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14、距離が縮まる?
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「もう少しだけ、声を落として…?」
「え?先輩どうして?」
「ん…周りの奴らに聞こえるだろう?」
今日も噂の二人の姿が目撃されている。彼らは男子トイレで待ち合わせて、今日は校舎裏の隅の方に移動していった。
ここならば誰かに盗み聞きされる様な心配はないと思うのだが、鷹先輩は必要以上に慎重派な一面がある様だ。確かにチラホラ興味本位でこちらの様子を伺っていると思われる生徒がいるにはいるのだが、気にする事はないと思う。が、それでも鷹先輩にはハードルが高いみたいだ。けれど、ウサッチーの件から可愛いもの好きって事を俺の前では隠さなくなった。だから授業の合間にちょくちょく会って鷹先輩には俺の手持ちのグッズを鑑賞してもらう。そして俺はグッズを鑑賞している鷹先輩を鑑賞する、と言う二重の鑑賞会が俺達二人の中では築かれつつあるのだが、鷹先輩はこれには気がついていないんだろうなぁ…
今日の餌はラメたっぷりのキラキラアップルシールだ。元気なパステルカラーでバリエーションは豊富。小学生女子ならばテンション爆上がりしそうな大小のキラキラぶり。これはシールのみならず小さめのキーホルダーの方も結構可愛くて、キラキラしてる女子の鞄にゆらゆらと揺れているのを良く見かける。それを鷹先輩はいつもの顰めっ面を封印して薄らと目を細めては愛おしそうに見ているのだから…その顔は嬉しそうにしか見えないのだが、本人はきっとグッと我慢して隠している。
…そこが、可愛いんだよなぁ………
などとこっちも鷹先輩に見入ってしまう、そんなループができた。
「ねぇ、先輩どうです?キャラクターじゃなくても可愛いですよね?」
にこやかに話しつつ、二人の間に挟んでいるのは味気ないただの大学ノートだ。これは周囲の目を気にする先輩だからこそ、その物を出しての鑑賞会は避けたいだろうとカモフラージュを考えた末だ。これなら周りの生徒には、ノートを覗き込みつつ何やら勉強でもしているかの様に演出できるだろう。
ウサッチーのシャーペンの時はトイレの中だった。それはそれで、鷹先輩の緊張した表情がみるみる緩んでいきそうになるのを目の前で見る事ができたから、場所はトイレでも別に構わなかった。けれども毎回人目を避けるデートがトイレじゃあ……ね?味気ないったらない。だから場所をこうして移しながら、鷹先輩を楽しんでいる。
「ん……」
鷹先輩は俺とは違い、あまり自分から多くは話さない人らしい。こうして聞くと感想なんかは頂けるけれども。今もじっと黙々と、飽きもせずにリンゴを見つめている。
「今度先輩の鞄にもつけちゃおっかな?」
つい、悪戯心でそんな言葉が出てくる。絶対に鷹先輩はうんとは言わない様な内容で。
「え…!?」
そしたら鷹先輩、弾かれた様に顔を上げた。元々鷹先輩の方が背が高いからそれでも俺が見下ろされる様な形になってしまうのだけれども。無防備なビックリ顔。まるで警戒心のない子供みたいに幼く見える。
…こっちがびっくりする……
まるでこれじゃあ、誕生日かクリスマスのプレゼントに思いがけない凄い物をもらってしまって呆けている子供みたいじゃないか。
…そんなに、嬉しいんだ……
周りの目はいいの?と聞きたくなるほどの素直な反応。
「え、と。でも鷹先輩はあんまりこういうの付けるの気が進みませんよね?」
…だってずっと隠そうとしているくらいなんだし……
「あ、あぁ…うん……」
…何?なになになに?……
一瞬自分のテンションが、いつも周囲にいる女子と同じになるところだった。なんでそんなにシュンとして、残念そうに眉が垂れているの?ものすっごい残念そうに言うじゃん?
