[完結]亡国の皇子は華と剣を愛でる 

小葉石

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20 城の中で *

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 スロウルの宛てがわれた部屋は貴族牢の一室。

 牢と言っても自由に外に出られないだけで部屋の中では何をしていても誰にも咎められる事はない。

 自由に面会は出来ないが、希望すれば立会人の元面会することもできる。


「全くお前がここに来るなんてね………」


 牢と言う部屋に案内されて一番驚いたのはこの男がいた事だろう。


「部隊長?」


 数年前の記憶といえど、外見の変化は殆ど変わっていない。いや更に精悍さが増したかつての上司がそこに居た。


「ん~今は城の牢番の兵士長だがな。」    

 久しぶりに会うかつての上司は、困った様な戸惑った顔をしていた。
 

「何をした…?公爵家嫡男が入るところじゃないだろう?」

「まだ聴取の最中でしょう?私から詳しい事を言うのは違反なのでは?」

「あのな、貴族様の処罰だぞ?俺ら下っ端には詳しい事は降りて来んよ。そもそもお前がらみじゃ尚更だろう。」



「………望んだことではないのですがね………」

「心配していたことが起こったってわけか…?」

 フゥ、と軽く息を吐いてから部屋の丸テーブルに座る様に勧めて来る。



「まだ、食事をとっていないだろう?付き合うから少しばかり昔話に付き合え。」

 
 他の兵士が二人分の夕食を運び、共に夕食につく。


 部隊長であった元上司はある討伐で怪我を負い、第一線を退いたそうだが、その後は城勤めの牢番兵士長として勤めているとの事。

 随分と懐かしい人に会ったもので、今となっては複雑なものもある思い出の一つ。スロウルは顔には出さなかったが、何故かアクサードに申し訳ない様な気さえする。


「お前のそばにはスレントルの次男坊はまだ居るのか?」

「ええ、変わらずに……」


 そう、あの日からアクサードの気持ちに疑いをもったほどが無いくらいには、信じていられる距離にいる。


「そうか………」


 またも、複雑そうな元部隊長。それをスロウルは怪訝そうに見つめていただけだった。
 



  

 アクサードが気持ちを伝えてきたのはいつだったか?

 暗い兵士団のアクサードの部屋で、最初は狭いベッドで密着している事が酷く恥ずかしかったのを覚えている。

 何度も何度も執拗に体の線をなぞってきて、何がそんなに楽しいのか此方はサッパリ分からなかった。

 分からないのに、同性にされて嫌だと感じていた事が嫌ではなくて、自分自身に驚いたのだ。


「ンッ…」

 
 触られれば反応はする。けれど自分の反応に嫌悪感はなくて、ただただ恥ずかしくてアクサードの顔さえ見れなかった。

 唇にされるキスも、首筋を触れる舌も、弱い耳の裏も…



「………!!」



 夢の中で、違う!と呟く声が聴こえる。

 アクサードはそこを執拗に攻めて来たりはしない。

 この手も、アクサードの手では……



「アッ……!!」

 

 いきなり背筋を一気に駆け上がった電流の様な快感にスロウルは声をあげてしまう。

 スロウルの中心は熱く大きな手に握り込まれ、ゆっくりとだが確実にスロウルを攻め立てている。


 痺れ上がる様な快感もだが、それがアクサードの手では無い事に気がつき驚愕を覚える。


「だ……れ、だ。」


 登り来る快感に、ビクッビクと体が跳ねてしまう。



「弱いところは相変わらずか?」

 聞き慣れていた声…初めてこの行為を教えた人でもある…



「部隊長………?」

 何故?ここは?私は一体何をして…?
自分の記憶が定まらない。


「お前に、触るのは久しぶりだな……大きくなった……」


「え?なん……やっ!………アッ…ンン…!」

 声を抑えるのに必死で質問したくても、上手く言葉が出てこない。


 下半身への覚えのある感覚に、背が仰け反って嫌な位に感じている。

 頭を振っても快感からは逃れず食いしばったスロウルの口からは吐息の様な喘ぎが止まらず漏れる。



「フゥッ……ゥ…アッ……ウゥッ…ン…」


 あっという間に口に含まれていたスロウルはなすがままに、身を捩り跳ね上がる。


「アァァンッ……やっ……やぁ….ン!!」

 いつも以上に感じてしまい、達しようとする手前で手と口が離された。
 

「ハァ……ンンゥッ……」


 すんでの所で消えしまった刺激が欲しくてスロウルの腰が揺らめく。
 瞳は潤み、頬は紅潮し口は開いたままだ。


 ゾクリとする色気がある。 

 
 自らの手を動かそうとしても、動かせない事に今気がついた… 

 いつの間にかベッドの上、しかも頭の上で手が縛られている。


「はっ昔も綺麗な顔してたが今はさらに磨きがかかってんな…顔、殴られたのか?」

「やめ…」


 スロウルに最後まで言わせずに、顎を掴むと深く、深く口付けをしてくる。

 何も話せず、息をつく暇もない程舌を弄られ吸い上げられる。


「……ッ……フ…ッ…」



 …………………アクサード………



「ン…ンンッ…!」

「暴れるなよ?食事に媚薬を混ぜてある。このままではお前が辛いだろ?」


 探られた後ろが熱い、疼く様な、痺れる様なもどかしい快感に身を捩るのを止められない…



………アクサード!………………



 体を貫き走る快感の中で、必死にアクサードの名前を呼ぶ…
 こんな所、絶対に見られたくはないが、呼び続ける事で、快感を喜ぶ罪悪感から少しでも逃げられる様な気がした…


「アァァンッ…!……ッンッ…………ヤァァ……… 
アァッ…ァッ…ンンンンッ!」

「はっ………スロウル、良い子だ…俺に合わせて腰を動かしてみろよ?」


 媚薬を塗られ、滑らか過ぎる後ろに一気に深く挿入されたスロウルは、その瞬間に精を放つ…

 放っても押し寄せて来る快感の波に抗えずスロウルは自ら、部隊長の律動に合わせて動いてしまう。


…アクサード!!…………………

 
 体はこの上無く喜び鳴くが、スロウルはアクサードに向かって悲鳴に近い叫びを上げていた。
 
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