5 / 66
第1章
第05話「友達」
「さぁ、ライガ。ちゃんと働いてくださいね?」
ノクスはライガをキッチンに連れていき、にこやかに声をかけた。
「んぁ? 何させる気だ?」
あからさまに怪訝そうな顔を向けられる。
「何って、料理に決まってるじゃないですか。君は守護者という立場ですが、普段は僕の従者としてお世話をする役目もあるんです」
「はぁ? 料理ぃ?」
「別にレストランで出されるようなものでなくて良いんです。何なら僕も一緒に手伝いましょう。主人との初めての共同作業……。うん、悪くない!」
「……やだね! 面倒」
ライガは腕を組んで、つまらなさそうに顔をそらす。
「ほほう? そうですか……」
ノクスはそんなライガの言葉を聞きながら、ポケットから小さなライガの人形を取り出し、その頭を押し込む。
「う……っ!?」
すると、ライガの両手が勝手に上がり、口が開いた。
『ヤッタァ、ヤッタァ。ご主人様とお料理、嬉しいナァ』
次の瞬間、正気に戻ったらしく、こちらを鋭く睨みつけてくる。
「……ふふ♪ そんなに嬉しいんですか?」
「……おい。いい加減にしろよ……?」
「さぁ、一緒に頑張りましょうねぇ♪」
ライガは相変わらず乗り気でない様子で、ノクスを睨み続けている。
「そうですか。では今度は、ライガはご主人様との共同作業が出来る喜びにむせび泣き、思わずテーブルの上で腰振りダンスを……」
「分かった! やるよ! やれば良いんだろ!」
「うんうん、ライガはいい子ですね」
「~~~~っ!!」
こうして二人の共同作業が始まった。
◆◇◆◇
キッチンで料理を始めた二人。ライガには火加減の調節を頼み、その間にノクスは鼻歌を歌いながら野菜を切り進めることになった。
「こうして、主人と守護者が仲良く作業をするのは良いものですねぇ。天人の中には、守護者をまるで奴隷のように扱う者も多いと聞きますけど、僕はそんなことしませんよ? 確かに主従関係ではありますが、特別な信頼関係を――」
ボォォオオ……! パチパチ。
嫌な音がして振り返ると、ライガがステータスウィンドウを火に突っ込んでいた。
「何してんのぉぉお"っ!!!!???」
「いや、これ、よく燃えるから便利だなぁって」
「燃やすなぁぁあ! っていうか、それ燃えるの!?!?」
「うっせぇなぁ~! 俺は食う専門でいいだろ」
と、その態度が癪に障ったノクスが再び人形を取り出そうとすると、ライガが慌てて手を伸ばしてきた。
「ま、待てっ! 分かった! 従うから!」
「……ふぅ。そうですか。では、ライガには卵を割ってもらいましょう。さ、こうして……」
ノクスはライガの手を取って、自分の手を重ねながら卵を割る手順を教える。
「……こうか?」
「はい、そのまま軽く叩いてヒビを入れます。角でやっちゃダメですよ? で、優しくゆっくりと指を入れて割るんです」
その指示通り、ライガは慎重に殻にヒビを入れ、卵を割る。
「……ん~。こんなもんか?」
「おや? なかなか筋が良い。ボールに殻の欠片も入っていないし……。ライガは、もしかして前世ではお料理が得意だったのですかね?」
「分かんねぇけど……。思ってたより面白れぇな」
ライガは初めての経験に興味津々なのか、暴れる様子もなくノクスに従っていた。
(ふぅむ……。こちらの言う事を全く聞かないということもなさそうですね。興味のあることに関しては素直だし、吸収も早いようだ)
◆◇◆◇
「ふぅ、思ったよりスムーズに出来ましたね」
ノクスは出来上がったオムレツをフライパンから大きな皿へと移し替えた。
「さて、後はさっき切った野菜を添えれば……おや?」
ところが、切ったはずの野菜が消えている。さらにその視線の先には、切った野菜を手で掴んで口に頬張っているライガの姿があった。
