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異世界転生ー私は騎士になりますー
37 そして学園生活へ
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私は、屋敷に戻ってからゼクトルを招いた。
「お招き頂きありがとうございます。ヴィラント侯爵令嬢」
騎士団長の家であるウォルコット家は伯爵家で、私よりも身分が下になるので、親しく無ければ名前で呼んではいけない。
それは分かっているけれど、彼の慇懃な態度には違和感しか無い。
「クロウツィアで良い。取り敢えず座って」
カーラが淹れてくれたお茶を薦めながら、呼び出したものの何と切り出すべきか迷って黙ってしまう。
まず彼に対してどういう対応を取るべきなのかが難しい、一時は殺意を向けられた相手だ。今は私の事をどう思ってるか分からないのに親しげに話すのも憚られるし。
「……セイムリーア伯爵や、アグロシア男爵とは親しかったの?」
先の事件についてはまだ調査中だけれど、セイムリーア伯爵達首謀者達と、カルスヴァール子爵の関連性は見つけられなかったことだけしか分かっていない。彼の連れていた人間たちはカルスヴァール子爵に金で雇われただけで何も知らなかった。
調査と捜索は続いているが、子爵は何か彼等とは別の目的の元、事件に便乗してレイチェルを連れ去ろうとしたのではないかと言われている。
「然程は。相手は私を屋敷の案内役件多少腕の立つ捨て駒としか思っていなかったので。向こうの事情も明かされませんでしたし」
それでも伯爵達の取り調べには立ち合い、真実の追求に協力するつもりだと続けた。
まるで薄い膜の向こう側にいるようにゼクトルの本心が見えない。
私は更に踏み込むことにした。
「今も私を殺したい?」
ゼクトルの手がピクリと反応し、深海のような瞳が鋭く私を貫いた。
私はそれを真っ直ぐに受け止めた。
「禍根があるなら私はいつでも受け止めるからいつでも挑んで来れば良い。あの戦いを私の勝ちだとは思っていないから」
短い付き合いだが、彼は闇討ちなど出来ない真っ直ぐな質をしていることは分かっているつもりだ。
ゼクトルが硬い顔のまま立ち上がった。
「二言は無いな」
言葉少なに告げられた言葉に私は迷い無く頷く。
訓練場で決闘形式を取り戦った。
お互い武器は自由。彼はずっと腰に下げていた剣を使用し、私はマナスールの竹刀を使った。
結果は引き分け。
私は傷だらけで疲労困憊だし、ゼクトルは打撲だらけな上に、右脚が動かない。
途中私が傷の痛みと疲労から押されだした辺りで勝負をかけ、ゼクトルの右脛に渾身の一撃を与えた結果、ヒビが入ってしまったようなのだ。
その時攻撃が決まったことで僅かに油断してしまった結果彼のカウンターが脇腹にヒットしたので私も悶絶した。
そこでこれ以上はゼクトルの騎士団での務めに支障が出てウォルコット伯爵に迷惑が掛かるからとカーラの仲裁が入った。
「いてて、流石だな」
「貴方こそ」
私はマノン風呂で傷も一緒に洗い流した。殆ど擦り傷だっのですぐ治った。脇腹だけはまだ痛みを訴えているけれど、そのうち治る筈。今は脇腹の痛みと疲労だけを抱えて椅子に背を預けている。
