34 / 66
第2章
第34話「勇者と冥王の呪い」
ノクスは驚愕の表情を浮かべ、石碑を見つめる。
「……は? 何言ってんだよ」
ライガも信じられないという顔だ。
「いや、でも……これは……」
ノクスが言葉を詰まらせる。
「ライガが……勇者?」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
一瞬、その場に静寂が走る。
「―――いや! それはない!!! ナイナイナイありえない!!」
開口一番、ノクスは首を激しく横に振った。
「……おいっ!!」
ライガは思わずツッコミを入れる。
「あははは!! 君みたいな野生児が勇者って! さすがにそれはあり得ませんよぉ~! どう考えても同名の別人ですね」
ノクスには微塵も信じられなかった。今までライガと接してきたからこそ、その勇者像とはあまりにもかけ離れていたからだ。
「お前、失礼な奴だな!! 俺だって、勇者くらいできらぁ!!」
「あのですね? 勇者はもっと品行方正な人間に決まってます! 同じ“ライガ”でも君は正反対!」
「んだとぉおっ!?」
「どちらかといえば、レオン君のような真面目で謙虚で男らしい人物にこそ相応しいです!」
ノクスの言葉を受け、グリオールがからかうようにレオンに声を掛けた。
「だぁ~ってさ。レオン、アンタが勇者に相応しいって♪ 良かったわねぇ?」
レオンは無表情のまま何も答えず、ただ視線を逸らした。
「あらぁ? お兄さんたち、その石碑に興味あるのかい?」
喧騒が気になったのか、通りすがりの女性が声をかけてきた。
「あ、ああ。すみません騒がしくして」
ノクスが丁寧に頭を下げると、女性は少し微笑んだ後、石碑を指さした。
「勇者様はね。この街で生まれて、今から200年程前に一人ヘルフレイルの冥王を討伐に行ったきり戻って来なかったんだってさ」
「んぁ? 勇者は何で冥王を討伐に行ったんだ?」
ライガが驚いた声を上げると、女性はまるで当然だと言わんばかりの顔で答えた。
「どうしてって……冥王だからだよ! 決まってんだろ?」
その言葉には疑問の余地もなく、完全に信じきった様子が見て取れる。
「冥王はその邪悪な力で、このテラアースへ呪いを振りまいてるって話だよ。全く、迷惑な奴だよねぇ~! 坊やもそう思うだろ?」
「……んん? なぁ、何で冥王はテラアースへ呪いを振りまいてるんだ? 冥王の役目って死んだ天人の魂をアルフレイルへ送り返すだけなんだろ?」
ライガが食い下がるように問いかけるが、女性はその言葉を鼻で笑うように聞き流した。
「坊や、おかしなこと言うんだねぇ? ほら、あそこ見てみなよ」
女性が指差した先、積み荷をぶちまけて呆然としている男性が見えた。荷車の横で頭を抱えている。
「あの男、前はしっかりしてたんだけどねぇ。きっと冥王に目を付けられて呪いを受けてるんだよ」
「……呪い?」
「“冥王の呪い”だよ、決まってんだろ? 冥王がヘルフレイルから邪悪な力を送って、わたしらを混乱させてるんだ」
女性の言葉には、村全体がその迷信を信じているような重みがあった。
「いや、だからさ! 何で冥王がそんなことしてんだって聞いてんだけど?」
ライガは苛立ちながら問い詰めるが、女性はその質問に至極当然のように答える。
「何でって、冥王だからだろ?」
「はぁ?? あのオッサンの積み荷をぶちまけるのが冥王の目的なのか?」
「そうだよ?」
「……何の為に?」
「何の為って……。冥王がこの世界に迷惑をかける為に決まってんだろ?」
女性の言葉に混乱しきったライガは、次第に声を荒げていく。
「~~~~っ!!! だからぁっ!!」
「ライガ、抑えなさい! すみません、この子はまだ常識があまりないので……」
ノクスが慌ててライガをなだめ、女性に深々と頭を下げた。しかし、女性はため息交じりに続ける。
「仕方ないさね。この前もうちの子、試験に落ちちゃってね? きっと冥王が呪いでうちの子の成績を落としたんだよ。全く、ロクでもないったら!」
「それは単純にあんたのガキの頭が悪……んががっ!?」
ライガが言葉を続けようとした瞬間、ノクスが慌ててその口を塞ぐ。
「ああ、なるほどぉ! そうですね。本当に冥王は迷惑ですね~。あっはっは!」
ノクスは女性に笑顔を見せつつ、急いでライガを引きずるようにその場を離れた。
◆◇◆◇
「おいっ! 何だよノクス。離せよっ!」
ライガが手を振り払おうとすると、ノクスはぐっと力を込めて彼の腕を引き止める。
