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第2章
第29話「レオンのご奉仕その2」
「さて、体の泡もきれいに流さないとな」
レオンはシャワーの温度をもう一度確認し、手のひらに湯を当てて感触を確かめた。ちょうどいいと判断したのか、まずライガの小指の先にそっとかける。
「温度、大丈夫か? 冷たく感じたら言うんだぞ?」
「おう、ちょうどいいぞ!」
湯が泡を包み込み、肌を滑らかに流れていく。そのたびにライガは「ふへぇ…っ♪」と吐息を漏らしていた。レオンは慎重にシャワーを動かし、ライガの腕や腹部の泡を一つ一つ丁寧に流していく。
やがて、レオンは「これでだいたい流れたな」と声をかけ、シャワーを止めた。
「ライガ、湯船に浸かって温まるといい」
「……おう!」
ライガは素直に湯船の縁に腰を下ろし、足を湯に浸けた。湯気に包まれ、胸まで沈んだところで「……やっぱ風呂って気持ちいいなぁ」と笑みを浮かべる。
その時、レオンの表情がわずかに曇ったように見えた。何かを言いかけてやめた彼は、無言で浴室の洗剤を片付け始める。
「やっぱこれ、クセになるなぁ……」
浴室を綺麗に掃除し終わると、レオンはその背中に視線を送る。そして再び何かを思いつめたような表情になり、無言のままノクスに目配せをして、静かに浴室を出ていった。
◆◇◆◇
「さぁ、体を拭いて! そんなびしょ濡れでは服が着れませんからね!」
「……ちっ! うっせえなぁ!」
ライガは再び不機嫌になっていた。全裸でびちゃびちゃのまま、タオルを構えたノクスとジリジリと距離を取っている。まるで取っ組み合いの喧嘩が始まりそうな光景だった。
「……そぉりゃぁあああっ!!!」
ノクスがタオルを大きく広げながら突進する!
「――おおっとぉ!!」
それをひらりとライガがかわす!
「なんのぉおおおっ!!!」
しかしそれを見越してノクスが予め炎と風の術で作っておいた温風をライガ目掛けて発射する。突然思ってもいない方向から吹き付けた温風はライガの目にクリーンヒットした。
「ぐぁあああっ!! 目がぁああ!? テメェ、卑怯だぞ!」
「……隙ありぃ!!」
怯んだライガ目掛けて飛び掛かる。
――ドシイィィン! ドタンッ! バタン!
「そぉ~れ!! ふきふきふきふき♪」
「……テメェ! どこ触ってんだ! 降りろ!」
しばらくの間、脱衣所では激しい攻防が繰り広げられる音が鳴り響いた。
◆◇◆◇
「はぁ……っ、はぁ……っ! ふふ、ふふふ。最短記録更新ですね……っ!」
「ちっ……!」
フラフラと脱衣所から出てきたノクス。その後に続いて、パジャマに着替えさせられたライガの姿があった。
「はぁ……、全く。来客が居るというのに夕食の下ごしらえの段取りさえロクに出来ていないとは……。何かデリバリーでも頼みますか」
「……んぁ? なぁノクス、何か良い匂いしねぇか?」
「おや? そういえば……」
ライガの言う通り、リビングに入った瞬間、何とも言えない香ばしい匂いが部屋中に漂ってきた。
「……お疲れ様でした、ノクス様」
と、そこに立っていたのはレオンだった。
「え……? レ、オン……くん??」
ふとテーブルを見ると絢爛豪華な料理の数々がところ狭しと並んでいる。
「いや、いやいやっ! あの、これは一体?」
「先ほど食材は全て使って良いと伺いましたので、ご用意しました。ノクス様の好き嫌いは事前にグリオール様に伺っていますが、もしアレルギー等があれば……」
「……いやいや、そうじゃなくて! どうしてこんな短時間で……!??」
ノクスは目を丸くしてリビングの光景を見渡した。テーブルに並べられた料理は、どれも手の込んだものばかり。温かみのあるスープから、香ばしく焼き上げられた肉料理まで、どれも完璧に仕上がっている。
「何か、術でも使ったのですか?」
ノクスが疑い深そうに尋ねると、レオンはわずかに首を傾げた。
「……俺はただの人形です。術は使えません」
レオンは淡々と答えながら、手元に持っていたキッチンクロスで静かにテーブルを磨き始めた。
「いや、こんなの普通に考えて無理でしょ! だってライガと一緒にお風呂入ってて……!? その間にどうやって……」
ノクスの声がだんだんと高くなる。
レオンはその言葉に対しても、淡々とした表情を崩さずに答えた。
「……効率を重視しました」
「こ……!! 効……率……!?」
その言葉は、ノクスの中に衝撃の電流を走らせる。
「いや、効率だけでこれほどの品数を作るなんて聞いたこと!」
さらにレオンはさも当然であるかのように、あっけらかんと答える。
「……手順を最適化しました」
「最……適……化っ!! ぐっっはぁっ!!??」
ノクスは完全にノックアウトした。何よりも手順や段取りを尊重する自分にとって、その言葉は凄まじい威力のカウンターパンチだったのだ。そのやり取りを見ていたライガは、湯上がりでほんのり赤らんだ顔のまま、料理の香りを嗅ぎ、「うわっ、これ美味そう」と口元をほころばせている。
「ともかく、どうぞご着席ください」
レオンは控えめながらもしっかりとした声で言い、ノクスが座る椅子を少し後ろにずらして着席を促した。
ノクスはまだ疑問を抱えたままだったが、料理の香りに誘われるように椅子に腰を下ろした。
「……ありがとうございます、レオン君」
「……問題ありません」
レオンは一歩下がると、湯気の立つティーポットを静かに持ち上げ、カップに丁寧に注ぎ始めた。
ふんわりと広がるのは、花と果実の、やわらかく芳醇な香り。
「こちらは、先ほど街で買ったミリス草とセンダ果実の皮を使ったハーブティーです。グリオール様の好みの配合ですが、ノクス様にも合うかと思い、作ってみました」
そのまま適量に淹れたカップをノクスの前に静かに置くと、続けた。
「ミリス草は香り高く、ほんのりとした甘みが特徴です。センダ果実の皮を一緒に煮出すことで、爽やかな酸味と清涼感が加わり、食欲をほどよく刺激してくれます。また、消化を助け、身体を温める効果もありますので……食前にどうぞ」
レオンは一歩引いて、手を胸に当てながら静かに一礼する。
ノクスは差し出されたハーブティーを一口含むと、その豊かな味わいに「ふぅ……っ♪」と感嘆の声を上げる。
「……素晴らしい味です。まさか街で手に入れた素材だけで、こんなにも完成されたお茶になるとは」
レオンはそのまま軽く会釈する。
「……お褒めにあずかり光栄です」
テーブルの端では、ライガが早速スープを一口すくって味わっている。目を輝かせながら、湯気の立つ器を両手で包み込むように持ち、「これ、すっごく美味いぞ!」と声を弾ませた。
「ライガ、少し落ち着きなさい。お行儀というものがあります!」
ノクスが厳しく注意するが、レオンは気に留めていない。
「アイツは……あれで良いんです。あのままで」
ライガを見つめるレオンの目は、まるで懐かしい光景を思い出しているかのようだった。
ノクスは静かにスープを一口含んだ。その瞬間、口の中に広がる深い旨味と繊細な風味に思わず息を飲む。
「……これは、まさしく一流の味ですね。レオン君、お料理がこんなに得意だったとは……」
レオンは少し間を置き、淡々と答えた。
「元々、独りで料理はしていましたが、本格的な調理法やテーブルマナーは図書館の本で身に着けました。お役に立てて何よりです」
そう答えつつも、そっとテーブルにあるナプキンの位置を直したり、ライガが豪快に食べ散らかした残飯を綺麗に掃除していく。
その控えめな動作が、レオンの謙虚さを際立たせていた。
「おお! このステーキ、うっまそぉ~!! これも食べていいか? な、いいよな?」
ライガは二人の会話には興味を示さず、すでに次の料理に手を伸ばす。
「ライガ! お前はもっと慎みを持ちなさい!!!」
