38 / 72
38 囚われた先は
しおりを挟む
レギル王子が引きずられて行き放り込まれた牢は貴族牢などからは程遠い程の簡素な汚らしいもので、レギル王子は両手を後ろ手に縛られたまま放り込まれることとなった。
「領主の館か……」
国を護る騎士達は各地に駐屯し、その任に就く。が、各地の領主によっては私兵団を擁しており、国の騎士と協力して任に就いている事も珍しくはない。騎士隊の駐屯地にももちろん牢があるが、領主の屋敷にも地下に作られていたり、別棟があったりと私用の牢屋くらいは備えている。運び込まれた建物の外観は騎士の駐屯地ではあり得ないほどの立派な造りであったため、レギル王子は自分は領主の館に連れてこられたと判断する。
「騎士隊に渡さなくてもいいのか?」
牢の外では見張らしき者達の声がする。
「さぁ、騎士隊のお偉いさんが連れて来たんだろ?」
「ああ、騎士隊舎の牢に入れる筈じゃないのか?」
「まあ、いいだろ?こっちでも拘束されてるんだから一緒だろ?」
「何言ってんだよ?王族だって噂だろ?これがバレたら領主様の首だけじゃ済まなくなるぞ?」
「平気だろ?王族の名を偽っているだけだから。」
「おい!なんでそんなこと分かるんだよ!それが違ったら俺達だって無事に済まないんだぞ!!」
「平気だって…まぁ、見てろよ?」
なるほど……ここは国にではなくて、誰かに付いている私兵で管理されている。
「…つっ…」
かなり容赦なく縛り上げてくれた物だから、両手は一切動かせない…牢に入れれる際足まで縛り上げられたので、寝返りさえも真面にとる事ができない姿勢のまま放置される事どれくらい経っただろうか?
「様子はどうだ?」
外から聞いた事のある声が聞こえてくる?
どこで…?
「へぇ、おとなしいもんですよ…暴れも、叫びもしませんよ。」
「ふ~ん。肝が座ってるのか?高を括ってるのか?」
レギル王子はグッと仰向けになって首を入り口の方に回す。
誰だ?
ガチャッとドアが開けられればやはり見た顔だが………
「やぁ、兄弟!」
「!?」
「俺の顔を覚えているかい?」
「どこで……!?…宿屋か?」
「ご名答!……よっと!」
「うっ……!」
仰向けだったレギル王子の胸ぐらをグッと掴んで引き起こして男はレギル王子を座らせた。確か…あのしつこいデイルの兄貴分のエルグと名乗っていた男だ。
「なぜ、ここに?」
「よし、顔に傷は付けられて無いな?」
エルグはレギルの顎を手で掴むと左右に顔を振らせて確認している。
「おい、お前ら!絶対に身体に傷をつけるなよ?あ~あ、この腕傷できてんじゃん?強く縛りすぎなんじゃねぇの?」
「はぁ、でもそれ騎士隊の人達が…」
「はぁぁ……あいつらガサツだからなぁ…傷者になったら値が下がるって言うのによ……」
値が下がる………
「…自分が売り物になるとは、ついぞ思わなかったな………」
「あ、高を括ってる方だったな?兄弟…あんたみたいなのをさ、非常に欲しがるお方もいてね?まあ、こちとらいい商売をさせてもらってますけどね。」
爽やかないい笑顔でエルグは言うがこれはかなりの問題発言だ。
「国際問題になるぞ?」
「お?まだ強気か?それは大丈夫だろ?あんたは国を出てない事になっているらしいじゃない?病気療養中で、代わりの者が立たされているって話だぞ?」
自分の全てを置いていくつもりだったから、王位継承権が移っていてもレギル王子にはなんら不服はない。
「落ち着いちゃってるな?覚悟の上ってか?いいね……なら、こちらもなんの罪悪感もなく商売ができる。」
「商品になってやるつもりはないんだが…」
「あ、魔法は封じさせてもらってるからな?あんた魔術士様なんだって話だし…ハイスペックだね?」
「…魔力封じの術も道具も手に入る物ではないだろう?」
魔法自体がもう殆ど忘れ去られている様な世界でそんなアイテムを所持している方が物珍しい。
「ふっここのご領主様がそういうのが好きでねぇ…色々と持ってらっしゃったわけよ。それを今使ってるから、あ、どれだけ影響が出るか分からないから、魔法は使わないでくれよ?こっちは、興行収入が全く入らなくなっちゃったんだから、あんたが売れてもらわなきゃ困るんだよねぇ~」
「なんとも、勝手な言い分だな……」
「本当、いい目してるよな、あんた。その色といい、目力といい、喜ばれそうだ。」
「……」
「あぁ、絶対に自殺なんてしてくれるなよ?もう一人、良さそうな奴がまだ捕まってないんだからさ。そんな事されたらこっちは大損だからな?」
なんとも勝手な言い分だ…いいたい事だけ言い置いてエルグは牢を去っていった。
もう一人は捕まってはいない……その、もう一人とはリレランだろうか…?
