[完結]その手中に収めるものは

小葉石

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127 山頂

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 見れば見るほど、見事な岩山に、岩に岩。

「本当、なあんにもねぇな…」

 やや景色に飽きてきた様なバートの呆れ声。


「やっぱり…何もいない……」

 気の抜けたバートの声に反して、ソウは真剣そのもの。眉間に眉を寄せて空を見ては呟いている。

「あ?何がいないって?」

 ガイが不思議そうに空を眺める。

「大型の猛禽類。空の上は彼らの縄張りだ。一羽もいない…」

 空の王とも呼べる猛禽類が山など無いし、聞いたことない。

 気を抜いていたバートの表情も引き締まる。

「何が考えられる?」

「そこで生活できないって事だから…エサがないか、他の物の縄張りか何かだと思うんだけど。」

 大型の猛禽類を追い払えるほどの動物なんて聞いた事ないんだが…


「それに泉なんて見当らねぇな…」


 ソウ達が登って来た所は神殿よりも上の頂上付近に当たるところ。神殿を見下す位置にいるわけだが、何処を見ても泉らしきものは見当たらないし上は岩場、下は木々が生い茂り、探りながら登って来ても湧水らしき物も無かった。

 だとすると、この地下?若しくは泉自体神殿に覆われていることになる。

 何方としても一度中に入らないことには確認が取れそうもない。

 
「洞穴を探すか?」

「ガイ、近くにいる組に土魔法を使うやつ来てるか?」

「探ってもらうか…」

 ゴアラの地で大々的に魔力を使うのはかなり危険なのだが…神殿に侵入するより前に下調べはやはり必要だ。


「了解、連絡を取る。」








 ズッッズズッ……ズズッ…ズッ 

 何かが地を這う様な音がする。それに伴い、小枝?

 パキッビキッ……バキキッ

 何かを折りつつ動く物の気配。


「ん?何の音だ?」

「枝?何だ獣か、魔物か?」

 周囲を警戒するネイバーとナダンにも、音の主の姿が見えず、土中の中の気配を探っているマンタルも辺りを警戒して、探索を一時中断しようとしている。


「マンタル何か分かったか?早めにここを離れた方が良さそうだ…」
 ネイバーの声にも緊張の色が見える。

 バート、ガイ、ソウ組からこの地には注意を払う様に言われている。また地中に泉がないか、洞穴など入れる場所はあるか探る様に連絡が来たばかりで今早速実行し出したらこの変化…

 何がいるか分からない恐怖というものは、熟練者にも等しく襲ってくるものだ。
 

「地下に大きな空洞がある…洞窟だとは思うが…肝心な泉があるかどうかまで見えてこないんだ…」

「は?見えない?結界か?」

 音が近づくにつれ、緊張が高まる。

「違う!あの時みたいに、魔力が掻き消えてこれ以上は手が出せない!」

「またか!魔力が消えるってなんでなんだ!」


「やばい!!来る!!」


 バキャアァァ!!


 すぐ下にある木を薙ぎ倒し、白色の鱗を光らせる巨体が眼前に迫る。


「うわぁ!」

「なん…!!」

「くっ…!」

 言葉を交わす間さえ無く、迫る巨体を交わすのに皆精一杯となっている。

 どうにか、弾き飛ばされずに態勢を整えて見てみれば、立ち上がった大人の男を優に3人は一飲みに出来そうな程の大蛇だ…
 真っ赤に光る瞳は4つ、今取り逃した獲物にイラつきを覚えているのか盛んに大人の身長以上ある舌を口から出し入れしている。


「魔物か………!」

 全員得物を手に構えて、大蛇と対峙するが、誰しもこれはまずいと後ずさる。

 魔物は、容姿の変化や運動能力が通常の状態よりも格段に上がっている事の方が多い。これだけの巨体と素早さを持っている魔物の相手を3人でだけとは荷が重い。


「バート達は何処にいる?」

「多分!神殿の上あたり!」

 必死になって繰り出される蛇の攻撃から何とか逃れる。


「バート達と合流する!このままじゃ勝てん!」


「「了解!!」」









「ガイ、連絡はあったか?」

「いや、ネイバー達がこの山にいるはずなんだが…」

 先程の通信のみでその後一切の連絡が


「煙が上がってる!!」

 目視できる距離に森林から岩場の方に向けて、何かがのめり込んで行くように見えた。

「狼煙か?」
 
 ソウの叫びにバート、ガイも其方を確認する。
土煙が目視されたが、狼煙ではない。
岩肌からもうもうと土煙らしきもや立ち込めている。  

「魔物?」

「待て!デカすぎる!」

 煙が上がった方向に走って行こうとしたソウを、バートは止める。


「バート!誰か襲われてる!!」

「バカ!!お前一人行っても勝てる相手じゃ無いだろうが!!ガイ!!」

 バートの呼びかけよりも早くに、一瞬見えた巨体にガイが風の矢を数本放つ。


「やったか!?」

 バート、ソウが目を凝らすが煙が邪魔で視界が悪い。


「まさか、あれくらいじゃあの巨体はびくともしないだろうぜ。」

「どうするかな?」

 困った様な口調だが、バートは喜んでもいる様で。

「抗戦してる相手は?」
 山育ちのソウの目にも見えない。


「待て!!こっちに来るぞ!!」

 
 砂煙の中から、巨体が顕になったかと思えば、頭部らしきをこちらに向けて動き出している。


「でかい!蛇か?」

 まだ遠目でも白く太く長い体の大部分が見て取れた。
 

「なんで?……あんなに?」

 山にはヘビはいくらでもいる。その中で魔物化した物も見た事あるが、これは明らかに異常だ。

 

「あの人、一体何をやっているの…?」



 一気に臨戦態勢に入った隊員達の唐突に声が降ってきた。


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