そんな二人のやり取りを、レオンは微笑ましい顔で眺めていた。
レオンはシャワーの温度をもう一度確認し、手のひらに湯を当てて感触を確かめた。ちょうどいいと判断したのか、まずライガの小指の先にそっとかける。
「温度、大丈夫か? 冷たく感じたら言うんだぞ?」
「おう、ちょうどいいぞ!」
湯が泡を包み込み、肌を滑らかに流れていく。そのたびにライガは「ふへぇ…っ♪」と吐息を漏らしていた。レオンは慎重にシャワーを動かし、ライガの腕や腹部の泡を一つ一つ丁寧に流していく。
やがて、レオンは「これでだいたい流れたな」と声をかけ、シャワーを止めた。
「ライガ、湯船に浸かって温まるといい」
「……おう!」
ライガは素直に湯船の縁に腰を下ろし、足を湯に浸けた。湯気に包まれ、胸まで沈んだところで「……やっぱ風呂って気持ちいいなぁ」と笑みを浮かべる。
その時、レオンの表情がわずかに曇ったように見えた。何かを言いかけてやめた彼は、無言で浴室の洗剤を片付け始める。
「やっぱこれ、クセになるなぁ……」
浴室を綺麗に掃除し終わると、レオンはその背中に視線を送る。そして再び何かを思いつめたような表情になり、無言のままノクスに目配せをして、静かに浴室を出ていった。
◆◇◆◇
「さぁ、体を拭いて! そんなびしょ濡れでは服が着れませんからね!」
「……ちっ! うっせえなぁ!」
ライガは再び不機嫌になっていた。全裸でびちゃびちゃのまま、タオルを構えたノクスとジリジリと距離を取っている。まるで取っ組み合いの喧嘩が始まりそうな光景だった。
「……そぉりゃぁあああっ!!!」
ノクスがタオルを大きく広げながら突進する!
「――おおっとぉ!!」
それをひらりとライガがかわす!
「なんのぉおおおっ!!!」
しかしそれを見越してノクスが予め炎と風の術で作っておいた温風をライガ目掛けて発射する。突然思ってもいない方向から吹き付けた温風はライガの目にクリーンヒットした。
「ぐぁあああっ!! 目がぁああ!? テメェ、卑怯だぞ!」
「……隙ありぃ!!」
怯んだライガ目掛けて飛び掛かる。
――ドシイィィン! ドタンッ! バタン!
「そぉ~れ!! ふきふきふきふき♪」
「……テメェ! どこ触ってんだ! 降りろ!」
しばらくの間、脱衣所では激しい攻防が繰り広げられる音が鳴り響いた。
◆◇◆◇
「はぁ……っ、はぁ……っ! ふふ、ふふふ。最短記録更新ですね……っ!」
「ちっ……!」
フラフラと脱衣所から出てきたノクス。その後に続いて、パジャマに着替えさせられたライガの姿があった。
「はぁ……、全く。来客が居るというのに夕食の下ごしらえの段取りさえロクに出来ていないとは……。何かデリバリーでも頼みますか」
「……んぁ? なぁノクス、何か良い匂いしねぇか?」
「おや? そういえば……」
ライガの言う通り、リビングに入った瞬間、何とも言えない香ばしい匂いが部屋中に漂ってきた。
「……お疲れ様でした、ノクス様」
と、そこに立っていたのはレオンだった。
「え……? レ、オン……くん??」
ふとテーブルを見ると絢爛豪華な料理の数々がところ狭しと並んでいる。
「いや、いやいやっ! あの、これは一体?」
「先ほど食材は全て使って良いと伺いましたので、ご用意しました。ノクス様の好き嫌いは事前にグリオール様に伺っていますが、もしアレルギー等があれば……」
「……いやいや、そうじゃなくて! どうしてこんな短時間で……!??」
ノクスは目を丸くしてリビングの光景を見渡した。テーブルに並べられた料理は、どれも手の込んだものばかり。温かみのあるスープから、香ばしく焼き上げられた肉料理まで、どれも完璧に仕上がっている。
「何か、術でも使ったのですか?」
ノクスが疑い深そうに尋ねると、レオンはわずかに首を傾げた。
「……俺はただの人形です。術は使えません」
レオンは淡々と答えながら、手元に持っていたキッチンクロスで静かにテーブルを磨き始めた。
