せっかくだから男になって攻めてみたい

本編

プロローグ

　ここ何処だろ。

　なんだか温かい。

　そろそろ起きなきゃ。

　あれ？起きれない？それに体が殆ど動かない……。

　音が聞こえる。でも直接聞こえない。

　何か膜の様なもの越しに聞こえる？

　言葉の様だけど何を言っているかわからない。

　何処か外国だろうか。

　あれ？何だろう撫でられてる気がする？

　とてもポカポカして温かい。

　眠くなってきちゃった。

　眠く？あれ？今が寝てるんじゃないの？



　ああ、そうだった。



　私は死んだんだ。



　そうか、ここはお腹の中だ。

　私生まれ変わるのね。



　なら絶対今度こそ男に生まれたい！！



　前は最悪だった。男の体が良かったのに違うし。

　性転換だって本当の男になる訳じゃ無いんだもん。

　私は心まで男になりたい訳じゃない。

　というより心に性別なんて無い。

　どっちの体でどう生きたいかだけ。

　私は男の体でないとセックスしたく無かった。

　そして入れられるより入れたかった。

　だから男の体じゃないと意味なんて無いの！



　私は毎日毎日意識がある間はひたすら男に生まれる様に念じた。

　後ついでに外の言葉を為るべく聞いた。

　何を言ってるかわからないけど、母体の意識なのか。意味は何となくわかった。



　こうして幾年月が過ぎただろうか。

　そろそろ窮屈になってきたから生まれたいと思った。

　そうしたら急に水分が減った。多分破水だ。

　もう直ぐ私が……いや俺が生まれる。



　外が騒がしくなった。

　母体が力んでる。

　俺はそれに合わせて外に出ようと、ほぼ動かない体で一生懸命出口に向かった。





　眩しい！！



　目は開かないけど光が瞼越しに感じる。

　俺はあまりの眩しさと、外の寒さにビックリして泣いた。

　いや、泣かないと呼吸できなくて死んじゃうから正解なんだけど……。

　心は大人でも体の年齢に引っ張られるものなんだな。



　

　気づいたらベッドで寝てた。

　どうやら生まれて初めて泣いて疲れて寝てたようだ。



　さて、俺はちゃんと男に生まれたかな？