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2、可愛いは周囲を固めるもの
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「まり~~リップしてあげる~」
ルンルンはしゃぐ女子の楽しそうな声が飛び交うのは高校1年の教室だ。まりと呼ばれた毱有奏耶の席周辺は今日も女子達の壁ができている。
「え~良いよ~セイセンに怒られるから~」
女子達の中心では茶色の柔らかそうな髪がフリフリと揺れている。
「ダメよ、まり!可愛さも若さも一時のものなのよ!お手入れを怠ったら一気に老けちゃうんだからね?まりはこんなに可愛いの。この可愛さを失うのは人類の喪失よ!ね?だから塗っておこうね?ふふふ、間接キッス~~~」
何やら楽しそうな声が教室一杯に広がっている。
「え~良いの?間接キス?みっちゃん可愛いからな~嬉し!」
まりと呼ばれた毱有奏耶は身長は165㌢とそう高くはないが立派な男子だ。だから教室で女子とイチャイチャしながらこんな会話をダダ漏れさせていたならば、クラスの同性男子にやっかみやら妬みやらを買いそうなものである。が、奏耶は男子であるにもかかわらず、中性というより女子と見紛う程の可愛い顔立ちをしている為か、嫉妬の対象になるよりかは女子との絡みそのものが彼らの目の保養になってしまっている節があった。
「え~?嬉しいの?じゃ、本当にしちゃおっかな?」
女子の方も満更ではない。周囲の生徒はこんな言葉を聞きながら聞き耳を立て、ドキドキしながらただ時間が過ぎるのを待つ。これがこのクラスの日常。
そう…可愛いものは良きも悪しきも周囲の目を引く。それが圧倒的な可愛さだったら?それがいくつもいくつも並んでたら?周りの者は手も出せずただただ指を咥えて見ているだけになる。
…だから、これで良いんだ………
ニコニコと可愛い笑顔を振り撒きながら奏耶は内心満足だ。奏耶の周囲にはいつも人がいる。それも奏耶の目に叶う可愛い女子達。奏耶に可愛いと声をかけられれば女子は悪い気はしない。皆んなちょっとしたお人形を手に入れた気分で奏耶に付き合ってくれるから…
「ね、みっちゃん?こんな所でいいの?皆んな見てるけど?」
でも奏耶もやっぱり立派な男子で、可愛いばかりでは無い。冗談のように顔を近付けてくるみっちゃんに自分からグッと顔を近付けていく。リップにサービスするなんて奏耶にとっては朝飯前のお遊びの一つだから。
「んふふ~じゃ、してもらおっかな~」
花が飛び交う様な賑わいの中、幻聴ではないチュッなんて軽い音まで聞こえて来る。
女子は可愛い…フワフワで柔らかくて、あったかくていい匂いがする。同級生なんて毎日がオシャレの話だし、自分を可愛く見せることに余念がない。子供の素顔に大人の色気が見える、そんな危うい時期は彼女達こそが瑞々しい花束の様に人目に付くはずだ。
…だから、ここが好き………
いい匂いのする花に囲まれてるみたいに、可愛い女の子達は自分の癒しだ。
逆に自分の顔は好きじゃない。この顔は女の子受けは抜群に良くて助かっているけど、出来れば、鏡に自分の顔だけ映るとか勘弁して欲しい。自分でも全然男に見えないこの顔は客観的にはそこらの女の子より可愛く見える。けど、これの所為でどれだけ嫌な思いをして来たか…!
