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しおりを挟む「リンカ~~~聞いたわよ~~もう新しい旦那様ができるの~~?」
「え?何のこと?」
片づけの合間に顔を見にきたと言うラーナから身に覚えのない事を聞かれて、キョトン、と首を傾げる。
何でも友人達の間でもまことしやかに流れている噂らしく、もう何人もの人が知っているとか何とか…
「そうよね~リンカがねぇ……無理よね…?」
「ん、無理よ。」
「……」
「家を買うのに忙しいんだもの。どうしてそんな噂が出たのか分からないけど、今は旦那様は出来ないわよ?」
「……知ってるわ…」
ラーナったら、本当に綺麗な瞳をしている。紫水晶みたいな瞳がキラキラしてて、優しそうな笑顔と中身とのギャップがまた良いのよね~素敵な友達だわ。
少し、笑顔が寂しそうで残念だけど。
「土地の購入は無事に終わりそう?」
「それが、まだなのよ~~~後は、何処まで買うかが問題になるんだけど、この際だからう~~~んと広くしちゃおうかな、とか、もうちょっと立派にしちゃおうかな、とか考えだすと煮詰まってきちゃって…難しいわね…」
「……そうね、本当……難しいわ……」
私が好きなラーナの笑顔がクシャッと崩れる。泣き笑いみたいになって見つめ合いながら私達は沢山笑った。
ラーナ、今度はソフィアも連れて来てくれるって、そしたらみんなでお墓参りにも行こうって。どんなお花が良いかな?やっぱり渋めのかしら?ね、ローニス…
******
約束の日に、約束の場所へと行くと、もう既に彼が待っていてくれて、遅れた事に申し訳なく思ってつい小走りになってしまう。
今日は、決戦(意思決定)の日よ!もう一度一緒に行って、話を聞いて、細かい所も洩らさぬように彼の言葉を心に留めなければ!
先に来ていた彼は、待たせてしまったにもかかわらず丁寧に迎えてくれて、あらまぁお花まで?!
何から何まで気を使わせてしまったようで申し訳なく思いながら私も急いで挨拶をする。
「お待たせしました!随分と待たせましたかしら?」
「いえいえ、女性を待たせる訳にはいきませんからね、レディ?」
もう、私は貴族では無いのに彼はレディと呼んで敬ってくれるのよね…何となく気恥ずかしい…
ゆったりとした遊歩道をゆっくりと歩きながら語る話の内容には不快なものは一つもなくて、彼がとても紳士だとよく分かる。
うん、来て良かった!
私の心は決まったわ!!
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