ゼクトルの方も他は大体回復したようだけれど、右脚は治らなかった。今はバケツにマノン風呂の湯を入れたものに右脚をつっこんで腰掛けている。
お互い今日一日は絶対安静を言い渡された。
戦ううちにゼクトルからは慇懃な態度が取れていたので、最初よりもお互いリラックスして、マノンの薬湯茶を飲んで一息つく。
カチャンとカップを静かに置いた辺りでゼクトルが切り出した。
「俺は、ウォルコット伯爵家を継ぐ事になった」
「え」
確かウォルコット伯爵家には嫡男がいたような、というのが顔に出ていたのだろう。ゼクトルが続きを話した。
「その嫡男は文官志望で、騎士の輩出を生業としている家では異端児扱いで、妹に婿取りさせて継がせたいとずっと思っていたらしい。妹達の方は嫁ぎたい相手がいたりして思う通りにはいかなかったらしいが」
嫡男は既に文官として宰相ガイルさんの補佐としての地位を得ているようで武官の代表格であるウォルコット伯爵家当主という立場は不要だと思っていた所に、ゼクトルが現れて渡りに舟だと、ゼクトルを次期当主に推挙し、その支援を申し出てきたらしい。
「騎士団長さんと話した?」
いくら本人が希望しても、父としては実の息子に継がせたいものではないだろうか。
「父上は、承諾したよ……。元々、息子の苦悩を側で見て胸を痛めていたらしいし」
「父上って呼んでるんだね」
「! そう呼べっていわれたから」
私の指摘にゼクトルは途端に慌てだした。その顔は真っ赤で、先程の慇懃にクールを気取っていた面影はカケラも残っていない。
騎士団長のユードさんは、気の良いおっさんといった感じの気さくな方だった。
彼はゼクトルに家族をくれたようだ。
「俺はもう、前を向くことにした。だから……」
ゼクトルは急に立ち上がって、右脚の痛みに顔をしかめつつなんとか真っ直ぐ立った。
右脚のズボンだけを膝まで捲り上げて足先をバケツに突っ込んだ間抜けな姿で頭を下げられて固まってしまう。
「申し訳ございませんでした」
どうしよう、笑いそう。
分かっている、彼は未来に進む為に、ヴィラント家に、私に抱いていた恨み辛みを捨てる覚悟を決めたのだ。
彼は真面目なのだ、笑ってはいけない。そう思えば思うほどおかしくて耐えられない。
突然拍手が響いた。
我が家にそんなことをする使用人に心当たりが無いので出所を確認すると、まさかのウィルが立っていた。
「報せを受けてゼクトルを迎えに来た。いくら怪我を負っているとはいえ未婚の令嬢の家に長居させるのは良くないからね」
微笑んでいるウィルからは何の感情も見えないけれど、目が笑っていない。何かを怒っているんだろうか?
出迎える為に立ち上がろうとして腹部の痛みによろけたのをさっと近付いたウィルが支えてくれた。
「無理はしなくて良いよ。あの夜君がさり気無くゼクトルの話題を避けていたことは知っている。君は、彼の殺意を赦す気でいるんだね」
私は頷くだけで応えた。ウィルの腕の中は何だか安心してしまって力が抜けるのだ。
さり気無く1人掛けの椅子からゆったりとしたソファに誘導されて、ウィルと並んで座らせられた。余りにさらっと行われた行為に抵抗する気すら起こらなかった。
「ゼクトル、ウォルコット伯爵家から馬車が来ているから帰りなさい。明日は休みを取れるよう通達しておく」
「はっお心遣い感謝致します」
あれ、迎えに来たって言ってなかったっけ?
先に帰しちゃうの?
私が疑問符を飛ばしている間にシュリアが、お帰りの前にこちらで湿布を貼りますねとゼクトルを連れ出してしまい、2人きりにされた。
どうでも良いけど、世の中の婚約者ってこんなに距離が近いものなのかなと疑問に思う。
ゲームでは攻略対象と悪役令嬢の絡みなんて出てなかったしなぁ。
「君がもし、無力な令嬢だったら確実に殺されていた。それでも彼を赦すの?」
ウィルが、肩から流れる私の髪を指に絡めながら話す。
耳元で話さないで下さい、なんかぞわぞわしますとは言えなくてそれとなく顔の向きを変えて逃れる。
「いいえ、きっとそうはならなかったと思います。彼が向けた刃に私が応じたからこうなっただけで、私が無力に震えるだけの娘だったなら彼はやり場の無い怒りをそれでも収めたと思います」
ゲームでのクロウツィアはゼクトルと出会っていたのだろうか。彼もレイチェルもゲームに出ていなかったので分からないが、レイチェルが死ななかった事で、未来が変わったのなら良いと思う。
「ゼクトルのこと、随分分かっているんだね。その話し方は他人行儀で好きじゃないんだけど、どうにかならない?」
「で、でも王子様だし……」
「婚約者なんだから気にしないでよ」
「そ、そうだね」
そんな会話をした記憶を最後に、気付けば私は寝入ってしまっていたようで、夕方頃寝室で目覚めた。ウィルは私を運んで後日まだ来ると告げて帰って行ったという。
翌日脇腹の痛みも回復したので、リハビリ程度に訓練をしようと訓練場に出たら、いつもより大所帯になっていて驚いた。
見覚えの無い集団が混ざっていることに戸惑いつつ中心地を確認すると、なんとウィルがいた。
「今日からここの訓練に参加させて貰う事にしたよ。放っておくと、ちっとも君は会いに来てくれないからね。もちろんヴィラント侯爵の許可は得ている」
「女だからと油断しない方が良いですよ殿下、クロウツィアは手加減が下手なので、ゼクトルのように脚を折られますよ」
「折ってませんよ失礼な! ヒビくらいです。多分」
「あまり弁明になってませんよお嬢様」
ウィルの言葉に、しれっと現れたシェイルが忠告した。
人を暴力女みたいに言うなと思ったけど、手加減が下手なのは否定できないので返答がしどろもどろっぽくなったところをカーラのつっこみが入った。
だって、私はやはり女で、体力でも力でも負けている私は、全力を尽くすしか無いのだ。
チャンスがあれば渾身の一撃を叩き込むのは止めようが無い。
よっぽど実力差があれば別だけど、ゼクトルは強かったし、シェイルは言わずもがな、ウィルは直接戦ったことは無いけれど、パワーファイターでは無い分苦戦しそうだと思っている。そんな彼らに手加減なんてとんでもない。
残りのメンバーは近衛候補生で、ウィルが学園に連れていく一人を選ぶ為に連れてきたそうだ。
護衛といっても同じ学年である事が条件なので全員15歳の筈だが、全くそう見えないくらい老けてる子もいる。
結局私は近衛候補生となったことで乗馬を確実に身に付ける必要が出来たことが分かり、彼らの訓練を横目に入学での間ずっと乗馬練習に費やす羽目になった。
そして、私達の学園生活が始まった。
「お招き頂きありがとうございます。ヴィラント侯爵令嬢」
騎士団長の家であるウォルコット家は伯爵家で、私よりも身分が下になるので、親しく無ければ名前で呼んではいけない。
それは分かっているけれど、彼の慇懃な態度には違和感しか無い。
「クロウツィアで良い。取り敢えず座って」
カーラが淹れてくれたお茶を薦めながら、呼び出したものの何と切り出すべきか迷って黙ってしまう。
まず彼に対してどういう対応を取るべきなのかが難しい、一時は殺意を向けられた相手だ。今は私の事をどう思ってるか分からないのに親しげに話すのも憚られるし。
「……セイムリーア伯爵や、アグロシア男爵とは親しかったの?」
先の事件についてはまだ調査中だけれど、セイムリーア伯爵達首謀者達と、カルスヴァール子爵の関連性は見つけられなかったことだけしか分かっていない。彼の連れていた人間たちはカルスヴァール子爵に金で雇われただけで何も知らなかった。
調査と捜索は続いているが、子爵は何か彼等とは別の目的の元、事件に便乗してレイチェルを連れ去ろうとしたのではないかと言われている。
