしきの事で……!
負けたいと思う時もあるのだな……。
「魔王!」
ザバァっと間近で水の弾く音がして目を開けた。
そこには水に濡れて艶めかしいユタの肢体があった。二つの頂きが水で光を反射して主張を激しく我を誘惑……。
「どうしたかユタ」
いかん。反応した。
不自然にならない様に視線をユタの目に合わせて微笑んだ。
「魔王も泳ごう!」
止めよ。我の腕を掴んで引きずるな。誘っておると勘違いするではないか!
「ユタよ。わかっておるのか。我は男だぞ」
「は?俺も男だけど」
「我はユタを抱こうとしている男だぞ」
「でも最後までしないじゃん。魔王良い奴じゃん」
ユタの信頼が胸に痛い。
愛するというのはこれ程に過酷なものか。ユタの眩しい笑顔が今は憎い。いや可愛いのだが。
「我は湯船で泳ぐ事をしない」
「王様だから?」
「我の体格では泳げないからだ」
ユタの目が座った。
我との体格差に気付いて嫉妬した様だ。可愛い過ぎか。
「いいよもう!」
プンプンと怒って一人で泳ぎに戻ってしまった。
ふう。何とかユタの肢体を直視せずに済んだな。共に泳ぐなど拷問であろう。
風呂を何とか無事乗り切り、夕飯もテンが喧しいお陰で欲情を孕む隙無く終わった。
ベッドに横になれば後は寝るだけだ。
「魔王って本当に良い体してるよな」
何を言い出す。何故我の胸筋をなぞる。頭を預けて擦り寄るな!何度我に我慢を強いれば気が済むのだ!?
「急にどうした」
「んー。風呂で改めて俺の筋肉と見比べちゃうとさ。羨ましいけど触ってみたくもなるじゃん。
俺も結構付いてる方だけど、農民の筋肉とはやっぱり付き方が違うっていうかさ」
成程。それは確かに気になるかもしれんな。我とて南の魔王との体格が違うのを面白がって競った事もあった。
「構わぬが、ユタから触れられるのは初めてだな」
いつもは我を拒絶するだけだったのだが。ふむ。友達、だからか。
我は嬉しく思うと同時に辛くもなった。そこに愛は無いと思えばこそ、我が愛が締め付けられる切なさを孕む。
日々が穏やかに過ぎていく。
ユタも毎日いつも通り楽しく農作業に明け暮れていて可愛い。
だが我は日々己との葛藤に打ち勝つのに必死だった。
「ふ~今日も良く働いた~」
ユタが湯船で手足を伸ばして言った。我の真隣りで。
本来であれば我の膝の上に乗せて愛でる予定であったが、ユタの肌に触れると歯止めが利かなくなる。
仕方なく真隣りを陣取るので良しとしている。
「やっぱ広い風呂は良いな。泳げそう。泳いじゃ駄目かな」
「公共の場では他の者に迷惑が掛かるが、ここなら大丈夫だ」
「やった!」
あれだけ良く働いたというのに良くまだそれだけの元気が残っているものだ。テンですら農作業は途中で根を上げていたというのに。
好きな事は無限に力が湧くのだな。
ユタが泳ぐ姿が可愛くて微笑ましくなる。
……。いや、あれは、寧ろ……。我を誘っていないか?
時折プカリと浮き出るユタの尻に釘付けになる。あの尻は魅惑的だ。我の手に良く吸い付……。いかん。見ると欲しくなる。
我は目を瞑り燻る熱をやり過ごした。ユタが泳ぐ度になる水音が情景を正しく思い起こさせるが心頭滅却だ。我は魔王。北の魔王。四大魔王の一角ぞ。これしきの事で……!
負けたいと思う時もあるのだな……。
「魔王!」
ザバァっと間近で水の弾く音がして目を開けた。
そこには水に濡れて艶めかしいユタの肢体があった。二つの頂きが水で光を反射して主張を激しく我を誘惑……。
「どうしたかユタ」
いかん。反応した。
不自然にならない様に視線をユタの目に合わせて微笑んだ。
「魔王も泳ごう!」
止めよ。我の腕を掴んで引きずるな。誘っておると勘違いするではないか!
「ユタよ。わかっておるのか。我は男だぞ」
「は?俺も男だけど」
「我はユタを抱こうとしている男だぞ」
「でも最後までしないじゃん。魔王良い奴じゃん」
ユタの信頼が胸に痛い。
愛するというのはこれ程に過酷なものか。ユタの眩しい笑顔が今は憎い。いや可愛いのだが。
「我は湯船で泳ぐ事をしない」
「王様だから?」
「我の体格では泳げないからだ」
ユタの目が座った。
我との体格差に気付いて嫉妬した様だ。可愛い過ぎか。
「いいよもう!」
プンプンと怒って一人で泳ぎに戻ってしまった。
ふう。何とかユタの肢体を直視せずに済んだな。共に泳ぐなど拷問であろう。
風呂を何とか無事乗り切り、夕飯もテンが喧しいお陰で欲情を孕む隙無く終わった。
ベッドに横になれば後は寝るだけだ。
「魔王って本当に良い体してるよな」
何を言い出す。何故我の胸筋をなぞる。頭を預けて擦り寄るな!何度我に我慢を強いれば気が済むのだ!?
「急にどうした」
「んー。風呂で改めて俺の筋肉と見比べちゃうとさ。羨ましいけど触ってみたくもなるじゃん。
俺も結構付いてる方だけど、農民の筋肉とはやっぱり付き方が違うっていうかさ」
成程。それは確かに気になるかもしれんな。我とて南の魔王との体格が違うのを面白がって競った事もあった。
「構わぬが、ユタから触れられるのは初めてだな」
いつもは我を拒絶するだけだったのだが。ふむ。友達、だからか。
我は嬉しく思うと同時に辛くもなった。そこに愛は無いと思えばこそ、我が愛が締め付けられる切なさを孕む。
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