「いや、でも見えない所なら良いですかね?んん?何処かに隠しておくとか?先輩の部屋とかは?」
「いや…うちは……」
あ、やべ…もっとしゅんとしちゃったよ…可愛いのはいいけど、悲しませたいんじゃないからなぁ…嬉し泣き以外の悲しい顔って虐めてるみたいで心が痛い。嬉し恥ずかしの悶える姿か、嬉し泣きが見たいんだ。
「ん、じゃ、鷹先輩!うち来ます?」
鷹先輩の家はなんだか問題ありそうなんで。
「…毱有君の家?…なんで?」
鷹先輩は俺の意図を探ろうとして首を傾げてる。
「ほら、先輩のお家にグッズが置けないなら、僕の部屋に置けばいいかなって。僕結構この手の物持ってますから。鷹先輩分が増えたって全然問題ないですし。」
それよりもっと間近で先輩観察できるかも知れないし。俺にとっても役得。
「でも、毱有君には迷惑なんじゃないの?」
「迷惑!?とんでも無い!僕男友達少ないですし、て言うかほとんどいませんし、同じように可愛いもの好き同士って見つけられないので、よかったら是非、先輩と仲良くなりたいなぁ。」
これは本当。ここで遠慮されたらこれ以上距離が縮まらないもん。だから先輩にはこっちに来てもらわなくちゃ。
「いい、のか?本当に?家の人とかに迷惑には?」
まだ気にするの?ちょっと呆れてきちゃうけど、それ程先輩の中でも用心深くならなくちゃいけない理由があるんだ?
「大丈夫ですよ!僕、男の友人少ないので、返って家族は安心するんじゃ無いかな?鷹先輩みたいに礼儀正しい人は歓迎です!」
思いっきり微笑んで鷹先輩を誘おう。自分の顔は嫌いだけれど、鷹先輩はこの顔に弱いみたいだから。
「それに鷹先輩の好みのものって見てみたいなぁ…どんなのが良いですか?あ、先輩の家に置けないようなら、うちに置いておいていいですからね?そうしたらまた遊びにきた時に楽しめるでしょう?」
たった一回の来訪で終わらせないでくださいね、先輩。俺、もっともっとも~~っと先輩の色々な所を見たいんですから。
どうしよう。凄い楽しみになってきた。ワクワクしすぎて今夜は眠れないかも……
「え?先輩どうして?」
「ん…周りの奴らに聞こえるだろう?」
今日も噂の二人の姿が目撃されている。彼らは男子トイレで待ち合わせて、今日は校舎裏の隅の方に移動していった。
ここならば誰かに盗み聞きされる様な心配はないと思うのだが、鷹先輩は必要以上に慎重派な一面がある様だ。確かにチラホラ興味本位でこちらの様子を伺っていると思われる生徒がいるにはいるのだが、気にする事はないと思う。が、それでも鷹先輩にはハードルが高いみたいだ。けれど、ウサッチーの件から可愛いもの好きって事を俺の前では隠さなくなった。だから授業の合間にちょくちょく会って鷹先輩には俺の手持ちのグッズを鑑賞してもらう。そして俺はグッズを鑑賞している鷹先輩を鑑賞する、と言う二重の鑑賞会が俺達二人の中では築かれつつあるのだが、鷹先輩はこれには気がついていないんだろうなぁ…
今日の餌はラメたっぷりのキラキラアップルシールだ。元気なパステルカラーでバリエーションは豊富。小学生女子ならばテンション爆上がりしそうな大小のキラキラぶり。これはシールのみならず小さめのキーホルダーの方も結構可愛くて、キラキラしてる女子の鞄にゆらゆらと揺れているのを良く見かける。それを鷹先輩はいつもの顰めっ面を封印して薄らと目を細めては愛おしそうに見ているのだから…その顔は嬉しそうにしか見えないのだが、本人はきっとグッと我慢して隠している。
…そこが、可愛いんだよなぁ………
などとこっちも鷹先輩に見入ってしまう、そんなループができた。
「ねぇ、先輩どうです?キャラクターじゃなくても可愛いですよね?」
にこやかに話しつつ、二人の間に挟んでいるのは味気ないただの大学ノートだ。これは周囲の目を気にする先輩だからこそ、その物を出しての鑑賞会は避けたいだろうとカモフラージュを考えた末だ。これなら周りの生徒には、ノートを覗き込みつつ何やら勉強でもしているかの様に演出できるだろう。
