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第1章
第08話「リンク人形」
「毎度おなじみですが、これは“リンク人形”と呼ばれているアイテム。こうして魂力を込めると……ほら!」
ノクスが人形を持ちながら魂力を注ぎ込むと、人形の姿がライガがさっき着替えたばかりの新しい服装へと瞬時に変化した。
「すごいでしょ? ライガが着替えたら、人形の造形もそっくりそのまま変わるんです」
「…………よこせぇっ!」
ライガは反射的に人形を奪おうと手を伸ばす。しかし、ノクスは一瞬で身をかわし、軽やかに距離を取った。
「おおっとぉ!」
そして人形の頭に指を添えながら、得意げに微笑む。
「では、実演といきましょう。こうして、ライガに言わせたい言葉を念じながら魂力を込めると……」
「はぁ!!?? お前、いい加減に――……」
ノクスが魂力を込めると、ライガの体がぐらりと揺れた。次の瞬間、口が勝手に開き出す。
『ご主人様ぁ~。ライガね? 本当はご主人様のことが好きすぎて、寝ても覚めてもご主人様のことが頭から離れないの……。ライガ、悪い子?』
ライガの態度は一変し、上目遣いで甘えた表情を浮かべたかと思うと、涙ぐみながらノクスを見つめた。
「いえいえ~? ライガはとぉ~っても良い子ですよ?」
「―――はっ!? っておい! お前の悪ふざけ、いい加減うっとぉし……」
ライガは必死で文句を吐こうとするが、ノクスが魂力を込めるとまた意識が飛んだようにカクッと脱力する。
『えへぇ……っ! 嬉しいなぁ♪ ライガ、もっともっと良い子になりゅう~♪』
今度は満面の笑みで主人に感謝を述べた。
「とまぁ、魂力はこうして使ったり、地上人にとっても必要な『あること』に使われていて……」
「うっがぁぁあああっ!!! うっとおしぃ!!」
我に返ったらしい、頭をガリガリ掻きながら顔を真っ赤にして憤慨していた。
「ライガちゃ~ん? 諦めなさいな。それは元々、守護者が暴走しないように作られた代物なんだから」
「はぁ!? 暴走~? 今まさに暴走してんのはこのアホだろうが!!!」
グリオールの指摘に、ライガはこちらを指さす。
「あ……アホ!? 主人に向かってそういうことほざきやがりますか!?」
「お前以外にアホは居ねぇ!」
「うっきぃいい~!! ライガ、君にだけは言われたくありませんねぇ!」
「アンタら、本当に賑やかねぇ~?」
二人の喧嘩を、グリオールは呆れ顔で見ていた。
「……ねぇライガちゃん、ちょっと聞きたいんだけど。ライガちゃんは名前以外思い出せないんだったわね?」
「んぁ? そうだけど?」
突然のグリオールの質問にライガは思わずノクスから目を離した。
「ふぅ~ん……? そう。そうなんだ」
「……何だよ、何か文句あんのか?」
「文句? アタシが? そうねぇ~? 文句ねぇ……」
「何だよ! さっきから!! イライラすんなぁ!」
「いいえ、何も無いわ。そう……本当に。思ってた以上に何の感情も沸いてこないの。自分でもびっくりしてるくらい」
「…………?? 何の話だよ?」
「んふっ♪ さて何の話かしらねぇ~? ……っと、アタシに集中してて良いのぉ? ほら後ろ」
「あ? 後ろ? ……はっ! しまった!」
「ふふ……ふふふふふふっ♪」
……と、後ろでノクスが得意げにニヤニヤしながら、リンク人形に魂力を注いでいる。ライガがそれを見て、顔をしかめる。
「おい、てめぇ、何してんだ……?」
「ふふ、ライガの人形劇、開演しましょうねぇ~」
目がきらきらと輝く。ライガはその提案を聞いて一瞬固まった。
「はぁ!? てんめぇ、何が人形劇だ! 俺はそんな訳分かんねぇもん……」
「………………(カクンッ)」
次の瞬間。ノクスがリンク人形に魂力を込めると、ライガは立ったまま白目を向き、まるで糸が切れた人形のようにヨダレを垂らして気絶した。
「おっと、急に魂力を注いだせいでバランスが崩れてしまった……でも、まだまだですよ!」
ノクスは汗をかきながらも、再び魂力を注ぎ直す。ライガの口がパクパクと動き始める。
『ご主人様ぁ~、ふぁいとぉ~! ライガのこと、上手く操れるようにおうえんちゅてるルルッルル……』
「むむっ、まだ魂力の調整が甘いですね。ぬぅうう……!」
ノクスが真剣な表情で魂力を込め直すが、状況はさらにおかしくなる。ライガの両手が突然意味不明に上下に動き始めた。
『ごしゅじんしゃまぁ~! レロロロロッ……だいちゅきぃっ! ちゅきぃっ、えへぁ……!』
声だけではなく、ライガの体がカクカクと謎の踊りを始め、完全にマヌケな姿を晒している。
「ふむ、ちょっとバランスが悪いかな……でも、今はいい具合に操作できてる!」
ライガは気絶したまま、手足がバタバタと無駄に動き続ける。ノクスはそれを見て、楽しげに続ける。
「はい、ライガ! にゃんこダンス行きますよ! 手を上げて、手!」
ライガの両足が無理やり持ち上げられ、今度は手を左右にバタバタと動かす。
『にゃんにゃんにゃ~ん♪ ライガのにゃんこポーズだにゃぁ~ん!』
ライガはまるで猫のように両手を振りながら、ダラダラとヨダレを垂らしている。体はノクスの力で動かされているが、その口からは無邪気な声が漏れ続ける。
「ぷっ、ちょっと!? ライガちゃん、完全にぶっ壊れてるわよ?」
横で見ていたグリオールが思わず腹を抱えて笑い出す。
「いやいや、壊れてなんかいませんよ! これは元々高度な術なんですっ!」
ノクスは汗をかきながら必死に弁解しつつも、どう見ても全く制御できていない。
「よぉし! もうちょっとだけ……ぐぬぬ……っ!」
『ぺこり~! ごしゅじんしゃま~、ライガのダンス、どうぞごらんくだしゃ~い!』
ライガはその場でノクスにお辞儀をする。完全に意識を失っているようだが、その言葉だけが可愛らしく響く。
『ラブリー☆ にゃんこダンスにゃぁ~! ご主人しゃまぁ~、みてみてぇ~♡』
そして両手で猫の手のポーズを取りながら、その場でピョンピョンと飛び跳ねている。
しかしノクスの集中力が切れかけてきているのか、ライガの顔は白目を向いたままにっこりと笑っているものの、体の動作についていけず飛び跳ねる度に頭がガクンガクンと上下左右に揺れていた。
「んはぁ~! 良い! すっごく良いですよライガ!」
『わぁ~い! ごしゅじんじゃばに……ほめられだぁ……ごじゅんじゃまありがどぉ~!』
そのままライガは万歳しながら喜んでいるような仕草で、されるがままにセリフを言わされ続ける。
『ごじゅびんじゃま……あびばぼぉ~がぼ……がぼぼ……っ』
しかし、その声はもうヨダレまみれでほとんど意味を成していない。
「………………(カクンッ)」
そしてまた糸が切れた人形のように脱力し、その場で気絶した。
「ふぃ~……。まだちょっと粗は目立ちますが、最初より少しはマシに操れるようになりましたかね」
「あら、割と上手だと思うけど? ここまで受肉人形を操れるなんて、なかなかのテクよ?」
「ええまぁ。僕、小さな頃からお人形遊びが大好きでしてね! そりゃあもう、こういうシチュエーションを何度想像したことか。そんなあれやこれやが、これからライガで出来ると想像するだけで、もう……っ、もう……っ!」
ノクスはリンク人形にスリスリと頬ずりしながら、感涙の涙を流していた。その顔には、満足感が滲んでいる。
「まぁ、アンタの事情だし。何も言わないけど……」
グリオールがチラッと目をやると、ライガは相変わらず白目をむいて口をあんぐりと開けたまま気絶しており、ノクスの頬ずりにあわせるように、腰がカクカクと左右に揺れていた。
「はたから見るとすんごい光景ねぇ……。っと、そろそろ行かない?」
「あぁ、スミマセン! じゃあ最後にもう一芸させ……っ、ん?」
「……なぁに? どうしたのぉ?」
「いえ、何でしょうね? ……何か、空気が変わったような……?」
と、その時だった。
――ズンッ!!!!
「がは……っ!!?」
「え……っ!? グリ……!?」
と、ノクスの目に移りこんだのは、鋭く黒い刃物のようなもので背後から脇腹を刺されるグリオールの姿だった。
ノクスが人形を持ちながら魂力を注ぎ込むと、人形の姿がライガがさっき着替えたばかりの新しい服装へと瞬時に変化した。
「すごいでしょ? ライガが着替えたら、人形の造形もそっくりそのまま変わるんです」
「…………よこせぇっ!」
ライガは反射的に人形を奪おうと手を伸ばす。しかし、ノクスは一瞬で身をかわし、軽やかに距離を取った。
「おおっとぉ!」
そして人形の頭に指を添えながら、得意げに微笑む。
「では、実演といきましょう。こうして、ライガに言わせたい言葉を念じながら魂力を込めると……」
「はぁ!!?? お前、いい加減に――……」
ノクスが魂力を込めると、ライガの体がぐらりと揺れた。次の瞬間、口が勝手に開き出す。
『ご主人様ぁ~。ライガね? 本当はご主人様のことが好きすぎて、寝ても覚めてもご主人様のことが頭から離れないの……。ライガ、悪い子?』
ライガの態度は一変し、上目遣いで甘えた表情を浮かべたかと思うと、涙ぐみながらノクスを見つめた。
「いえいえ~? ライガはとぉ~っても良い子ですよ?」
「―――はっ!? っておい! お前の悪ふざけ、いい加減うっとぉし……」
ライガは必死で文句を吐こうとするが、ノクスが魂力を込めるとまた意識が飛んだようにカクッと脱力する。
『えへぇ……っ! 嬉しいなぁ♪ ライガ、もっともっと良い子になりゅう~♪』
今度は満面の笑みで主人に感謝を述べた。
「とまぁ、魂力はこうして使ったり、地上人にとっても必要な『あること』に使われていて……」
「うっがぁぁあああっ!!! うっとおしぃ!!」
我に返ったらしい、頭をガリガリ掻きながら顔を真っ赤にして憤慨していた。
「ライガちゃ~ん? 諦めなさいな。それは元々、守護者が暴走しないように作られた代物なんだから」
「はぁ!? 暴走~? 今まさに暴走してんのはこのアホだろうが!!!」
グリオールの指摘に、ライガはこちらを指さす。
「あ……アホ!? 主人に向かってそういうことほざきやがりますか!?」
「お前以外にアホは居ねぇ!」
「うっきぃいい~!! ライガ、君にだけは言われたくありませんねぇ!」
「アンタら、本当に賑やかねぇ~?」
二人の喧嘩を、グリオールは呆れ顔で見ていた。
「……ねぇライガちゃん、ちょっと聞きたいんだけど。ライガちゃんは名前以外思い出せないんだったわね?」
「んぁ? そうだけど?」
突然のグリオールの質問にライガは思わずノクスから目を離した。
「ふぅ~ん……? そう。そうなんだ」
「……何だよ、何か文句あんのか?」
「文句? アタシが? そうねぇ~? 文句ねぇ……」
「何だよ! さっきから!! イライラすんなぁ!」
「いいえ、何も無いわ。そう……本当に。思ってた以上に何の感情も沸いてこないの。自分でもびっくりしてるくらい」
「…………?? 何の話だよ?」
「んふっ♪ さて何の話かしらねぇ~? ……っと、アタシに集中してて良いのぉ? ほら後ろ」
「あ? 後ろ? ……はっ! しまった!」
「ふふ……ふふふふふふっ♪」
……と、後ろでノクスが得意げにニヤニヤしながら、リンク人形に魂力を注いでいる。ライガがそれを見て、顔をしかめる。
「おい、てめぇ、何してんだ……?」
「ふふ、ライガの人形劇、開演しましょうねぇ~」
目がきらきらと輝く。ライガはその提案を聞いて一瞬固まった。
「はぁ!? てんめぇ、何が人形劇だ! 俺はそんな訳分かんねぇもん……」
「………………(カクンッ)」
次の瞬間。ノクスがリンク人形に魂力を込めると、ライガは立ったまま白目を向き、まるで糸が切れた人形のようにヨダレを垂らして気絶した。
「おっと、急に魂力を注いだせいでバランスが崩れてしまった……でも、まだまだですよ!」
ノクスは汗をかきながらも、再び魂力を注ぎ直す。ライガの口がパクパクと動き始める。
『ご主人様ぁ~、ふぁいとぉ~! ライガのこと、上手く操れるようにおうえんちゅてるルルッルル……』
「むむっ、まだ魂力の調整が甘いですね。ぬぅうう……!」
ノクスが真剣な表情で魂力を込め直すが、状況はさらにおかしくなる。ライガの両手が突然意味不明に上下に動き始めた。
『ごしゅじんしゃまぁ~! レロロロロッ……だいちゅきぃっ! ちゅきぃっ、えへぁ……!』
声だけではなく、ライガの体がカクカクと謎の踊りを始め、完全にマヌケな姿を晒している。
「ふむ、ちょっとバランスが悪いかな……でも、今はいい具合に操作できてる!」
ライガは気絶したまま、手足がバタバタと無駄に動き続ける。ノクスはそれを見て、楽しげに続ける。
「はい、ライガ! にゃんこダンス行きますよ! 手を上げて、手!」
ライガの両足が無理やり持ち上げられ、今度は手を左右にバタバタと動かす。
『にゃんにゃんにゃ~ん♪ ライガのにゃんこポーズだにゃぁ~ん!』
ライガはまるで猫のように両手を振りながら、ダラダラとヨダレを垂らしている。体はノクスの力で動かされているが、その口からは無邪気な声が漏れ続ける。
「ぷっ、ちょっと!? ライガちゃん、完全にぶっ壊れてるわよ?」
横で見ていたグリオールが思わず腹を抱えて笑い出す。
「いやいや、壊れてなんかいませんよ! これは元々高度な術なんですっ!」
ノクスは汗をかきながら必死に弁解しつつも、どう見ても全く制御できていない。
「よぉし! もうちょっとだけ……ぐぬぬ……っ!」
『ぺこり~! ごしゅじんしゃま~、ライガのダンス、どうぞごらんくだしゃ~い!』
ライガはその場でノクスにお辞儀をする。完全に意識を失っているようだが、その言葉だけが可愛らしく響く。
『ラブリー☆ にゃんこダンスにゃぁ~! ご主人しゃまぁ~、みてみてぇ~♡』
そして両手で猫の手のポーズを取りながら、その場でピョンピョンと飛び跳ねている。
しかしノクスの集中力が切れかけてきているのか、ライガの顔は白目を向いたままにっこりと笑っているものの、体の動作についていけず飛び跳ねる度に頭がガクンガクンと上下左右に揺れていた。
「んはぁ~! 良い! すっごく良いですよライガ!」
『わぁ~い! ごしゅじんじゃばに……ほめられだぁ……ごじゅんじゃまありがどぉ~!』
そのままライガは万歳しながら喜んでいるような仕草で、されるがままにセリフを言わされ続ける。
『ごじゅびんじゃま……あびばぼぉ~がぼ……がぼぼ……っ』
しかし、その声はもうヨダレまみれでほとんど意味を成していない。
「………………(カクンッ)」
そしてまた糸が切れた人形のように脱力し、その場で気絶した。
「ふぃ~……。まだちょっと粗は目立ちますが、最初より少しはマシに操れるようになりましたかね」
「あら、割と上手だと思うけど? ここまで受肉人形を操れるなんて、なかなかのテクよ?」
「ええまぁ。僕、小さな頃からお人形遊びが大好きでしてね! そりゃあもう、こういうシチュエーションを何度想像したことか。そんなあれやこれやが、これからライガで出来ると想像するだけで、もう……っ、もう……っ!」
ノクスはリンク人形にスリスリと頬ずりしながら、感涙の涙を流していた。その顔には、満足感が滲んでいる。
「まぁ、アンタの事情だし。何も言わないけど……」
グリオールがチラッと目をやると、ライガは相変わらず白目をむいて口をあんぐりと開けたまま気絶しており、ノクスの頬ずりにあわせるように、腰がカクカクと左右に揺れていた。
「はたから見るとすんごい光景ねぇ……。っと、そろそろ行かない?」
「あぁ、スミマセン! じゃあ最後にもう一芸させ……っ、ん?」
「……なぁに? どうしたのぉ?」
「いえ、何でしょうね? ……何か、空気が変わったような……?」
と、その時だった。
――ズンッ!!!!
「がは……っ!!?」
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