大人しく捕まるリレランではないとレギル王子は思っているが、狙われているのが分かっているのは気持ちの良いものではないどころか、レギル王子には不快極まりなかった…………
「領主の館か……」
国を護る騎士達は各地に駐屯し、その任に就く。が、各地の領主によっては私兵団を擁しており、国の騎士と協力して任に就いている事も珍しくはない。騎士隊の駐屯地にももちろん牢があるが、領主の屋敷にも地下に作られていたり、別棟があったりと私用の牢屋くらいは備えている。運び込まれた建物の外観は騎士の駐屯地ではあり得ないほどの立派な造りであったため、レギル王子は自分は領主の館に連れてこられたと判断する。
「騎士隊に渡さなくてもいいのか?」
牢の外では見張らしき者達の声がする。
「さぁ、騎士隊のお偉いさんが連れて来たんだろ?」
「ああ、騎士隊舎の牢に入れる筈じゃないのか?」
「まあ、いいだろ?こっちでも拘束されてるんだから一緒だろ?」
「何言ってんだよ?王族だって噂だろ?これがバレたら領主様の首だけじゃ済まなくなるぞ?」
「平気だろ?王族の名を偽っているだけだから。」
「おい!なんでそんなこと分かるんだよ!それが違ったら俺達だって無事に済まないんだぞ!!」
「平気だって…まぁ、見てろよ?」
なるほど……ここは国にではなくて、誰かに付いている私兵で管理されている。
「…つっ…」
かなり容赦なく縛り上げてくれた物だから、両手は一切動かせない…牢に入れれる際足まで縛り上げられたので、寝返りさえも真面にとる事ができない姿勢のまま放置される事どれくらい経っただろうか?
「様子はどうだ?」
外から聞いた事のある声が聞こえてくる?
どこで…?
「へぇ、おとなしいもんですよ…暴れも、叫びもしませんよ。」
「ふ~ん。肝が座ってるのか?高を括ってるのか?」
レギル王子はグッと仰向けになって首を入り口の方に回す。
誰だ?