「……ん~、あー♪ モグモグ……うめぇなコレ」
「…………ふっ」
ノクスは目を細め、深く息を吐くと、唇の端をわずかに引きつらせた。
その顔には、呆れと怒りが混じり、しばらく静かに息を呑んだ後、ようやく口を開いた。
「ああ、そうだ! 期限切れ間近のパンが大量にありました♪」
「……んぁ?」
次の瞬間、ライガは仰向けで床に倒れ込んだ。
「あれ……? 動けねぇ……?」
「さぁさ、お口を大きく開けなさい?」
ノクスはライガの人形を操作して口を開けさせる。
「あが……っ!!???」
ライガは顎が外れんばかりに口を大きく開けた。ノクスは棚から取り出した大きな袋を掴み、ライガにまたがる。
「いやぁ、まさか食べきれなかったパンをライガが処理してくれるなんて、何て主人思いなんでしょう! さ、沢山ありますから遠慮せずお腹いっぱい食べてくださいねぇ~?」
そう言って、ノクスは袋から大型のパンを取り出し、ライガの口に詰め込み始めた。
「……んががぁっ!!」
ライガは咄嗟に頭を振って抵抗しようと必死でもがいているようだが、体は指先一つ動かせていない。
「ぶへっ!! おい! なんかカビ臭ぇぞ!?」
「ほら、見てくださいよ。この袋、膨らんでいるでしょう? 腐るとガスが出てこんなになってしまうんですよぉ~!」
「……って、つまり腐ってんじゃねぇか!!」
「ええ、腐ってます。こういうのはさっさとゴミ箱にポイするんですが。なにぶん最近忙しくって……」
ノクスはそういうと、台所の隅に設置されたゴミ箱を指さした。
「おい……っ!? それって、俺はあれと同じだって言いてぇのか!?」
「いいえ? ライガがお腹空いてパンを欲しがっているので仕方なくです!」
「はぁ? 誰がそんなこと言っ……」
しかし、時すでに遅し。ノクスは既にライガの人形を操作し終わっていた。
『はい、ライガは、ご主人様のツバ付き食べ掛けパン、お腹いっぱい食べたいデス。ご主人様の残飯処理できるなんて嬉しいナァ』
「……はっ!!?」
そしてノクスはにっこりと笑うとさらにライガの口に残りのパンを突っ込んでいく。やがて、ライガはパンを口いっぱいに頬張り、目を回しながら気絶した。
『ライガぁ、ごじゅじんじゃまに、だべばべべもらえべ……うべびぃばぁ~……。おいじいでちゅぅ……』
ライガの体は勝手に両手でハートマークを作りながら甘ったるいセリフを口にする。
「そんなに美味しかったですか~? うふふ♪」
◆◇◆◇
「ぶはぁっ!!」
ようやく意識を取り戻したのか、ライガはカビパンを吐き出し、ようやく動きだした。
「……ふぅ、はぁ……。畜生、ふざけやがって!」
「おや、やっと目覚めましたね。さて、君が気絶してる間に朝食の用意が出来ましたよ」
ライガはゆっくりと体を起こし、こちらを睨みつけてくる。
「て……、てんめぇっ!! ぶっ殺してや…………!」
ライガが悪態をつき終わる前に、ノクスは再びライガの人形を操作した。
すると、また口がパカッと開き、笑顔で声をかける。
『ご主人様、ライガが、お料理、食べさせて、あげル』
「おやおや、良いんですか? では『あ~ん♪』とかしてもらいましょうかね?」
「……なっ!? おい、ふざけ……っ!」
またもその体は勝手に動きだす。
オムレツを一口サイズに分けてフォークに刺した。
『ふー……、ふー……。ご主人様? はい、あ~んしてっ♪』
丁寧に息を吹きかけて少し冷ますと、そのままノクスの口に運ぶ。
「んん~、美味しいですねぇ! って、ほぼ自分で作ったんですが」
「……はっ!?」
我に返った途端、恥ずかしさからか顔を真っ赤に染めていた。
「こんの……っ! クズが!」
「………………」
ノクスは無視して再び人形の頭を押す。
それに反応して、ライガは満面の笑みで口を開く。