ゾク……と背筋に寒気が走る。
「どったの?」
一瞬表情が凍りついて、動きが止まった奏耶の後ろから女子がのしっと抱きついて来た。
…やわらか……
やっぱり女の子の可愛さはいいな…きっとこの状況を見て、同じ様にこの子にして貰いたいって思う男子は多いだろうし。きっとこの子の体温とか柔らかさを想像して狭い頭の中は一杯だろう…
…うん、これでいい……
「んーん?ちょっと寒気がしたけど、今えりちゃんがあっためてくれたからもう大丈夫~また寒くなるかもだし、帰りも一緒に帰ってくれる?」
「やだ~甘えん坊~いいよ、一緒に帰る~」
後ろから抱きついたままスリスリと頭に頬擦りされてツインテールに結んだ髪がサワサワと当たってこそばゆい。
囲まれてしまえばいい…そう、自分が見えなくなるまで、全部隠れてしまう程の可愛い者達が周りに居れば、自分は安全だから…この顔の所為で年端もいかない幼い頃は本当に散々だった。女の子と遊んでいるのに、連れ去られそうになるのはいつも自分…一人で遊んでいれば抱きつかれ、触られそうになる事など数えきれない。もうはっきり言って、男は嫌いだ…女にも変質者はいるが、被害にあった数は圧倒的に男が多かったから。どれだけ自分が気をつけていても、自分より力の強い方がやってくるのだから太刀打ちしようにも体力も精神力も削られて楽じゃなかった。
だけど、囲まれてる今は楽。そう、本当に楽。可愛い女子をたっぷりと鑑賞しながらその女子達が自分をガードしてくれるんだから。これだけの花があれば、珍しい花だって隠れて霞んでしまうだろう。木は森に隠せってやつ。女の子達は俺で楽しむ、俺は女の子の可愛さの壁で守ってもらう。どちらにとってもwin-winだ…!
「やだーもう!まりちゃん!どうしてこんなに可愛いの!?女装させてぇ!!」
時々こうやって吠える女子もいるけど、こっちは実害ないので大丈夫。
「えぇ~かりんちゃん。僕、男だよ?」
「分かってる!分かってるよ!けど、まりちゃんよりも可憐な女子がいないの!」
あら、机に突っ伏しちゃった…
「ふーん?僕中身は男なんだけどなぁ?かりんちゃん、試してみる?」
本当にそうです。男です。可愛い女の子ともっとイチャイチャしたいです!と、声を大にして言わないけれども男としての欲求はちゃんとある。けど強引とか無理やりとか、そんなのは自分が一番嫌だって知ってるから相手にするのはちゃんと乗って来てくれる女の子だけ。
「いや~~本当しっかり男だねぇ~いや~ん、見えな~い!完璧少女~」
ウリウリと抱きしめながらかりんは勝手な事を担任が来るまで叫び続けていた。
これでいいんだって。可愛くて可愛いものが好きな俺には可愛い女子が集まってくる。その子らと仲良くしている時間は天国みたいに、行ったことがないけど、幸せで安らいだ時間が与えられるのだから。だったら自分からこのポジションを手放そうとは思えないよね。
ルンルンはしゃぐ女子の楽しそうな声が飛び交うのは高校1年の教室だ。まりと呼ばれた毱有奏耶の席周辺は今日も女子達の壁ができている。
「え~良いよ~セイセンに怒られるから~」
女子達の中心では茶色の柔らかそうな髪がフリフリと揺れている。
「ダメよ、まり!可愛さも若さも一時のものなのよ!お手入れを怠ったら一気に老けちゃうんだからね?まりはこんなに可愛いの。この可愛さを失うのは人類の喪失よ!ね?だから塗っておこうね?ふふふ、間接キッス~~~」
何やら楽しそうな声が教室一杯に広がっている。
「え~良いの?間接キス?みっちゃん可愛いからな~嬉し!」
まりと呼ばれた毱有奏耶は身長は165㌢とそう高くはないが立派な男子だ。だから教室で女子とイチャイチャしながらこんな会話をダダ漏れさせていたならば、クラスの同性男子にやっかみやら妬みやらを買いそうなものである。が、奏耶は男子であるにもかかわらず、中性というより女子と見紛う程の可愛い顔立ちをしている為か、嫉妬の対象になるよりかは女子との絡みそのものが彼らの目の保養になってしまっている節があった。
「え~?嬉しいの?じゃ、本当にしちゃおっかな?」
女子の方も満更ではない。周囲の生徒はこんな言葉を聞きながら聞き耳を立て、ドキドキしながらただ時間が過ぎるのを待つ。これがこのクラスの日常。
そう…可愛いものは良きも悪しきも周囲の目を引く。それが圧倒的な可愛さだったら?それがいくつもいくつも並んでたら?周りの者は手も出せずただただ指を咥えて見ているだけになる。
…だから、これで良いんだ………
ニコニコと可愛い笑顔を振り撒きながら奏耶は内心満足だ。奏耶の周囲にはいつも人がいる。それも奏耶の目に叶う可愛い女子達。奏耶に可愛いと声をかけられれば女子は悪い気はしない。皆んなちょっとしたお人形を手に入れた気分で奏耶に付き合ってくれるから…
「ね、みっちゃん?こんな所でいいの?皆んな見てるけど?」
でも奏耶もやっぱり立派な男子で、可愛いばかりでは無い。冗談のように顔を近付けてくるみっちゃんに自分からグッと顔を近付けていく。リップにサービスするなんて奏耶にとっては朝飯前のお遊びの一つだから。
「んふふ~じゃ、してもらおっかな~」
花が飛び交う様な賑わいの中、幻聴ではないチュッなんて軽い音まで聞こえて来る。
女子は可愛い…フワフワで柔らかくて、あったかくていい匂いがする。同級生なんて毎日がオシャレの話だし、自分を可愛く見せることに余念がない。子供の素顔に大人の色気が見える、そんな危うい時期は彼女達こそが瑞々しい花束の様に人目に付くはずだ。
…だから、ここが好き………
いい匂いのする花に囲まれてるみたいに、可愛い女の子達は自分の癒しだ。
逆に自分の顔は好きじゃない。この顔は女の子受けは抜群に良くて助かっているけど、出来れば、鏡に自分の顔だけ映るとか勘弁して欲しい。自分でも全然男に見えないこの顔は客観的にはそこらの女の子より可愛く見える。けど、これの所為でどれだけ嫌な思いをして来たか…!