ガチャッとドアが開けられればやはり見た顔だが………
「やぁ、兄弟!」
「!?」
「俺の顔を覚えているかい?」
「どこで……!?…宿屋か?」
「ご名答!……よっと!」
「うっ……!」
仰向けだったレギル王子の胸ぐらをグッと掴んで引き起こして男はレギル王子を座らせた。確か…あのしつこいデイルの兄貴分のエルグと名乗っていた男だ。
「なぜ、ここに?」
「よし、顔に傷は付けられて無いな?」
エルグはレギルの顎を手で掴むと左右に顔を振らせて確認している。
「おい、お前ら!絶対に身体に傷をつけるなよ?あ~あ、この腕傷できてんじゃん?強く縛りすぎなんじゃねぇの?」
「はぁ、でもそれ騎士隊の人達が…」
「はぁぁ……あいつらガサツだからなぁ…傷者になったら値が下がるって言うのによ……」
値が下がる………
「…自分が売り物になるとは、ついぞ思わなかったな………」
「あ、高を括ってる方だったな?兄弟…あんたみたいなのをさ、非常に欲しがるお方もいてね?まあ、こちとらいい商売をさせてもらってますけどね。」
爽やかないい笑顔でエルグは言うがこれはかなりの問題発言だ。
「国際問題になるぞ?」
「お?まだ強気か?それは大丈夫だろ?あんたは国を出てない事になっているらしいじゃない?病気療養中で、代わりの者が立たされているって話だぞ?」
自分の全てを置いていくつもりだったから、王位継承権が移っていてもレギル王子にはなんら不服はない。
「落ち着いちゃってるな?覚悟の上ってか?いいね……なら、こちらもなんの罪悪感もなく商売ができる。」
「商品になってやるつもりはないんだが…」
「あ、魔法は封じさせてもらってるからな?あんた魔術士様なんだって話だし…ハイスペックだね?」
「…魔力封じの術も道具も手に入る物ではないだろう?」
魔法自体がもう殆ど忘れ去られている様な世界でそんなアイテムを所持している方が物珍しい。
「ふっここのご領主様がそういうのが好きでねぇ…色々と持ってらっしゃったわけよ。それを今使ってるから、あ、どれだけ影響が出るか分からないから、魔法は使わないでくれよ?こっちは、興行収入が全く入らなくなっちゃったんだから、あんたが売れてもらわなきゃ困るんだよねぇ~」
「なんとも、勝手な言い分だな……」
「本当、いい目してるよな、あんた。その色といい、目力といい、喜ばれそうだ。」
「……」
「あぁ、絶対に自殺なんてしてくれるなよ?もう一人、良さそうな奴がまだ捕まってないんだからさ。そんな事されたらこっちは大損だからな?」
なんとも勝手な言い分だ…いいたい事だけ言い置いてエルグは牢を去っていった。
もう一人は捕まってはいない……その、もう一人とはリレランだろうか…?
大人しく捕まるリレランではないとレギル王子は思っているが、狙われているのが分かっているのは気持ちの良いものではないどころか、レギル王子には不快極まりなかった…………
0
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由
スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの少年二人は、15歳になり神の祝福でスキルを得た事で道をたがえる。彼らはやがて青年となり、片方は魔王討伐に旅立つ勇者として華々しい活躍をし、もう片方はただ彼の帰還を待つ相変わらずスラム暮らしの存在となる。
これは何も持たない青年がただ勇者の帰りを待つ日常を描いた作品です。
無自覚両片想いの勇者×親友。
読了後、もう一度だけ読み直して頂けると何か見える世界が変わるかもしれません。
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
聖女召喚の巻き添えで喚ばれた「オマケ」の男子高校生ですが、魔王様の「抱き枕」として重宝されています
八百屋 成美
BL
聖女召喚に巻き込まれて異世界に来た主人公。聖女は優遇されるが、魔力のない主人公は城から追い出され、魔の森へ捨てられる。
そこで出会ったのは、強大な魔力ゆえに不眠症に悩む魔王。なぜか主人公の「匂い」や「体温」だけが魔王を安眠させることができると判明し、魔王城で「生きた抱き枕」として飼われることになる。
悪役令息に転生した俺は推しの為に舞台から退場する
スノウマン(ユッキー)
BL
前世の記憶を思い出したアレクシスは悪役令息に転生したことに気づく。このままでは推しである義弟ノアが世界を救った後も幸せになれない未来を迎えてしまう。それを回避する為に、俺は舞台から退場することを選んだ。全てを燃やし尽くす事で。
そんな俺の行動によってノアが俺に執着することになるとも知らずに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる