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第3章
第57話「サイドエピソード:解放の儀」
アルフレイルの中央大聖堂では、4人の聖女が対策を練っていた。
「ひとまず、皆には中央大聖堂の奥へ避難させ、結界を張って守護者達の侵攻を食い止めているところでござぁます」
「いけませんわぁ~! このままでは、中央大聖堂の結界が持ちませんわぁ~」
「ふむ。尚も守護者達の攻撃は続いているようですね。それで、現在の結界の強度は?」
セレスの言葉に促され、作業着姿の青年が画面を見ながら聖女達に報告する。
「現在の結界の強度は60%ッス! 尚も低下中!」
「あの、何とか守護者達を正気に戻す手段はないんでしょうか?」
「それにはまず、≪浄化の術≫であの瘴気を浄化する必要がござぁます。しかし、術を発動しようと表に出れば守護者達に攻撃されてしまうのでござぁます」
「守護者を止めるには瘴気が邪魔。瘴気を浄化するには守護者が邪魔。いけませんわぁ~」
―――ズズゥゥゥウン!!!
その時、大聖堂に大きな地響きが響きわたる。
「現在の結界の強度40%にダウン。まずいッス、いずれここにも守護者がなだれ込んで来るッス。結界が破壊されれば守護者達の流れに乗って漂っている瘴気も襲い掛かってくる。俺ら天人にとってあの霧は猛毒ッス」
作業着姿の青年が、焦った表情で報告を続ける。事態はますます悪くなる一方だ。
「く……っ!」
「こうなっては、致し方ござぁません。解放の儀を行いましょう」
「……解放の儀!? それって、つまり守護者を元の世界へ送り返すということですか?」
「このままではいずれ防御が破られます。その前に守護者達を元の人形に戻し、そのうえで残った瘴気を浄化するのでござぁます」
「自分達の事情で呼んだ守護者達を、都合が悪くなったからと送り返すのですか? でも……っ」
「ふむ。確かにモラルには反しますが、このままではジリ貧です。我々4大聖女には、アルフレイルの天人達を守るデューティがあります」
「いけませんわぁ~! 天人を見殺しにしてはいけませんわぁ~!」
「~~っ! そう、ですよね。その通りです。分かり、ました」
リアナは唇を嚙みしめ、拳を握りしめる。
「お心は決まったようですね。では早速準備を始めます。今回はアルフレイル全土に術の効果を届ける必要がありますので、増幅装置も使用しましょう」
セレスが作業着の青年に目配せすると、「了解ッス!」と敬礼したのち、すぐに会議室を出ていった。
(レオンさん、ライガ君、ごめんなさい……っ。私……)
「リアナ様、ああた一人の責任ではござぁません。これは、今回の事態に対応出来なかった我々の罪。あたくし達も一緒に背負わせてください」
アウラの言葉に、他の聖女達もコクリと頷く。
「……皆さん。ありがとうございます」
◆◇◆◇
中央大聖堂の大会議室、その円卓を取り払い、簡易的な儀式の間として使用することになった。
「セレス様。増幅装置、準備完了ッス! いつでも良いですよ!」
作業着姿の青年が目の前の空中に出現した半透明の画面を操作していた。
「ご苦労様です。では皆さん、これより増幅装置で私たちの術を国全土に広げます。かなり体に負担が掛かりますので、お覚悟を」
セレスの言葉に、3人も覚悟したかのように無言で頷く。
そして、4人がそれぞれ四方に分かれ、持っていた錫杖を掲げるとその中央に少しずつ光が収束していく。
「……リアナ様」
と、アウラがリアナに語り掛ける。
