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63 カザンシャル到着
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銀髪に銀の瞳。長く滑らかな髪は緩く纏められて背中に流されている。
白いローブの下はノースリーブのシンプルなロングドレス。なんだか遠目からでも全身から光を発している様に見えるから不思議だ。目は伏せがち?余り人と目を合わせない様にしている所も何故だか神秘的に感じる…
カザンシャル第一皇女サザーニャを初めて見た時のサウラの感想だ。余りの人間離れした様な姿に一瞬どこにいるかも分からくなった。
サウスバーゲンから馬車で7日程の旅程でカザンシャル王国へと到着した一行は王城応接室へ通され、国王夫妻、王太子、第一皇女に謁見した。
しばし、サザーニャの美しさにぼうっとしてしまうサウラだが、エスコートしてくれているルーシウスに手を引かれ側に引き寄せられれば意識はルーシウスへと向かう。
ルーシウスも流石に一国の王、普段の自室では全くと言って良いほど無頓着に見える髪型も本日は侍女達の技が光る。礼服を着用するとその堂々たる居住まいから他国の王に見劣りはしない。
カザンシャル王国国王は金髪に紫瞳、柔らかな優しそうな笑顔が印象的だ。王妃は銀髪に銀の瞳、サザーニャとそっくりの美しさで年齢を感じさせない程若々しさがある。皇太子であるボウシュ皇子は銀の髪に紫の瞳、笑顔が国王によく似て優しそうな方だ。
「遠路遥々お越し頂き感謝する。ルーシウス殿、健やかなお姿に大変安堵した。サウスバーゲン王国は安泰ですな。」
「久しゅうございます、リンドル殿。この喜ばしい日に参列出来る事をセーラン共々心待ちにしておりました。貴殿はセーランの義父となられるお方。どうかボウシュ殿も含め敬称は省いて頂きたい。」
「心遣い感謝する。では家族の親愛を込めて、我が家へ嫁がれる方をお名前でお呼びしても?」
カザンシャル国王はゆっくりとセーランを見つめる。
瞳は変わらず優しいままだ。
対しセーランも朗らかな笑顔をカザンシャル国王に向ける。
「お初にお目もじ仕ります、カザンシャル国王陛下。セーラン・モーラス・サウスバーゲンにございます。どうぞセーランとお呼びくださいませ。私もお義父様とお呼び致します。
ボウシュ皇太子殿下、お久しぶりに御座います。この度はボウシュ皇太子殿下の御生誕祭を共に迎えられまして嬉しい限りです。そして、いつもお手紙をありがとうございます。楽しみにして読ませていただいておりますわ。」
セーランは向日葵色に金茶色を合わせたドレープのゆったりとしたドレスを摘まみ綺麗な礼をとる。
流石は産まれながらの王族で、サウラの付け焼き刃のマナーとは雲泥の差の様に思われた。はつらつとしている性格なので挨拶も淀みない。
サウラと初めて会った時も持ち前の性格の明るさで直ぐに打ち解けてしまって、サウラの事をお義姉様と呼んでいるのだ。
「サウスバーゲン国王陛下お久しぶりにございます。我が国でお会いできる等夢の様です。御快癒されたご様子に心よりお祝い申し上げます。」
「ボウシュ殿も久しいな。息災であられたご様子で何よりだ。この度はお祝い申し上げる。貴方の義兄になるのだ敬称は省いてほしい。」
「ありがとうございます、ルーシウス様。セーラン様がお疲れでは有りませんでしたら王宮の庭園へお誘いしたいのですが宜しいですか?」
ボウシュはセーランの前に進み出て、ルーシウスに赦しをこう。婚約者と言えどセーランは成人前の子供だ。保護者の許可がいる。
「どうする?セーラン?」
「はい。疲れはありません。是非拝見させて下さいませ。宜しければお義姉様も一緒にいかがですか?」
無邪気なセーランの誘いに、何と答えようかサウラは迷う。挨拶もしていない内に退室して良いものだろうか?