「いや、こんなの普通に考えて無理でしょ! だってライガと一緒にお風呂入ってて……!? その間にどうやって……」
ノクスの声がだんだんと高くなる。
レオンはその言葉に対しても、淡々とした表情を崩さずに答えた。
「……効率を重視しました」
「こ……!! 効……率……!?」
その言葉は、ノクスの中に衝撃の電流を走らせる。
「いや、効率だけでこれほどの品数を作るなんて聞いたこと!」
さらにレオンはさも当然であるかのように、あっけらかんと答える。
「……手順を最適化しました」
「最……適……化っ!! ぐっっはぁっ!!??」
ノクスは完全にノックアウトした。何よりも手順や段取りを尊重する自分にとって、その言葉は凄まじい威力のカウンターパンチだったのだ。そのやり取りを見ていたライガは、湯上がりでほんのり赤らんだ顔のまま、料理の香りを嗅ぎ、「うわっ、これ美味そう」と口元をほころばせている。
「ともかく、どうぞご着席ください」
レオンは控えめながらもしっかりとした声で言い、ノクスが座る椅子を少し後ろにずらして着席を促した。
ノクスはまだ疑問を抱えたままだったが、料理の香りに誘われるように椅子に腰を下ろした。
「……ありがとうございます、レオン君」
「……問題ありません」
レオンは一歩下がると、湯気の立つティーポットを静かに持ち上げ、カップに丁寧に注ぎ始めた。
ふんわりと広がるのは、花と果実の、やわらかく芳醇な香り。
「こちらは、先ほど街で買ったミリス草とセンダ果実の皮を使ったハーブティーです。グリオール様の好みの配合ですが、ノクス様にも合うかと思い、作ってみました」
そのまま適量に淹れたカップをノクスの前に静かに置くと、続けた。
「ミリス草は香り高く、ほんのりとした甘みが特徴です。センダ果実の皮を一緒に煮出すことで、爽やかな酸味と清涼感が加わり、食欲をほどよく刺激してくれます。また、消化を助け、身体を温める効果もありますので……食前にどうぞ」
レオンは一歩引いて、手を胸に当てながら静かに一礼する。
ノクスは差し出されたハーブティーを一口含むと、その豊かな味わいに「ふぅ……っ♪」と感嘆の声を上げる。
「……素晴らしい味です。まさか街で手に入れた素材だけで、こんなにも完成されたお茶になるとは」
レオンはそのまま軽く会釈する。
「……お褒めにあずかり光栄です」
テーブルの端では、ライガが早速スープを一口すくって味わっている。目を輝かせながら、湯気の立つ器を両手で包み込むように持ち、「これ、すっごく美味いぞ!」と声を弾ませた。
「ライガ、少し落ち着きなさい。お行儀というものがあります!」
ノクスが厳しく注意するが、レオンは気に留めていない。
「アイツは……あれで良いんです。あのままで」
ライガを見つめるレオンの目は、まるで懐かしい光景を思い出しているかのようだった。
ノクスは静かにスープを一口含んだ。その瞬間、口の中に広がる深い旨味と繊細な風味に思わず息を飲む。
「……これは、まさしく一流の味ですね。レオン君、お料理がこんなに得意だったとは……」
レオンは少し間を置き、淡々と答えた。
「元々、独りで料理はしていましたが、本格的な調理法やテーブルマナーは図書館の本で身に着けました。お役に立てて何よりです」
そう答えつつも、そっとテーブルにあるナプキンの位置を直したり、ライガが豪快に食べ散らかした残飯を綺麗に掃除していく。
その控えめな動作が、レオンの謙虚さを際立たせていた。
「おお! このステーキ、うっまそぉ~!! これも食べていいか? な、いいよな?」
ライガは二人の会話には興味を示さず、すでに次の料理に手を伸ばす。
「ライガ! お前はもっと慎みを持ちなさい!!!」
そんな二人のやり取りを、レオンは微笑ましい顔で眺めていた。
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