「こんな時になんですが。ああた、やはりお母様に似てきましたね」
「え……?」
「あたくしにとってリリシア様は、良き友人でござぁました。共に聖女になった後も、それはそれは親身に相談に乗ってくださって、それがどれだけ、あたくしの心の支えになったことか」
「アウラ様……」
続いて、セレスも声を掛ける。
「ふむ、私にとってリリシア様は、尊敬すべきティーチャーでした。彼女の豊富な知識と決断力、いつも教えを乞うていました。ずっと、あの背中に憧れていたのです」
「セレス様……」
そして、ローラもにっこりと微笑む。
「私にとってリリシア様は、最高のお姉様でしたわぁ~。包み込んでくれるような優しさ、くじけそうな時はいつも傍で手を取ってくださいましたわぁ~! あの時の温もりは今でも忘れませんわぁ~」
「ローラ様……」
リアナはそこで初めてリリシアが死の間際に言っていた言葉を思い出した。
(“皆を信じて”というお母様の言葉。そうか、そうだったんだ。私は、今までこの人達の外側しか見れていなかったのかもしれない)
リアナは目頭から涙が溢れるのを堪えながら、決意したように顔を上げた。
(道が無くても、歩いて行こう。私達が歩いた跡にこそ、道が出来るのだから)
◆◇◆◇
画面を操作していた青年の声が響き渡る。
「増幅装置――オールグリーン! 目標、アルフレイル全域にセット! 全方位に向けて広域展開!」
その宣告が合図となり、聖女たちが一斉に歩みを揃え、四方から中心に向き合う。
すると、術式に反応して床に大きな円形の陣が眩い光を帯びながら出現した。
最初にアウラが、静かに、しかし深く響く声で詠唱を始めた。
「――その歌声は、永劫の闇を裂き、絶望の底に光を指し示す」
次にセレスが一歩進み出て、澄んだ声を重ねる。
「――全ての魂に慈悲を与えよ、怒りと憎しみを鎮めし者よ」
ローラが杖を高く掲げ、祈るように続く。
「――幾千の祈り、いま此処に結実せん」
最後にリアナが目を閉じ、三人の声に寄り添いながら、静かに、しかし確固たる意思で響かせた。
「――全ての罪と罰、彼らの過ちすらも、汝の歌で赦し、昇華せよ」
四人の声が重なった瞬間、空間そのものが震えた。
円陣は白銀の光柱を放ち、神聖な奔流が全員を包み込んでいく。
「――極大高等神聖術式、≪救済を謳う聖母神≫!」
その叫びと同時に、四人は一斉に床を錫杖の底で叩いた。
反動で先端に付いた輪っかのような装飾品が擦り合わさり、ジャランッと荘厳な音が広間を満たすと、円形の文字が刻まれた陣が一層まばゆく輝く。
そして、互いの杖を天へと掲げ、先端を一点に重ね合わせる。
「――顕現せよ、偉大なる聖母!」
次の瞬間、中心に光球が現れ、天井をすり抜けて空へ昇っていくのが見えた。
「ひとまず、皆には中央大聖堂の奥へ避難させ、結界を張って守護者達の侵攻を食い止めているところでござぁます」
「いけませんわぁ~! このままでは、中央大聖堂の結界が持ちませんわぁ~」
「ふむ。尚も守護者達の攻撃は続いているようですね。それで、現在の結界の強度は?」
セレスの言葉に促され、作業着姿の青年が画面を見ながら聖女達に報告する。
「現在の結界の強度は60%ッス! 尚も低下中!」
「あの、何とか守護者達を正気に戻す手段はないんでしょうか?」
「それにはまず、≪浄化の術≫であの瘴気を浄化する必要がござぁます。しかし、術を発動しようと表に出れば守護者達に攻撃されてしまうのでござぁます」
「守護者を止めるには瘴気が邪魔。瘴気を浄化するには守護者が邪魔。いけませんわぁ~」
―――ズズゥゥゥウン!!!