『ご主人様、だ~いスキ! 愛してマス』
ライガはノクスに抱き着き頬ずりしながら猫なで声で喋った。
「そうですか、そうですか! まったく、素直なライガは可愛いですねぇ♡」
「―――ッッ!??? てんめぇぇえっ!!!」
ライガはすぐに正気に戻ると、急いで1m程離れた。
猫なで声で甘えられて、今だニヤついているノクスを必死で睨みつける。
「ちょ~っと! なに新人いびりみたいなことしてんのよぉ?」
その時、リビングから男性の声が聞こえてきた。
見ると、やたらガタイの良い男があきれ顔でこちらを見ている。
「……うぉっ!? 何だ!?」
思わずライガは後ずさりした。
「あらひっどぉ~い! そんな態度されたら乙女の心が傷ついちゃう~! んふっ♪」
「ああ、言い忘れてました。さっき君が気絶してる間にグリオールが様子見に来てくれたんです」
「……ってか、あんた誰だ? そういやあの白い空間にも居たよな?」
「ああ、ライガちゃん。そういえば自己紹介がまだだったわね? アタシはグリオール・ライアス。ノクスの友達よ。よろしくね?」
グリオールが差し出した手をライガはジッと見つめている。
「……なんだ? この手」
「なにって、挨拶よぉ。良い? こうしてお互い手を差し出して握り合うのよぉ」
「……そうなのか? えっと、俺はライガ。よろしく」
ライガは不思議そうに自分も手を差し出し、お互いに握り合う。
「じゃあ、これでアタシたちはもう、お・と・も・だ・ち♪ ね?」
「お友達……?」
ライガはグリオールの勢いに若干押され気味に返事をする。
「なぁ。友達ってなんだ?」
「具体的に何するって訳じゃないの。一緒におしゃべりしたり、紅茶を飲んだり♪ 仲良しさんになるのよぉ」
「ふぅ~ん……? 仲良しねぇ?」
ライガはグリオールの説明を聞きながら自分の手を見つめていた。
ノクスはライガをキッチンに連れていき、にこやかに声をかけた。
「んぁ? 何させる気だ?」
あからさまに怪訝そうな顔を向けられる。
「何って、料理に決まってるじゃないですか。君は守護者という立場ですが、普段は僕の従者としてお世話をする役目もあるんです」
「はぁ? 料理ぃ?」
「別にレストランで出されるようなものでなくて良いんです。何なら僕も一緒に手伝いましょう。主人との初めての共同作業……。うん、悪くない!」
「……やだね! 面倒」
ライガは腕を組んで、つまらなさそうに顔をそらす。
「ほほう? そうですか……」
ノクスはそんなライガの言葉を聞きながら、ポケットから小さなライガの人形を取り出し、その頭を押し込む。
「う……っ!?」
すると、ライガの両手が勝手に上がり、口が開いた。
『ヤッタァ、ヤッタァ。ご主人様とお料理、嬉しいナァ』
次の瞬間、正気に戻ったらしく、こちらを鋭く睨みつけてくる。
「……ふふ♪ そんなに嬉しいんですか?」
「……おい。いい加減にしろよ……?」
「さぁ、一緒に頑張りましょうねぇ♪」
ライガは相変わらず乗り気でない様子で、ノクスを睨み続けている。
「そうですか。では今度は、ライガはご主人様との共同作業が出来る喜びにむせび泣き、思わずテーブルの上で腰振りダンスを……」
「分かった! やるよ! やれば良いんだろ!」
「うんうん、ライガはいい子ですね」
「~~~~っ!!」
こうして二人の共同作業が始まった。
◆◇◆◇
キッチンで料理を始めた二人。ライガには火加減の調節を頼み、その間にノクスは鼻歌を歌いながら野菜を切り進めることになった。
「こうして、主人と守護者が仲良く作業をするのは良いものですねぇ。天人の中には、守護者をまるで奴隷のように扱う者も多いと聞きますけど、僕はそんなことしませんよ? 確かに主従関係ではありますが、特別な信頼関係を――」
ボォォオオ……! パチパチ。
嫌な音がして振り返ると、ライガがステータスウィンドウを火に突っ込んでいた。
「何してんのぉぉお"っ!!!!???」
「いや、これ、よく燃えるから便利だなぁって」
「燃やすなぁぁあ! っていうか、それ燃えるの!?!?」
「うっせぇなぁ~! 俺は食う専門でいいだろ」
と、その態度が癪に障ったノクスが再び人形を取り出そうとすると、ライガが慌てて手を伸ばしてきた。
「ま、待てっ! 分かった! 従うから!」
「……ふぅ。そうですか。では、ライガには卵を割ってもらいましょう。さ、こうして……」
ノクスはライガの手を取って、自分の手を重ねながら卵を割る手順を教える。
「……こうか?」
「はい、そのまま軽く叩いてヒビを入れます。角でやっちゃダメですよ? で、優しくゆっくりと指を入れて割るんです」
その指示通り、ライガは慎重に殻にヒビを入れ、卵を割る。
「……ん~。こんなもんか?」
「おや? なかなか筋が良い。ボールに殻の欠片も入っていないし……。ライガは、もしかして前世ではお料理が得意だったのですかね?」
「分かんねぇけど……。思ってたより面白れぇな」
ライガは初めての経験に興味津々なのか、暴れる様子もなくノクスに従っていた。
(ふぅむ……。こちらの言う事を全く聞かないということもなさそうですね。興味のあることに関しては素直だし、吸収も早いようだ)
◆◇◆◇
「ふぅ、思ったよりスムーズに出来ましたね」
ノクスは出来上がったオムレツをフライパンから大きな皿へと移し替えた。
「さて、後はさっき切った野菜を添えれば……おや?」
ところが、切ったはずの野菜が消えている。さらにその視線の先には、切った野菜を手で掴んで口に頬張っているライガの姿があった。
「……ん~、あー♪ モグモグ……うめぇなコレ」
「…………ふっ」
ノクスは目を細め、深く息を吐くと、唇の端をわずかに引きつらせた。
その顔には、呆れと怒りが混じり、しばらく静かに息を呑んだ後、ようやく口を開いた。
「ああ、そうだ! 期限切れ間近のパンが大量にありました♪」
「……んぁ?」
次の瞬間、ライガは仰向けで床に倒れ込んだ。
「あれ……? 動けねぇ……?」
「さぁさ、お口を大きく開けなさい?」
ノクスはライガの人形を操作して口を開けさせる。
「あが……っ!!???」
ライガは顎が外れんばかりに口を大きく開けた。ノクスは棚から取り出した大きな袋を掴み、ライガにまたがる。
「いやぁ、まさか食べきれなかったパンをライガが処理してくれるなんて、何て主人思いなんでしょう! さ、沢山ありますから遠慮せずお腹いっぱい食べてくださいねぇ~?」
そう言って、ノクスは袋から大型のパンを取り出し、ライガの口に詰め込み始めた。
「……んががぁっ!!」
ライガは咄嗟に頭を振って抵抗しようと必死でもがいているようだが、体は指先一つ動かせていない。
「ぶへっ!! おい! なんかカビ臭ぇぞ!?」
「ほら、見てくださいよ。この袋、膨らんでいるでしょう? 腐るとガスが出てこんなになってしまうんですよぉ~!」
「……って、つまり腐ってんじゃねぇか!!」
「ええ、腐ってます。こういうのはさっさとゴミ箱にポイするんですが。なにぶん最近忙しくって……」
ノクスはそういうと、台所の隅に設置されたゴミ箱を指さした。
「おい……っ!? それって、俺はあれと同じだって言いてぇのか!?」
「いいえ? ライガがお腹空いてパンを欲しがっているので仕方なくです!」
「はぁ? 誰がそんなこと言っ……」
しかし、時すでに遅し。ノクスは既にライガの人形を操作し終わっていた。
『はい、ライガは、ご主人様のツバ付き食べ掛けパン、お腹いっぱい食べたいデス。ご主人様の残飯処理できるなんて嬉しいナァ』