「いや、サウラは私の側だ。ボウシュ殿と2人で行っておいで。」
ルーシウスの妹を見る目がとても優しい。不幸が多いせいか、弟妹達にはとても優しい兄上である。
「ありがとうございます。では、参りましょうか?今の時期しか見ることの出来ない珍しい花が咲いていますので。その後お茶をご一緒しても?」
「まぁ、楽しみですわ。カザンシャルの王城の庭園はそれは見事だとか。楽しみにしていましたの。」
「では、御前を失礼致します。」
セーランは差し出されたボウシュの手を取りエスコートされながらにこやかに退出して行った。直に会ったのは数度きりだろうに打ち解けている感じが微笑ましい。
「ルーシウス殿、妻のクイローサと第1皇女のサザーニャだ。」
リンドルの紹介にクイローサ、サザーニャは礼を取る。カザンシャルでは女性は家族の前以外では辺り目立った発言や行いをする事を良しとされていない。初対面であるならば言葉交わす事なく礼のみの挨拶で済ませる事も多い。
「我が国の風潮である為、直の挨拶は許されよ。貴殿が娘の伴侶に成るならば別であるがね。」
にこやかに話されるリンドルの言葉は本気なのか、冗談なのか。その変わらぬ表情からは全く読み取ること等できない。
「国に入ればその国の慣習に従うまで。貴国のあいさつを受け入れましょう。では此方も紹介する。我が番のサウラです。」
サウラも教えられていた慣習に倣い礼のみの挨拶とする。
「其方が番殿か。サウスバーゲン王家の血筋に良く似ておられるな。美しい方ではないか。」
面と向かって美しい等言われた事の無いサウラ。非常に美しい方が前に居られるのですが?恥ずかしくて頬が染まるのを感じるが、逃げること叶わず。礼を取って答えるしか無い。
「左様。私にとっては世界一なのです。少々体調を壊していて披露目が間に合わなかったのが残念で仕方ないが、本日紹介できただけでも良しとしなければいけないでしょうな。」
礼を取り姿勢を戻したサウラに手を差し伸べ、また側に引き寄せる。瑠璃紺のドレープがしっかりと入ったドレスには光沢のある常盤色の生地が使われている。引き寄せられると、常盤色が煌き揺れる。
ルーシウスの目はサウラにのみ注がれていた。
まるで誰もこの部屋にはいないかの様に。
白いローブの下はノースリーブのシンプルなロングドレス。なんだか遠目からでも全身から光を発している様に見えるから不思議だ。目は伏せがち?余り人と目を合わせない様にしている所も何故だか神秘的に感じる…
カザンシャル第一皇女サザーニャを初めて見た時のサウラの感想だ。余りの人間離れした様な姿に一瞬どこにいるかも分からくなった。
サウスバーゲンから馬車で7日程の旅程でカザンシャル王国へと到着した一行は王城応接室へ通され、国王夫妻、王太子、第一皇女に謁見した。
しばし、サザーニャの美しさにぼうっとしてしまうサウラだが、エスコートしてくれているルーシウスに手を引かれ側に引き寄せられれば意識はルーシウスへと向かう。
ルーシウスも流石に一国の王、普段の自室では全くと言って良いほど無頓着に見える髪型も本日は侍女達の技が光る。礼服を着用するとその堂々たる居住まいから他国の王に見劣りはしない。
カザンシャル王国国王は金髪に紫瞳、柔らかな優しそうな笑顔が印象的だ。王妃は銀髪に銀の瞳、サザーニャとそっくりの美しさで年齢を感じさせない程若々しさがある。皇太子であるボウシュ皇子は銀の髪に紫の瞳、笑顔が国王によく似て優しそうな方だ。
「遠路遥々お越し頂き感謝する。ルーシウス殿、健やかなお姿に大変安堵した。サウスバーゲン王国は安泰ですな。」
「久しゅうございます、リンドル殿。この喜ばしい日に参列出来る事をセーラン共々心待ちにしておりました。貴殿はセーランの義父となられるお方。どうかボウシュ殿も含め敬称は省いて頂きたい。」
「心遣い感謝する。では家族の親愛を込めて、我が家へ嫁がれる方をお名前でお呼びしても?」
カザンシャル国王はゆっくりとセーランを見つめる。
瞳は変わらず優しいままだ。
対しセーランも朗らかな笑顔をカザンシャル国王に向ける。