その時、大聖堂に大きな地響きが響きわたる。
「現在の結界の強度40%にダウン。まずいッス、いずれここにも守護者がなだれ込んで来るッス。結界が破壊されれば守護者達の流れに乗って漂っている瘴気も襲い掛かってくる。俺ら天人にとってあの霧は猛毒ッス」
作業着姿の青年が、焦った表情で報告を続ける。事態はますます悪くなる一方だ。
「く……っ!」
「こうなっては、致し方ござぁません。解放の儀を行いましょう」
「……解放の儀!? それって、つまり守護者を元の世界へ送り返すということですか?」
「このままではいずれ防御が破られます。その前に守護者達を元の人形に戻し、そのうえで残った瘴気を浄化するのでござぁます」
「自分達の事情で呼んだ守護者達を、都合が悪くなったからと送り返すのですか? でも……っ」
「ふむ。確かにモラルには反しますが、このままではジリ貧です。我々4大聖女には、アルフレイルの天人達を守るデューティがあります」
「いけませんわぁ~! 天人を見殺しにしてはいけませんわぁ~!」
「~~っ! そう、ですよね。その通りです。分かり、ました」
リアナは唇を嚙みしめ、拳を握りしめる。
「お心は決まったようですね。では早速準備を始めます。今回はアルフレイル全土に術の効果を届ける必要がありますので、増幅装置も使用しましょう」
セレスが作業着の青年に目配せすると、「了解ッス!」と敬礼したのち、すぐに会議室を出ていった。
(レオンさん、ライガ君、ごめんなさい……っ。私……)
「リアナ様、ああた一人の責任ではござぁません。これは、今回の事態に対応出来なかった我々の罪。あたくし達も一緒に背負わせてください」
アウラの言葉に、他の聖女達もコクリと頷く。
「……皆さん。ありがとうございます」
◆◇◆◇
中央大聖堂の大会議室、その円卓を取り払い、簡易的な儀式の間として使用することになった。
「セレス様。増幅装置、準備完了ッス! いつでも良いですよ!」
作業着姿の青年が目の前の空中に出現した半透明の画面を操作していた。
「ご苦労様です。では皆さん、これより増幅装置で私たちの術を国全土に広げます。かなり体に負担が掛かりますので、お覚悟を」
セレスの言葉に、3人も覚悟したかのように無言で頷く。
そして、4人がそれぞれ四方に分かれ、持っていた錫杖を掲げるとその中央に少しずつ光が収束していく。
「……リアナ様」
と、アウラがリアナに語り掛ける。
「こんな時になんですが。ああた、やはりお母様に似てきましたね」
「え……?」
「あたくしにとってリリシア様は、良き友人でござぁました。共に聖女になった後も、それはそれは親身に相談に乗ってくださって、それがどれだけ、あたくしの心の支えになったことか」
「アウラ様……」
続いて、セレスも声を掛ける。
「ふむ、私にとってリリシア様は、尊敬すべきティーチャーでした。彼女の豊富な知識と決断力、いつも教えを乞うていました。ずっと、あの背中に憧れていたのです」
「セレス様……」
そして、ローラもにっこりと微笑む。
「私にとってリリシア様は、最高のお姉様でしたわぁ~。包み込んでくれるような優しさ、くじけそうな時はいつも傍で手を取ってくださいましたわぁ~! あの時の温もりは今でも忘れませんわぁ~」
「ローラ様……」
リアナはそこで初めてリリシアが死の間際に言っていた言葉を思い出した。
(“皆を信じて”というお母様の言葉。そうか、そうだったんだ。私は、今までこの人達の外側しか見れていなかったのかもしれない)
リアナは目頭から涙が溢れるのを堪えながら、決意したように顔を上げた。
(道が無くても、歩いて行こう。私達が歩いた跡にこそ、道が出来るのだから)
◆◇◆◇
画面を操作していた青年の声が響き渡る。
「増幅装置――オールグリーン! 目標、アルフレイル全域にセット! 全方位に向けて広域展開!」
その宣告が合図となり、聖女たちが一斉に歩みを揃え、四方から中心に向き合う。
すると、術式に反応して床に大きな円形の陣が眩い光を帯びながら出現した。
最初にアウラが、静かに、しかし深く響く声で詠唱を始めた。
「――その歌声は、永劫の闇を裂き、絶望の底に光を指し示す」
次にセレスが一歩進み出て、澄んだ声を重ねる。
「――全ての魂に慈悲を与えよ、怒りと憎しみを鎮めし者よ」
ローラが杖を高く掲げ、祈るように続く。
「――幾千の祈り、いま此処に結実せん」
最後にリアナが目を閉じ、三人の声に寄り添いながら、静かに、しかし確固たる意思で響かせた。
「――全ての罪と罰、彼らの過ちすらも、汝の歌で赦し、昇華せよ」
四人の声が重なった瞬間、空間そのものが震えた。
円陣は白銀の光柱を放ち、神聖な奔流が全員を包み込んでいく。
「――極大高等神聖術式、≪救済を謳う聖母神≫!」
その叫びと同時に、四人は一斉に床を錫杖の底で叩いた。
反動で先端に付いた輪っかのような装飾品が擦り合わさり、ジャランッと荘厳な音が広間を満たすと、円形の文字が刻まれた陣が一層まばゆく輝く。
そして、互いの杖を天へと掲げ、先端を一点に重ね合わせる。
「――顕現せよ、偉大なる聖母!」
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