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48 見えない出口
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ウトウト、ウトウトと光の中を微睡む。
ここはどこ?
考えるけれど答えはない。目も開けられず、ただ眠り続ける。
限界まで魔力を使ったサウラが王の寝室から運ばれて来てより、ベッドの住人となっている。
回復魔法を掛けられていたルーシウスとは違い、自然回復を待たねばならないサウラは、体力の回復もルーシウスよりも遅い。
目が覚めてからもボヤッとしていて頭は働いていない。促されるままに入浴し、うつらうつらしながら食事をし、回復の為にまた深く眠る。
何度か目の目覚めで、だんだんと頭がハッキリとしてきた様に思う。
それと同時に、悪夢にも苛まされる。
追って来る大きな波。逃げ惑う者を助けながら自らも逃げるサウラ。
溺れている人を助けたいと思っても、いつもいつも後一歩の所で全て波に攫われてしまう。
手を伸ばしても、泳いでも、服を脱いで紐にして投げ入れても、いつも間に合わない。
防御結界を張ろうとすると、更に波はそれさえも吸収し、サウラごと飲み込み引き摺り込んでいく。
うなされてはカリナに起こされ、グッショリと汗で汚れた身体を拭いてから眠っては、また悪夢を見る。
何故、こんな夢を見るのか、意識がハッキリして来たサウラには良く分かっている。
体がすこぶる弱っているのは限界以上の魔力を出し切った為。
悪夢を見るのは結界石の間でのルーシウスの惨状から、魔力への信頼も誇りも、感謝も何もかもを失ってしまって嫌悪感しか持てないからだ。
こんな事誰にも言える訳が無いし、この状態でルーシウスの隣になど居られるはずがない。
心から生きていてくれて良かったと思う反面、罪悪感に支配されてルーシウスに合わせる顔などない。
何度目かのカリナの訪室時に、王の体調に問題ない事、サウラの事を気に掛けていると伝えられても、どうしても起き上がれる気がしなかった。
すっかりと部屋に引き篭もってしまっているサウラ。
数日後には、結界補強式典と、結界守護兵達の凱旋祝典が開かれる。
「就きましては姫様にも出席願いたいと、王から衣装を賜っております。」
ソファーに座ってボンヤリ過ごしているサウラにカリナが優しく話しかける。
サウラの様子が何処かおかしい事に気がつき始めている周囲の者達もサウラに無理やり問いただそうとはしなかった。
休ませてやれとの王命でもあるが、臆する事なく身分ある者達とも会話を楽しむ様子があったサウラが、今は人との触れ合いに確実に一線を引いている。
むしろ、人を拒絶し、寄せ付けない様な雰囲気にまで変わってしまっているのだ。
何かあったとは推察できるが、無理やりに踏み込める雰囲気でもなかった。
カリナやキリシーは態度を変えず、サウラに話しかける。誰か側にいる事や話を聞く事には拒否はない様なのである。時折、笑顔を見せてはくれるが、何だか泣きそうな笑顔で、見ている方は何も聞けなくなってしまうのだ。
少しでも関心を持ってもらおうと、王から送られてきたドレスを掛け、広げてみもした。
サウラが手に取って眺めている分位には、気に入ってもらえたのではないだろうか。
王に逐一サウラの様子は知らされる。
行ってくる、と別れたあの後からまともに顔も合わせていないサウラは、王との謁見を拒んでいる。
最後に別れた寝室では特に異常は無かったと聞き及んでいるのだが。
しかし、顔が見たいと思ったなら、ルーシウスは誰に憚れることもなくサウラの部屋に入る権限を持っているし、寝静まった後にでも見に行くことは出来るのだ。
このままだと式典の出席も危ぶまれたが、ルーシウスはサウラの気持ちを尊重する様に申し付けた。
以前と違ったサウラの様子は、サウラ自身の中の何某かの変化なのだろう。サウラが答えを見つけなければ、解決は得られまい。
ルーシウスは強引に手に入れる事を良しとはしない男なのである。待てる時間は幾らでもある。サウラの魔力を見ても、この言葉の意味に間違いはないだろう。
ならば、今は待つ時だ。サウラの身に危険がない限り、十分にサウラの意思を尊重する準備も受け入れる覚悟も出来ている。
なんとも寛大な王ではないか、自身の決断にルーシウスは甚く満足した。
解決の糸口を探りつつもサウラの意思を尊重する、と王城にも通達を送る。城に帰ってからも対応を変えぬ様にする為だが、これにシエラが反応した。
どうやら何か心当たりがあるそうな。こればかりはシエラの経験には誰も足元にも及ばないだろう。年の功とはありがたいではないか。
内心ほっと心から溜息を付く。サウラの意思を尊重すると言っても、出来れば愛する者の苦しむ姿は、どんな時でも見ていたくはないものだからだ。
ここはどこ?