「お初にお目もじ仕ります、カザンシャル国王陛下。セーラン・モーラス・サウスバーゲンにございます。どうぞセーランとお呼びくださいませ。私もお義父様とお呼び致します。
ボウシュ皇太子殿下、お久しぶりに御座います。この度はボウシュ皇太子殿下の御生誕祭を共に迎えられまして嬉しい限りです。そして、いつもお手紙をありがとうございます。楽しみにして読ませていただいておりますわ。」
セーランは向日葵色に金茶色を合わせたドレープのゆったりとしたドレスを摘まみ綺麗な礼をとる。
流石は産まれながらの王族で、サウラの付け焼き刃のマナーとは雲泥の差の様に思われた。はつらつとしている性格なので挨拶も淀みない。
サウラと初めて会った時も持ち前の性格の明るさで直ぐに打ち解けてしまって、サウラの事をお義姉様と呼んでいるのだ。
「サウスバーゲン国王陛下お久しぶりにございます。我が国でお会いできる等夢の様です。御快癒されたご様子に心よりお祝い申し上げます。」
「ボウシュ殿も久しいな。息災であられたご様子で何よりだ。この度はお祝い申し上げる。貴方の義兄になるのだ敬称は省いてほしい。」
「ありがとうございます、ルーシウス様。セーラン様がお疲れでは有りませんでしたら王宮の庭園へお誘いしたいのですが宜しいですか?」
ボウシュはセーランの前に進み出て、ルーシウスに赦しをこう。婚約者と言えどセーランは成人前の子供だ。保護者の許可がいる。
「どうする?セーラン?」
「はい。疲れはありません。是非拝見させて下さいませ。宜しければお義姉様も一緒にいかがですか?」
無邪気なセーランの誘いに、何と答えようかサウラは迷う。挨拶もしていない内に退室して良いものだろうか?
「いや、サウラは私の側だ。ボウシュ殿と2人で行っておいで。」
ルーシウスの妹を見る目がとても優しい。不幸が多いせいか、弟妹達にはとても優しい兄上である。
「ありがとうございます。では、参りましょうか?今の時期しか見ることの出来ない珍しい花が咲いていますので。その後お茶をご一緒しても?」
「まぁ、楽しみですわ。カザンシャルの王城の庭園はそれは見事だとか。楽しみにしていましたの。」
「では、御前を失礼致します。」
セーランは差し出されたボウシュの手を取りエスコートされながらにこやかに退出して行った。直に会ったのは数度きりだろうに打ち解けている感じが微笑ましい。
「ルーシウス殿、妻のクイローサと第1皇女のサザーニャだ。」
リンドルの紹介にクイローサ、サザーニャは礼を取る。カザンシャルでは女性は家族の前以外では辺り目立った発言や行いをする事を良しとされていない。初対面であるならば言葉交わす事なく礼のみの挨拶で済ませる事も多い。
「我が国の風潮である為、直の挨拶は許されよ。貴殿が娘の伴侶に成るならば別であるがね。」
にこやかに話されるリンドルの言葉は本気なのか、冗談なのか。その変わらぬ表情からは全く読み取ること等できない。
「国に入ればその国の慣習に従うまで。貴国のあいさつを受け入れましょう。では此方も紹介する。我が番のサウラです。」
サウラも教えられていた慣習に倣い礼のみの挨拶とする。
「其方が番殿か。サウスバーゲン王家の血筋に良く似ておられるな。美しい方ではないか。」
面と向かって美しい等言われた事の無いサウラ。非常に美しい方が前に居られるのですが?恥ずかしくて頬が染まるのを感じるが、逃げること叶わず。礼を取って答えるしか無い。
「左様。私にとっては世界一なのです。少々体調を壊していて披露目が間に合わなかったのが残念で仕方ないが、本日紹介できただけでも良しとしなければいけないでしょうな。」
礼を取り姿勢を戻したサウラに手を差し伸べ、また側に引き寄せる。瑠璃紺のドレープがしっかりと入ったドレスには光沢のある常盤色の生地が使われている。引き寄せられると、常盤色が煌き揺れる。
ルーシウスの目はサウラにのみ注がれていた。
まるで誰もこの部屋にはいないかの様に。
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