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後章
閑話。その頃秘島では
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◇ヴェイズサイド◇
あの人間が北のとデートに出かけた日。島に閃光が走った。閃光とは言っても温かみのあるそれは、世界樹の根と同じ波動を持っていた。
「くはっ、まさかあの世界樹の本体がこの島に有ったとはね。道理で東西が綿密に決められてる訳だよ」
僕は腕の中で眠るテンの、眉間を寄せて呻るその顔を愛おしく舐め上げて言った。
あの人間から今日は農作業の後は一日いないと聞いていたからね。思う存分心を込めてテンを愛してあげた。それに疲れて気を失ったテンが僕の腕の中にいる。くふふっ、何て素敵な世界だろうね。
まあ、この島に世界樹が有ろうが無かろうが、テンが僕の手中に居ればなんでも良いさ。
「ああ、二人の気配が消えたね。くふ、そうか。そういう仕組みか」
恐らくこの島は世界樹の意思が働いている。
わかれば全て納得もする。この島が閉ざされていたその理由。自分の意思で来れない不自由さ。
「くっくっく。僕の見立ては正しかったね。ここは本当に僕とテンの二人だけの楽園だ」
あの唯一の邪魔者が居なくなった今、ね。
◇テンサイド◇
ユタがいない。
どこにもいない。
「んはっ!?今日のご飯は!?」
俺は重大な事実に気付いて驚愕した。ママンのご飯!!
「おいでテン。料理位僕も出来るからね」
ユタの気配が無くて狼狽えたけど代わりにヴィーが用意してくれたらしい。
ふふん♪まあ作ってくれたなら食べてやろう。コイツは俺が好きらしいから嬉しすぎて漏らしちゃうんじゃないかな?
「違う」
ワクワクして席に着いたのに、求めていたものじゃなかった。
「くはっ、どういう事だい?」
自信満々に並べられた料理は、確かに凄い。凄すぎる位に豪華だった。勇者業してた時なら巨乳ちゃん達を侍らせて食べてたけど。
でも、でも違うんだ。俺が求めていたのは。
「ママンの料理がない……!」
あの味を知ってしまったら、いや。思い出してしまったらもう元には戻れない。
「俺の、俺の家カレー!俺の手作りハンバーグ!俺のオム焼きそばー!!」
今までユタが作ってくれた料理が走馬灯のように流れていく。
真ん前に座るヴィーのこめかみがピクピクしたけど知ったことかっ。俺は早急に〇ンタのチキンか〇ックの照り焼きバーガーか〇スの以下略を所望する!!
この日からどうやったら居なくなったユタを取り戻せるか模索する俺と、ユタの料理以上に俺の胃袋を掴む料理を模索するヴィーの戦いが始まった。
あ。ユタが戻って来た時に料理作ってくれないと困るからなっ。仕方なく畑の世話はしてやってる(ドヤァ)。
あの人間が北のとデートに出かけた日。島に閃光が走った。閃光とは言っても温かみのあるそれは、世界樹の根と同じ波動を持っていた。
「くはっ、まさかあの世界樹の本体がこの島に有ったとはね。道理で東西が綿密に決められてる訳だよ」
僕は腕の中で眠るテンの、眉間を寄せて呻るその顔を愛おしく舐め上げて言った。
あの人間から今日は農作業の後は一日いないと聞いていたからね。思う存分心を込めてテンを愛してあげた。それに疲れて気を失ったテンが僕の腕の中にいる。くふふっ、何て素敵な世界だろうね。
まあ、この島に世界樹が有ろうが無かろうが、テンが僕の手中に居ればなんでも良いさ。
「ああ、二人の気配が消えたね。くふ、そうか。そういう仕組みか」
恐らくこの島は世界樹の意思が働いている。
わかれば全て納得もする。この島が閉ざされていたその理由。自分の意思で来れない不自由さ。
「くっくっく。僕の見立ては正しかったね。ここは本当に僕とテンの二人だけの楽園だ」
あの唯一の邪魔者が居なくなった今、ね。
◇テンサイド◇
ユタがいない。
どこにもいない。
「んはっ!?今日のご飯は!?」
俺は重大な事実に気付いて驚愕した。ママンのご飯!!
「おいでテン。料理位僕も出来るからね」
ユタの気配が無くて狼狽えたけど代わりにヴィーが用意してくれたらしい。
ふふん♪まあ作ってくれたなら食べてやろう。コイツは俺が好きらしいから嬉しすぎて漏らしちゃうんじゃないかな?
「違う」
ワクワクして席に着いたのに、求めていたものじゃなかった。
「くはっ、どういう事だい?」
自信満々に並べられた料理は、確かに凄い。凄すぎる位に豪華だった。勇者業してた時なら巨乳ちゃん達を侍らせて食べてたけど。
でも、でも違うんだ。俺が求めていたのは。
「ママンの料理がない……!」
あの味を知ってしまったら、いや。思い出してしまったらもう元には戻れない。
「俺の、俺の家カレー!俺の手作りハンバーグ!俺のオム焼きそばー!!」
今までユタが作ってくれた料理が走馬灯のように流れていく。
真ん前に座るヴィーのこめかみがピクピクしたけど知ったことかっ。俺は早急に〇ンタのチキンか〇ックの照り焼きバーガーか〇スの以下略を所望する!!
この日からどうやったら居なくなったユタを取り戻せるか模索する俺と、ユタの料理以上に俺の胃袋を掴む料理を模索するヴィーの戦いが始まった。
あ。ユタが戻って来た時に料理作ってくれないと困るからなっ。仕方なく畑の世話はしてやってる(ドヤァ)。
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