ゾク……と背筋に寒気が走る。
「どったの?」
一瞬表情が凍りついて、動きが止まった奏耶の後ろから女子がのしっと抱きついて来た。
…やわらか……
やっぱり女の子の可愛さはいいな…きっとこの状況を見て、同じ様にこの子にして貰いたいって思う男子は多いだろうし。きっとこの子の体温とか柔らかさを想像して狭い頭の中は一杯だろう…
…うん、これでいい……
「んーん?ちょっと寒気がしたけど、今えりちゃんがあっためてくれたからもう大丈夫~また寒くなるかもだし、帰りも一緒に帰ってくれる?」
「やだ~甘えん坊~いいよ、一緒に帰る~」
後ろから抱きついたままスリスリと頭に頬擦りされてツインテールに結んだ髪がサワサワと当たってこそばゆい。
囲まれてしまえばいい…そう、自分が見えなくなるまで、全部隠れてしまう程の可愛い者達が周りに居れば、自分は安全だから…この顔の所為で年端もいかない幼い頃は本当に散々だった。女の子と遊んでいるのに、連れ去られそうになるのはいつも自分…一人で遊んでいれば抱きつかれ、触られそうになる事など数えきれない。もうはっきり言って、男は嫌いだ…女にも変質者はいるが、被害にあった数は圧倒的に男が多かったから。どれだけ自分が気をつけていても、自分より力の強い方がやってくるのだから太刀打ちしようにも体力も精神力も削られて楽じゃなかった。
だけど、囲まれてる今は楽。そう、本当に楽。可愛い女子をたっぷりと鑑賞しながらその女子達が自分をガードしてくれるんだから。これだけの花があれば、珍しい花だって隠れて霞んでしまうだろう。木は森に隠せってやつ。女の子達は俺で楽しむ、俺は女の子の可愛さの壁で守ってもらう。どちらにとってもwin-winだ…!
「やだーもう!まりちゃん!どうしてこんなに可愛いの!?女装させてぇ!!」
時々こうやって吠える女子もいるけど、こっちは実害ないので大丈夫。
「えぇ~かりんちゃん。僕、男だよ?」
「分かってる!分かってるよ!けど、まりちゃんよりも可憐な女子がいないの!」
あら、机に突っ伏しちゃった…
「ふーん?僕中身は男なんだけどなぁ?かりんちゃん、試してみる?」
本当にそうです。男です。可愛い女の子ともっとイチャイチャしたいです!と、声を大にして言わないけれども男としての欲求はちゃんとある。けど強引とか無理やりとか、そんなのは自分が一番嫌だって知ってるから相手にするのはちゃんと乗って来てくれる女の子だけ。
「いや~~本当しっかり男だねぇ~いや~ん、見えな~い!完璧少女~」
ウリウリと抱きしめながらかりんは勝手な事を担任が来るまで叫び続けていた。
これでいいんだって。可愛くて可愛いものが好きな俺には可愛い女子が集まってくる。その子らと仲良くしている時間は天国みたいに、行ったことがないけど、幸せで安らいだ時間が与えられるのだから。だったら自分からこのポジションを手放そうとは思えないよね。
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