「何言ってるんですかっ! あのままだと君、あの女性に飛び掛かりそうな勢いでしたよ?」
「だって! 何でもかんでも呪いだなんだって……。あの積み荷をぶちまけたのは、ただのオッサンの不注意だろ?」
ライガの声には苛立ちが滲んでいる。
「それは、そうですけど……っ」
「それに、あのオバサンの子供だって、試験と冥王がどう関係してんだよ!」
「そ、それは……。ええっと……っ」
「ふふっ、冥王は色んな人に迷惑かけてるのねぇ~? 凄いわねぇ。冥王の呪いって♪」
ベンチに腰掛けたグリオールが、こちらの様子を見ながら話しかけてきた。
「グリオール……。貴方まで乗っからないでくださ……」
―-ゾクリと、冷たい殺気を感じた。
視線の先に、グリオールの後ろに立つレオンの姿が目に入る。
女性を無表情で眺めている横顔は、一見するといつもの冷静そのものに見える。
……ただ、何となく。
目を細め、女性を睨んでいたような気がする。
グリオールも何かを察したのか、楽しげに口を開いた。
「ねぇ~え? ――レオン?」
突然、自分の名を呼ばれたレオンは、ぴくりと肩を震わせた。
「どうしたのぉ~? 冥王をバカにされたのがそんなに不服?」
レオンの拳がわずかに揺れた気がした。
思い詰めているようなその顔は、何かを隠しているようにも見える。
グリオールはそんな様子を面白がるように、口元をわずかに吊り上げた。
「……なんでも、ありません」
低い声が返ってくるが、普段よりわずかに硬い響きがある。
「クスクス♪ そうよねぇ~? 今のアンタはアタシの可愛いお人形。だから冥王をバカにされたって何も感じない。でしょ?」
挑発めいた声音に、レオンは大きく息を吸い込み、短く答えた。
「……はい。俺はただの、グリオール様の人形です」
レオンの返答は、まるで自分に言い聞かせているようにも聞こえる。
「本当、アンタは素直で良い子ねぇ~。気に入ってんのよ? そういうとこ」
グリオールは、そんなレオンの反応を嘲笑っているようだった。
(気のせいだろうか。レオン君、一瞬とても悔しそうな表情をしたような……?)
そんな二人の会話を、ノクスはただ黙って聞いていた。
「……は? 何言ってんだよ」
ライガも信じられないという顔だ。
「いや、でも……これは……」
ノクスが言葉を詰まらせる。
「ライガが……勇者?」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
一瞬、その場に静寂が走る。
「―――いや! それはない!!! ナイナイナイありえない!!」
開口一番、ノクスは首を激しく横に振った。
「……おいっ!!」
ライガは思わずツッコミを入れる。
「あははは!! 君みたいな野生児が勇者って! さすがにそれはあり得ませんよぉ~! どう考えても同名の別人ですね」
ノクスには微塵も信じられなかった。今までライガと接してきたからこそ、その勇者像とはあまりにもかけ離れていたからだ。
「お前、失礼な奴だな!! 俺だって、勇者くらいできらぁ!!」
「あのですね? 勇者はもっと品行方正な人間に決まってます! 同じ“ライガ”でも君は正反対!」
「んだとぉおっ!?」
「どちらかといえば、レオン君のような真面目で謙虚で男らしい人物にこそ相応しいです!」
ノクスの言葉を受け、グリオールがからかうようにレオンに声を掛けた。
「だぁ~ってさ。レオン、アンタが勇者に相応しいって♪ 良かったわねぇ?」
レオンは無表情のまま何も答えず、ただ視線を逸らした。
「あらぁ? お兄さんたち、その石碑に興味あるのかい?」
喧騒が気になったのか、通りすがりの女性が声をかけてきた。
「あ、ああ。すみません騒がしくして」
ノクスが丁寧に頭を下げると、女性は少し微笑んだ後、石碑を指さした。
「勇者様はね。この街で生まれて、今から200年程前に一人ヘルフレイルの冥王を討伐に行ったきり戻って来なかったんだってさ」
「んぁ? 勇者は何で冥王を討伐に行ったんだ?」
ライガが驚いた声を上げると、女性はまるで当然だと言わんばかりの顔で答えた。
「どうしてって……冥王だからだよ! 決まってんだろ?」
その言葉には疑問の余地もなく、完全に信じきった様子が見て取れる。
「冥王はその邪悪な力で、このテラアースへ呪いを振りまいてるって話だよ。全く、迷惑な奴だよねぇ~! 坊やもそう思うだろ?」