ウサッチーのシャーペンの時はトイレの中だった。それはそれで、鷹先輩の緊張した表情がみるみる緩んでいきそうになるのを目の前で見る事ができたから、場所はトイレでも別に構わなかった。けれども毎回人目を避けるデートがトイレじゃあ……ね?味気ないったらない。だから場所をこうして移しながら、鷹先輩を楽しんでいる。
「ん……」
鷹先輩は俺とは違い、あまり自分から多くは話さない人らしい。こうして聞くと感想なんかは頂けるけれども。今もじっと黙々と、飽きもせずにリンゴを見つめている。
「今度先輩の鞄にもつけちゃおっかな?」
つい、悪戯心でそんな言葉が出てくる。絶対に鷹先輩はうんとは言わない様な内容で。
「え…!?」
そしたら鷹先輩、弾かれた様に顔を上げた。元々鷹先輩の方が背が高いからそれでも俺が見下ろされる様な形になってしまうのだけれども。無防備なビックリ顔。まるで警戒心のない子供みたいに幼く見える。
…こっちがびっくりする……
まるでこれじゃあ、誕生日かクリスマスのプレゼントに思いがけない凄い物をもらってしまって呆けている子供みたいじゃないか。
…そんなに、嬉しいんだ……
周りの目はいいの?と聞きたくなるほどの素直な反応。
「え、と。でも鷹先輩はあんまりこういうの付けるの気が進みませんよね?」
…だってずっと隠そうとしているくらいなんだし……
「あ、あぁ…うん……」
…何?なになになに?……
一瞬自分のテンションが、いつも周囲にいる女子と同じになるところだった。なんでそんなにシュンとして、残念そうに眉が垂れているの?ものすっごい残念そうに言うじゃん?
「いや、でも見えない所なら良いですかね?んん?何処かに隠しておくとか?先輩の部屋とかは?」
「いや…うちは……」
あ、やべ…もっとしゅんとしちゃったよ…可愛いのはいいけど、悲しませたいんじゃないからなぁ…嬉し泣き以外の悲しい顔って虐めてるみたいで心が痛い。嬉し恥ずかしの悶える姿か、嬉し泣きが見たいんだ。
「ん、じゃ、鷹先輩!うち来ます?」
鷹先輩の家はなんだか問題ありそうなんで。
「…毱有君の家?…なんで?」
鷹先輩は俺の意図を探ろうとして首を傾げてる。
「ほら、先輩のお家にグッズが置けないなら、僕の部屋に置けばいいかなって。僕結構この手の物持ってますから。鷹先輩分が増えたって全然問題ないですし。」
それよりもっと間近で先輩観察できるかも知れないし。俺にとっても役得。
「でも、毱有君には迷惑なんじゃないの?」
「迷惑!?とんでも無い!僕男友達少ないですし、て言うかほとんどいませんし、同じように可愛いもの好き同士って見つけられないので、よかったら是非、先輩と仲良くなりたいなぁ。」
これは本当。ここで遠慮されたらこれ以上距離が縮まらないもん。だから先輩にはこっちに来てもらわなくちゃ。
「いい、のか?本当に?家の人とかに迷惑には?」
まだ気にするの?ちょっと呆れてきちゃうけど、それ程先輩の中でも用心深くならなくちゃいけない理由があるんだ?
「大丈夫ですよ!僕、男の友人少ないので、返って家族は安心するんじゃ無いかな?鷹先輩みたいに礼儀正しい人は歓迎です!」
思いっきり微笑んで鷹先輩を誘おう。自分の顔は嫌いだけれど、鷹先輩はこの顔に弱いみたいだから。
「それに鷹先輩の好みのものって見てみたいなぁ…どんなのが良いですか?あ、先輩の家に置けないようなら、うちに置いておいていいですからね?そうしたらまた遊びにきた時に楽しめるでしょう?」
たった一回の来訪で終わらせないでくださいね、先輩。俺、もっともっとも~~っと先輩の色々な所を見たいんですから。
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