男に生まれたからには攻めていく!

無月

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本編

15歳-9

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 俺が席を立つのと同時に緊張を見せたレクに、一瞬俺が何かしたかと思った。
 けどレクは全く俺を見ず、というかどことも取れない場所を見るとは無しに見ている。そして両手で両耳を塞いだ。
 その光景はさながら、よく聞こえない電話を片耳を塞いでなんとか聞き取り易くする様で、直ぐに魔術通信が原因だとわかった。

 「やっぱ何かあったのか」

 俺が臨戦体制を取るのと、デイヴとヴァンとジミーが立ち上がるのは同時だった。
 トーマス殿だけは突然空気が変わった事に、訳もわからずポカンとしている。

 「生徒会室周囲には不穏な気配は無いね」
 「ああ、って事は狙いは会長かミシェル嬢」

 俺の横に歩み寄るデイヴが周囲に気を配り言った。
 それに同意を示し、ケイリーの場所を確認する。ケイリーの気配は熟知しているから直ぐに場所がわかった。

 「ヤバげな気配に囲まれてるな」
 「マジかよ。ストーカー共、死んだな」

 俺がケイリーを心配する横で、ヴァンがストーカー達の心配をする。っておいコラ。
 流石にダメだとヴァンを睨むけど、ニヤリと笑われる。

 「ケイリーが素人に遅れを取ると思うのか?」
 「そういう問題じゃない。ケイリーは女の子だぞ」
 「そうだね、ヴァンはもう少し女性の扱い方を学び直した方が良いよ」

 デイヴにも窘められても、ヴァンは気が無さそうに「へーい」と空返事を返すだけだった。
 このヤロ。改善する気ねーな。まあ、ヴァンはジミーを一番大事にしてるし、それ以外は同列に扱う。そこに老若男女は関係無いらしい。デイヴは主(あるじ)だから別らしいけどな。
 そんなヴァンの事も理解してるし、考え方は人其々だ。言うだけは言ったし、嘆息だけしてそれ以上の追求はしない。

 「通信終わった様ですよ」

 ジミーが伝えて、レクに視線が集中する。
 レクは立ち上がると転移魔術を構築した。

 「トーマス殿、申し訳無いですが私達は席を外します」
 「あ、はい。業務は終わってるので大丈夫、です」

 振り返り未だに何が起きたかわからないトーマス殿がしどろもどろに答え、その返事を聞くや否や魔術は発動された。俺達への意思確認は無しだ。必要無いから。



 「ケイリー」

 転移直後に見えたケイリーに、デイヴと共に近寄る。
 レク達は俺達を囲む様に周囲を牽制する。
 ケイリーは怪我一つしていない。わかってはいても安堵の息が漏れる。ケイリーの背後には蹲り震えるミシェル嬢。会長の姿は無い。

 「ゴメン、下手打った。会長が拐われたわ」
 「ミシェル嬢は無事か」

 薙刀片手にもう片手でミシェル嬢を守るケイリーはさながら騎士の様にカッコいい。
 ミシェル嬢もケイリーに守られているからか、震えてはいてもそこまで恐慌状態には陥っていない様だ。

 「は、はいっ。私はケイリー様が守って下さいましたので……。
 けれどルキアーノ会長が……!」

 悲痛の叫びを上げるミシェル嬢に胸が痛む。
 俺はチラリと周囲を囲み、けどいきなり現れた俺達に狼狽を見せる奴らをザッと見分する。大した連中じゃないな。
 おっと、

 「逃すかよ」

 持ち直し、逃げ出す不届き者に殺気を飛ばす。それだけで弱い奴は呼吸困難に陥りその場に膝を突く。けど流石はケイリーを出し抜いた連中だ。自分の足にナイフを突き立てて奮い立たせると、目眩しの魔法を放ち逃走する。

 「ぎゃああああ!!」

 だが甘い。
 大人しく俺の殺気で捕まれば苦しむ事も無かったのにな。
 不届き者達は、レクの張った結界(電撃に炎撃、冷撃有り)にホイホイ宜しく捕まり絡まり焦げ付き地に伏せ気を失わせるのだった。合掌。

 「ここは任せる。
 レク、何処だ」
 「あっち、立ち入り禁止区域にある倉庫に向かってる」

 探知を映像として捉えられるレクに正確な場所を聞く。間髪入れずに帰って来た答えに瞬間的に足を動かす。
 転移魔術では行けない。残念ながら立ち入り禁止区域は一般区域以上に強固な転移防壁に阻まれていて弾かれるからだ。一般区域でさえ簡単に転移出来るのはレクとマチルダ位だと聞いてる。

 「って、何でデイヴも来るんだよ。危ないから帰れ」
 「立ち入り禁止区域への侵入は管理人か王族の許可がいるだろう」
 「許可はくれるだろ。禁止区域は禁止にされるだけの何かがある。危険だ、帰れ」
 「だからこそ尚の事王族として放って置く訳にはいかない」
 「くっそ!ヴァンは何してる!」

 頑なに俺の後ろにピッタリとくっ付いて来るデイヴ。一人で行かせたヴァンに八つ当たりをするが、当人はここにいない。

 「ヴァンには残ってミシェル嬢の守護と犯人捕縛を命じている」

 命令じゃ仕方ねー!
 ヴァンは良き友人であると共にデイヴの部下でもある。命令なら従う義務が生じるんだよな。それが理不尽な命令なら別だけど、今回はそうでも無い。
けど。

 「だからって主人を一人行かせるのはどうかと思うがな!」
 「ふふっ。一人じゃないでしょう?
 だって私にはアレクがいる。貴方以上に私を良く守ってくれる人はいない。ヴァンもそれがわかってるから送り出してくれたのだよ」

 勿論ただ守られる積りも無いけどね。と続けるデイヴに、俺は怒って良いんだか誇って良いんだか、嬉しみと憤りを綯交ぜにした顔で、意味の無さない呻き声を上げるしか出来なかった。
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