「……んん? なぁ、何で冥王はテラアースへ呪いを振りまいてるんだ? 冥王の役目って死んだ天人の魂をアルフレイルへ送り返すだけなんだろ?」
ライガが食い下がるように問いかけるが、女性はその言葉を鼻で笑うように聞き流した。
「坊や、おかしなこと言うんだねぇ? ほら、あそこ見てみなよ」
女性が指差した先、積み荷をぶちまけて呆然としている男性が見えた。荷車の横で頭を抱えている。
「あの男、前はしっかりしてたんだけどねぇ。きっと冥王に目を付けられて呪いを受けてるんだよ」
「……呪い?」
「“冥王の呪い”だよ、決まってんだろ? 冥王がヘルフレイルから邪悪な力を送って、わたしらを混乱させてるんだ」
女性の言葉には、村全体がその迷信を信じているような重みがあった。
「いや、だからさ! 何で冥王がそんなことしてんだって聞いてんだけど?」
ライガは苛立ちながら問い詰めるが、女性はその質問に至極当然のように答える。
「何でって、冥王だからだろ?」
「はぁ?? あのオッサンの積み荷をぶちまけるのが冥王の目的なのか?」
「そうだよ?」
「……何の為に?」
「何の為って……。冥王がこの世界に迷惑をかける為に決まってんだろ?」
女性の言葉に混乱しきったライガは、次第に声を荒げていく。
「~~~~っ!!! だからぁっ!!」
「ライガ、抑えなさい! すみません、この子はまだ常識があまりないので……」
ノクスが慌ててライガをなだめ、女性に深々と頭を下げた。しかし、女性はため息交じりに続ける。
「仕方ないさね。この前もうちの子、試験に落ちちゃってね? きっと冥王が呪いでうちの子の成績を落としたんだよ。全く、ロクでもないったら!」
「それは単純にあんたのガキの頭が悪……んががっ!?」
ライガが言葉を続けようとした瞬間、ノクスが慌ててその口を塞ぐ。
「ああ、なるほどぉ! そうですね。本当に冥王は迷惑ですね~。あっはっは!」
ノクスは女性に笑顔を見せつつ、急いでライガを引きずるようにその場を離れた。
◆◇◆◇
「おいっ! 何だよノクス。離せよっ!」
ライガが手を振り払おうとすると、ノクスはぐっと力を込めて彼の腕を引き止める。
「何言ってるんですかっ! あのままだと君、あの女性に飛び掛かりそうな勢いでしたよ?」
「だって! 何でもかんでも呪いだなんだって……。あの積み荷をぶちまけたのは、ただのオッサンの不注意だろ?」
ライガの声には苛立ちが滲んでいる。
「それは、そうですけど……っ」
「それに、あのオバサンの子供だって、試験と冥王がどう関係してんだよ!」
「そ、それは……。ええっと……っ」
「ふふっ、冥王は色んな人に迷惑かけてるのねぇ~? 凄いわねぇ。冥王の呪いって♪」
ベンチに腰掛けたグリオールが、こちらの様子を見ながら話しかけてきた。
「グリオール……。貴方まで乗っからないでくださ……」
―-ゾクリと、冷たい殺気を感じた。
視線の先に、グリオールの後ろに立つレオンの姿が目に入る。
女性を無表情で眺めている横顔は、一見するといつもの冷静そのものに見える。
……ただ、何となく。
目を細め、女性を睨んでいたような気がする。
グリオールも何かを察したのか、楽しげに口を開いた。
「ねぇ~え? ――レオン?」
突然、自分の名を呼ばれたレオンは、ぴくりと肩を震わせた。
「どうしたのぉ~? 冥王をバカにされたのがそんなに不服?」
レオンの拳がわずかに揺れた気がした。
思い詰めているようなその顔は、何かを隠しているようにも見える。
グリオールはそんな様子を面白がるように、口元をわずかに吊り上げた。
「……なんでも、ありません」
低い声が返ってくるが、普段よりわずかに硬い響きがある。
「クスクス♪ そうよねぇ~? 今のアンタはアタシの可愛いお人形。だから冥王をバカにされたって何も感じない。でしょ?」
挑発めいた声音に、レオンは大きく息を吸い込み、短く答えた。
「……はい。俺はただの、グリオール様の人形です」
レオンの返答は、まるで自分に言い聞かせているようにも聞こえる。
「本当、アンタは素直で良い子ねぇ~。気に入ってんのよ? そういうとこ」
グリオールは、そんなレオンの反応を嘲笑っているようだった。
(気のせいだろうか。レオン君、一瞬とても悔しそうな表情をしたような……?)
そんな二人の会話を、ノクスはただ黙って聞いていた。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。