「……はっ!!?」
そしてノクスはにっこりと笑うとさらにライガの口に残りのパンを突っ込んでいく。やがて、ライガはパンを口いっぱいに頬張り、目を回しながら気絶した。
『ライガぁ、ごじゅじんじゃまに、だべばべべもらえべ……うべびぃばぁ~……。おいじいでちゅぅ……』
ライガの体は勝手に両手でハートマークを作りながら甘ったるいセリフを口にする。
「そんなに美味しかったですか~? うふふ♪」
◆◇◆◇
「ぶはぁっ!!」
ようやく意識を取り戻したのか、ライガはカビパンを吐き出し、ようやく動きだした。
「……ふぅ、はぁ……。畜生、ふざけやがって!」
「おや、やっと目覚めましたね。さて、君が気絶してる間に朝食の用意が出来ましたよ」
ライガはゆっくりと体を起こし、こちらを睨みつけてくる。
「て……、てんめぇっ!! ぶっ殺してや…………!」
ライガが悪態をつき終わる前に、ノクスは再びライガの人形を操作した。
すると、また口がパカッと開き、笑顔で声をかける。
『ご主人様、ライガが、お料理、食べさせて、あげル』
「おやおや、良いんですか? では『あ~ん♪』とかしてもらいましょうかね?」
「……なっ!? おい、ふざけ……っ!」
またもその体は勝手に動きだす。
オムレツを一口サイズに分けてフォークに刺した。
『ふー……、ふー……。ご主人様? はい、あ~んしてっ♪』
丁寧に息を吹きかけて少し冷ますと、そのままノクスの口に運ぶ。
「んん~、美味しいですねぇ! って、ほぼ自分で作ったんですが」
「……はっ!?」
我に返った途端、恥ずかしさからか顔を真っ赤に染めていた。
「こんの……っ! クズが!」
「………………」
ノクスは無視して再び人形の頭を押す。
それに反応して、ライガは満面の笑みで口を開く。
『ご主人様、だ~いスキ! 愛してマス』
ライガはノクスに抱き着き頬ずりしながら猫なで声で喋った。
「そうですか、そうですか! まったく、素直なライガは可愛いですねぇ♡」
「―――ッッ!??? てんめぇぇえっ!!!」
ライガはすぐに正気に戻ると、急いで1m程離れた。
猫なで声で甘えられて、今だニヤついているノクスを必死で睨みつける。
「ちょ~っと! なに新人いびりみたいなことしてんのよぉ?」
その時、リビングから男性の声が聞こえてきた。
見ると、やたらガタイの良い男があきれ顔でこちらを見ている。
「……うぉっ!? 何だ!?」
思わずライガは後ずさりした。
「あらひっどぉ~い! そんな態度されたら乙女の心が傷ついちゃう~! んふっ♪」
「ああ、言い忘れてました。さっき君が気絶してる間にグリオールが様子見に来てくれたんです」
「……ってか、あんた誰だ? そういやあの白い空間にも居たよな?」
「ああ、ライガちゃん。そういえば自己紹介がまだだったわね? アタシはグリオール・ライアス。ノクスの友達よ。よろしくね?」
グリオールが差し出した手をライガはジッと見つめている。
「……なんだ? この手」
「なにって、挨拶よぉ。良い? こうしてお互い手を差し出して握り合うのよぉ」
「……そうなのか? えっと、俺はライガ。よろしく」
ライガは不思議そうに自分も手を差し出し、お互いに握り合う。
「じゃあ、これでアタシたちはもう、お・と・も・だ・ち♪ ね?」
「お友達……?」
ライガはグリオールの勢いに若干押され気味に返事をする。
「なぁ。友達ってなんだ?」
「具体的に何するって訳じゃないの。一緒におしゃべりしたり、紅茶を飲んだり♪ 仲良しさんになるのよぉ」
「ふぅ~ん……? 仲良しねぇ?」
ライガはグリオールの説明を聞きながら自分の手を見つめていた。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。