せっかくだから男になって攻めてみたい

無月

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本編

0歳-3

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 魔力の練習を始めてから数か月が経った。
 魔法らしきものは未だ使えてないけど、代わりに魔力を目で見る事が出来る様になった。
 魔力は普段はオーラの様に見えて、魔法を使うとその形や色が変わるようだ。
 そして魔法は得手不得手があるらしい。
 例えば母さんは回復魔法が得意らしい。逆に攻撃性の強い魔法は苦手みたいだ。
 優しい母さんにピッタリの性質だな。
 俺としては性転換魔法を会得する為にも回復魔法は覚えたいとこだ。

 「あだー」

 ハイハイが出来る様になった俺は今日の今日とてまだ見ぬ魔法を求めて彷徨いハイハイをする。

 「おはようございます。おじょ……アレックス様」

 メイドが「お嬢様」と言いそうになったので、直ぐに不機嫌になる。
 これは俺は女じゃねーぞと言う意思表示だ。
 お陰で大分「お嬢様」と言う不逞の輩が減った。
 勿論言い直せば直ぐに上機嫌になることも忘れない。

 「あおー、うう」

 言葉が上手く喋れないのはまだ体がそう作られてないから仕方ない。
 けどもどかしいな。今だって「おはよう。ウル」って言ったつもりだけど、どこまで理解されてるやら。
 案の定困った笑顔をされたしな。ありゃ絶対わかってない。

 「うー、おーもー」
 「ああ、オンモですね」

 まあ、これ位はわかって貰えないとね。
 メイドのウルが抱っこしようとしたから、俺は首を横に振った。

 「ふふ。アレックス様はご自分で動かれるのが本当にお好きですね」
 「あう」

 ふっふっふー。イケ細マッチョを目指して今から頑張ってるのさ!
 俺は誇らしげに胸を逸らした。
 ハイハイのカッコじゃ恰好つかないがな。

 「うーこー」

 俺は背後にメイドを従えて庭に繰り出した。
 庭と言っても屋上庭園だ。
 俺はまだ階段を一人で降りれないからな!
 今日は庭で回復魔法の練習だ。
 どこかに怪我をした生き物はいないだろうか。
 キョロキョロすると、視界に白い塊が見えた。

 「なー?」

 猫かと思って近づくと、それは鳥だった。
 しかも翼を怪我してる。

 「なーうー」

 俺は早速翼に向けて回復魔法を練り始めた。
 しかも翼周辺の体組織を正確に読み取りながら行う。
 これは性転換魔法の練習でもあるんだ。
 女の体と男の体は作りが違う。それを魔法で正確に組み替える必要がある。
 少しでも間違えると、下手すれば死ぬ。
 だからこれは必要な通過儀礼だ。

 「やうー」

 読み取った体組織を正確に丁寧に繋げていく。そして欠損部位は再構築を行い繋げていく。
 この再構築が重要で遺伝子を何処まで正確に再現できるか図っている。

 「相変わらず0歳児とは思えない魔術使いですね」

 回復魔法を終えるとウルが感心して褒めてくれる。
 ウルが魔術と言ったけど、どうやらこの世界じゃ魔力の使い方によって言葉を変えてるみたいだ。
 簡単に言うと何も考えなくても放てるのが魔法。構築式を正確に行うのが魔術らしい。
 前者が一般的。後者は宮廷魔術師や研究者など特殊な人達が扱うらしい。
 まあ、何も考えなくても使えるなら何も考えない人のが多いよな。
 尤も発動される物の正確さや威力は段違いになるけど。

 「おう」

 俺は勿論魔術師タイプを目指す必要がある。
 だから賛辞は素直に受け取るのさ。
 エッヘンと得意げな顔をしたら、ウルに微笑ましい顔で笑われた。

 「さて、今日は大事なお話があるそうなのでここで切り上げましょうね」

 そうだった。
 今日は母さんと父さんが大事な家族会議をするんで何故か俺も参加するらしい。
 赤子を参加させるって事は十中八九俺がらみだろうな。
 なんだかすげえ嫌な予感がするぜ。

 連れて来られたのは談話室だった。

 「ありがとう。ウル」
 「恐縮です。奥様」

 ウルは俺を母さんに返すと、退出した。
 今談話室には俺達家族と執事のセバスしかいない。

 「それで大事な話って何かしら」

 俺を優しく抱きながら、母さんが父さんに聞いた。

 「王家から婚約の打診があった」

 !わおっ!イヤンな予感的中かよ!
 父さんが真面目な顔で話すから、場の空気も緊張感が孕んでる。

 「まあ、あるとは思いましたけれどお早い打診ですね」

 母さんも微笑みは維持したまま真面目に話す。

 「第二王子が同じ年に生まれたからな」

 やっぱり王子ですよねー!対外的にはまだ女だもんなー!

 「それで受けるのかしら」
 「栄誉なことだ。断る理由もないが……」

 だがしかし断る!

 「あんぎゃああああああ!!!!」

 俺はそれを否定すべくあらん限りの力で泣くことにした。
 というか現状それしか対抗出来る術がないしな。

 「まあ!急にどうしたのかしら」
 「あんぎゃああああああ!!!」

 狼狽する家族を尻目に俺はあらん限り泣き続ける。

 「!もしかして婚約が嫌なのか?」

 父さんが悟ってくれた。
 俺はピタリと泣き止む。

 「泣き止んだ……。
 ……婚約うけるかな」
 「あんぎゃああああああおおおお!!!!」

 このクソ親父俺で遊んでないか!?
 めっちゃ可笑しそうに笑ってんのわかってんだよ! 

 「!やっぱり婚約が嫌なんだわ」
 「あう!」

 母さんにわかって貰えたから泣き止む。

 「凄いな……0歳で婚約がわかる物か?」
 「あら、アレックスは頭いいのよ。
 ちゃんと自己主張してくれるもの」

 まあ、中身は社会人経験のある若者だからな。

 「まーま、ぱーぱ」

 俺は婚約を阻止すべく、赤ちゃんスマイルを炸裂させて両親に両手を伸ばした。
 赤子の「ママ、パパ」呼びは破壊力があるだろう。
 案の定二人とも目尻を下げてくれる。

 「そうだな!やはり0歳児に婚約はまだ早いよな!」
 「そうよ。せめてきちんとお友達になってからの方がいいわ」

 親馬鹿を炸裂させてくれた二人によって俺の危機は免れた。

 まだ見ぬ第二王子とやらよ。婚約は俺が真実男になったら嫁に貰う形でなら受けてやるからな。
 俺は遠い空の向こうにいるだろう王子へ意識を飛ばした。
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