「然程は。相手は私を屋敷の案内役件多少腕の立つ捨て駒としか思っていなかったので。向こうの事情も明かされませんでしたし」
それでも伯爵達の取り調べには立ち合い、真実の追求に協力するつもりだと続けた。
まるで薄い膜の向こう側にいるようにゼクトルの本心が見えない。
私は更に踏み込むことにした。
「今も私を殺したい?」
ゼクトルの手がピクリと反応し、深海のような瞳が鋭く私を貫いた。
私はそれを真っ直ぐに受け止めた。
「禍根があるなら私はいつでも受け止めるからいつでも挑んで来れば良い。あの戦いを私の勝ちだとは思っていないから」
短い付き合いだが、彼は闇討ちなど出来ない真っ直ぐな質をしていることは分かっているつもりだ。
ゼクトルが硬い顔のまま立ち上がった。
「二言は無いな」
言葉少なに告げられた言葉に私は迷い無く頷く。
訓練場で決闘形式を取り戦った。
お互い武器は自由。彼はずっと腰に下げていた剣を使用し、私はマナスールの竹刀を使った。
結果は引き分け。
私は傷だらけで疲労困憊だし、ゼクトルは打撲だらけな上に、右脚が動かない。
途中私が傷の痛みと疲労から押されだした辺りで勝負をかけ、ゼクトルの右脛に渾身の一撃を与えた結果、ヒビが入ってしまったようなのだ。
その時攻撃が決まったことで僅かに油断してしまった結果彼のカウンターが脇腹にヒットしたので私も悶絶した。
そこでこれ以上はゼクトルの騎士団での務めに支障が出てウォルコット伯爵に迷惑が掛かるからとカーラの仲裁が入った。
「いてて、流石だな」
「貴方こそ」
私はマノン風呂で傷も一緒に洗い流した。殆ど擦り傷だっのですぐ治った。脇腹だけはまだ痛みを訴えているけれど、そのうち治る筈。今は脇腹の痛みと疲労だけを抱えて椅子に背を預けている。
ゼクトルの方も他は大体回復したようだけれど、右脚は治らなかった。今はバケツにマノン風呂の湯を入れたものに右脚をつっこんで腰掛けている。
お互い今日一日は絶対安静を言い渡された。
戦ううちにゼクトルからは慇懃な態度が取れていたので、最初よりもお互いリラックスして、マノンの薬湯茶を飲んで一息つく。
カチャンとカップを静かに置いた辺りでゼクトルが切り出した。
「俺は、ウォルコット伯爵家を継ぐ事になった」
「え」
確かウォルコット伯爵家には嫡男がいたような、というのが顔に出ていたのだろう。ゼクトルが続きを話した。
「その嫡男は文官志望で、騎士の輩出を生業としている家では異端児扱いで、妹に婿取りさせて継がせたいとずっと思っていたらしい。妹達の方は嫁ぎたい相手がいたりして思う通りにはいかなかったらしいが」
嫡男は既に文官として宰相ガイルさんの補佐としての地位を得ているようで武官の代表格であるウォルコット伯爵家当主という立場は不要だと思っていた所に、ゼクトルが現れて渡りに舟だと、ゼクトルを次期当主に推挙し、その支援を申し出てきたらしい。
「騎士団長さんと話した?」
いくら本人が希望しても、父としては実の息子に継がせたいものではないだろうか。
「父上は、承諾したよ……。元々、息子の苦悩を側で見て胸を痛めていたらしいし」
「父上って呼んでるんだね」
「! そう呼べっていわれたから」
私の指摘にゼクトルは途端に慌てだした。その顔は真っ赤で、先程の慇懃にクールを気取っていた面影はカケラも残っていない。
騎士団長のユードさんは、気の良いおっさんといった感じの気さくな方だった。
彼はゼクトルに家族をくれたようだ。
「俺はもう、前を向くことにした。だから……」
ゼクトルは急に立ち上がって、右脚の痛みに顔をしかめつつなんとか真っ直ぐ立った。
右脚のズボンだけを膝まで捲り上げて足先をバケツに突っ込んだ間抜けな姿で頭を下げられて固まってしまう。
「申し訳ございませんでした」
どうしよう、笑いそう。
分かっている、彼は未来に進む為に、ヴィラント家に、私に抱いていた恨み辛みを捨てる覚悟を決めたのだ。
彼は真面目なのだ、笑ってはいけない。そう思えば思うほどおかしくて耐えられない。
突然拍手が響いた。
我が家にそんなことをする使用人に心当たりが無いので出所を確認すると、まさかのウィルが立っていた。
「報せを受けてゼクトルを迎えに来た。いくら怪我を負っているとはいえ未婚の令嬢の家に長居させるのは良くないからね」
微笑んでいるウィルからは何の感情も見えないけれど、目が笑っていない。何かを怒っているんだろうか?
