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Third Contact すれ違いの純情
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翔子の意識からはすっかり自分の待ち合わせ相手のことは抜けてしまっていた。
(あの女、一体浩司くんとどーゆー関係なのよぉ! 私の浩司くんなのにぃ。で、ホンジョウって誰のこと?)
会話を聴きながらおしぼりをギュウッと握り締めていると、トントンと肩を叩かれた。
(誰!?)
だるそうに顔を上げると、何時にも増してブローしまくっている髪に念入りにメイクしている唯が軽く手を上げた。
ここまで接近しているのに全く気付いていなかったらしい。
「ゴメン、しょ」
翔子、と言い掛けた口を手で塞がれ、唯はうぐ、と呻いた。
そのまま少し前に屈み不審気に待ち合わせ相手を見ると、唇に人差し指を当てて「しぃー」と言われ、訳が解らないままに頷く。手が離れたので、唯は静かに翔子に対面して腰を下ろした。
「何? どったの?」
唯はテーブルに体重を載せ、翔子に顔を近づけて小声で問う。
丁度そこにやって来たウェイトレスが、水の入ったグラスとおしぼりを置き「ご注文は?」と声を掛けてきた。
「レーコー」と小声でオーダーし、ウェイトレスが去ってからもう一度翔子に確認すると、珍しく控え目に唯の斜め後ろ方向を指差した。
不思議そうにしながらも、唯は取り敢えず指された方を見てから「梁塁のモンじゃねーな」と首を傾げた。
「バレちゃまじーのよ」
「何で?」
「ツケるから」
小声で応酬したあと「えーーーーっ!?」と唯が叫びかけ、再び口を塞がれる羽目になってしまった。
「しぃーっ」
眼光鋭く翔子に窘められ、ぶんぶんと首を縦に振り、ようやく解放してもらう。
「じゃ、今日のショッピングはぁ?」
「中止!!」
キッパリ言う翔子に唯がブーイング。
「るっさい!! 遅刻して来た分際で何言ってんだよっ。取り敢えず今日はキャンセルな!!」
器用に小声で脅しつけて来る友人に、唯は「はいはい……」と頷くしかないのだった。
(あの女、一体浩司くんとどーゆー関係なのよぉ! 私の浩司くんなのにぃ。で、ホンジョウって誰のこと?)
会話を聴きながらおしぼりをギュウッと握り締めていると、トントンと肩を叩かれた。
(誰!?)
だるそうに顔を上げると、何時にも増してブローしまくっている髪に念入りにメイクしている唯が軽く手を上げた。
ここまで接近しているのに全く気付いていなかったらしい。
「ゴメン、しょ」
翔子、と言い掛けた口を手で塞がれ、唯はうぐ、と呻いた。
そのまま少し前に屈み不審気に待ち合わせ相手を見ると、唇に人差し指を当てて「しぃー」と言われ、訳が解らないままに頷く。手が離れたので、唯は静かに翔子に対面して腰を下ろした。
「何? どったの?」
唯はテーブルに体重を載せ、翔子に顔を近づけて小声で問う。
丁度そこにやって来たウェイトレスが、水の入ったグラスとおしぼりを置き「ご注文は?」と声を掛けてきた。
「レーコー」と小声でオーダーし、ウェイトレスが去ってからもう一度翔子に確認すると、珍しく控え目に唯の斜め後ろ方向を指差した。
不思議そうにしながらも、唯は取り敢えず指された方を見てから「梁塁のモンじゃねーな」と首を傾げた。
「バレちゃまじーのよ」
「何で?」
「ツケるから」
小声で応酬したあと「えーーーーっ!?」と唯が叫びかけ、再び口を塞がれる羽目になってしまった。
「しぃーっ」
眼光鋭く翔子に窘められ、ぶんぶんと首を縦に振り、ようやく解放してもらう。
「じゃ、今日のショッピングはぁ?」
「中止!!」
キッパリ言う翔子に唯がブーイング。
「るっさい!! 遅刻して来た分際で何言ってんだよっ。取り敢えず今日はキャンセルな!!」
器用に小声で脅しつけて来る友人に、唯は「はいはい……」と頷くしかないのだった。
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