考えるけれど答えはない。目も開けられず、ただ眠り続ける。
限界まで魔力を使ったサウラが王の寝室から運ばれて来てより、ベッドの住人となっている。
回復魔法を掛けられていたルーシウスとは違い、自然回復を待たねばならないサウラは、体力の回復もルーシウスよりも遅い。
目が覚めてからもボヤッとしていて頭は働いていない。促されるままに入浴し、うつらうつらしながら食事をし、回復の為にまた深く眠る。
何度か目の目覚めで、だんだんと頭がハッキリとしてきた様に思う。
それと同時に、悪夢にも苛まされる。
追って来る大きな波。逃げ惑う者を助けながら自らも逃げるサウラ。
溺れている人を助けたいと思っても、いつもいつも後一歩の所で全て波に攫われてしまう。
手を伸ばしても、泳いでも、服を脱いで紐にして投げ入れても、いつも間に合わない。
防御結界を張ろうとすると、更に波はそれさえも吸収し、サウラごと飲み込み引き摺り込んでいく。
うなされてはカリナに起こされ、グッショリと汗で汚れた身体を拭いてから眠っては、また悪夢を見る。
何故、こんな夢を見るのか、意識がハッキリして来たサウラには良く分かっている。
体がすこぶる弱っているのは限界以上の魔力を出し切った為。
悪夢を見るのは結界石の間でのルーシウスの惨状から、魔力への信頼も誇りも、感謝も何もかもを失ってしまって嫌悪感しか持てないからだ。
こんな事誰にも言える訳が無いし、この状態でルーシウスの隣になど居られるはずがない。
心から生きていてくれて良かったと思う反面、罪悪感に支配されてルーシウスに合わせる顔などない。
何度目かのカリナの訪室時に、王の体調に問題ない事、サウラの事を気に掛けていると伝えられても、どうしても起き上がれる気がしなかった。
すっかりと部屋に引き篭もってしまっているサウラ。
数日後には、結界補強式典と、結界守護兵達の凱旋祝典が開かれる。
「就きましては姫様にも出席願いたいと、王から衣装を賜っております。」
ソファーに座ってボンヤリ過ごしているサウラにカリナが優しく話しかける。
サウラの様子が何処かおかしい事に気がつき始めている周囲の者達もサウラに無理やり問いただそうとはしなかった。
休ませてやれとの王命でもあるが、臆する事なく身分ある者達とも会話を楽しむ様子があったサウラが、今は人との触れ合いに確実に一線を引いている。
むしろ、人を拒絶し、寄せ付けない様な雰囲気にまで変わってしまっているのだ。
何かあったとは推察できるが、無理やりに踏み込める雰囲気でもなかった。
カリナやキリシーは態度を変えず、サウラに話しかける。誰か側にいる事や話を聞く事には拒否はない様なのである。時折、笑顔を見せてはくれるが、何だか泣きそうな笑顔で、見ている方は何も聞けなくなってしまうのだ。
少しでも関心を持ってもらおうと、王から送られてきたドレスを掛け、広げてみもした。
サウラが手に取って眺めている分位には、気に入ってもらえたのではないだろうか。
王に逐一サウラの様子は知らされる。
行ってくる、と別れたあの後からまともに顔も合わせていないサウラは、王との謁見を拒んでいる。
最後に別れた寝室では特に異常は無かったと聞き及んでいるのだが。
しかし、顔が見たいと思ったなら、ルーシウスは誰に憚れることもなくサウラの部屋に入る権限を持っているし、寝静まった後にでも見に行くことは出来るのだ。
このままだと式典の出席も危ぶまれたが、ルーシウスはサウラの気持ちを尊重する様に申し付けた。
以前と違ったサウラの様子は、サウラ自身の中の何某かの変化なのだろう。サウラが答えを見つけなければ、解決は得られまい。
ルーシウスは強引に手に入れる事を良しとはしない男なのである。待てる時間は幾らでもある。サウラの魔力を見ても、この言葉の意味に間違いはないだろう。
ならば、今は待つ時だ。サウラの身に危険がない限り、十分にサウラの意思を尊重する準備も受け入れる覚悟も出来ている。
なんとも寛大な王ではないか、自身の決断にルーシウスは甚く満足した。
解決の糸口を探りつつもサウラの意思を尊重する、と王城にも通達を送る。城に帰ってからも対応を変えぬ様にする為だが、これにシエラが反応した。
どうやら何か心当たりがあるそうな。こればかりはシエラの経験には誰も足元にも及ばないだろう。年の功とはありがたいではないか。
内心ほっと心から溜息を付く。サウラの意思を尊重すると言っても、出来れば愛する者の苦しむ姿は、どんな時でも見ていたくはないものだからだ。
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