出迎える為に立ち上がろうとして腹部の痛みによろけたのをさっと近付いたウィルが支えてくれた。
「無理はしなくて良いよ。あの夜君がさり気無くゼクトルの話題を避けていたことは知っている。君は、彼の殺意を赦す気でいるんだね」
私は頷くだけで応えた。ウィルの腕の中は何だか安心してしまって力が抜けるのだ。
さり気無く1人掛けの椅子からゆったりとしたソファに誘導されて、ウィルと並んで座らせられた。余りにさらっと行われた行為に抵抗する気すら起こらなかった。
「ゼクトル、ウォルコット伯爵家から馬車が来ているから帰りなさい。明日は休みを取れるよう通達しておく」
「はっお心遣い感謝致します」
あれ、迎えに来たって言ってなかったっけ?
先に帰しちゃうの?
私が疑問符を飛ばしている間にシュリアが、お帰りの前にこちらで湿布を貼りますねとゼクトルを連れ出してしまい、2人きりにされた。
どうでも良いけど、世の中の婚約者ってこんなに距離が近いものなのかなと疑問に思う。
ゲームでは攻略対象と悪役令嬢の絡みなんて出てなかったしなぁ。
「君がもし、無力な令嬢だったら確実に殺されていた。それでも彼を赦すの?」
ウィルが、肩から流れる私の髪を指に絡めながら話す。
耳元で話さないで下さい、なんかぞわぞわしますとは言えなくてそれとなく顔の向きを変えて逃れる。
「いいえ、きっとそうはならなかったと思います。彼が向けた刃に私が応じたからこうなっただけで、私が無力に震えるだけの娘だったなら彼はやり場の無い怒りをそれでも収めたと思います」
ゲームでのクロウツィアはゼクトルと出会っていたのだろうか。彼もレイチェルもゲームに出ていなかったので分からないが、レイチェルが死ななかった事で、未来が変わったのなら良いと思う。
「ゼクトルのこと、随分分かっているんだね。その話し方は他人行儀で好きじゃないんだけど、どうにかならない?」
「で、でも王子様だし……」
「婚約者なんだから気にしないでよ」
「そ、そうだね」
そんな会話をした記憶を最後に、気付けば私は寝入ってしまっていたようで、夕方頃寝室で目覚めた。ウィルは私を運んで後日まだ来ると告げて帰って行ったという。
翌日脇腹の痛みも回復したので、リハビリ程度に訓練をしようと訓練場に出たら、いつもより大所帯になっていて驚いた。
見覚えの無い集団が混ざっていることに戸惑いつつ中心地を確認すると、なんとウィルがいた。
「今日からここの訓練に参加させて貰う事にしたよ。放っておくと、ちっとも君は会いに来てくれないからね。もちろんヴィラント侯爵の許可は得ている」
「女だからと油断しない方が良いですよ殿下、クロウツィアは手加減が下手なので、ゼクトルのように脚を折られますよ」
「折ってませんよ失礼な! ヒビくらいです。多分」
「あまり弁明になってませんよお嬢様」
ウィルの言葉に、しれっと現れたシェイルが忠告した。
人を暴力女みたいに言うなと思ったけど、手加減が下手なのは否定できないので返答がしどろもどろっぽくなったところをカーラのつっこみが入った。
だって、私はやはり女で、体力でも力でも負けている私は、全力を尽くすしか無いのだ。
チャンスがあれば渾身の一撃を叩き込むのは止めようが無い。
よっぽど実力差があれば別だけど、ゼクトルは強かったし、シェイルは言わずもがな、ウィルは直接戦ったことは無いけれど、パワーファイターでは無い分苦戦しそうだと思っている。そんな彼らに手加減なんてとんでもない。
残りのメンバーは近衛候補生で、ウィルが学園に連れていく一人を選ぶ為に連れてきたそうだ。
護衛といっても同じ学年である事が条件なので全員15歳の筈だが、全くそう見えないくらい老けてる子もいる。
結局私は近衛候補生となったことで乗馬を確実に身に付ける必要が出来たことが分かり、彼らの訓練を横目に入学での間ずっと乗馬練習に費やす羽目になった。
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