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軽く準備運動。手と足をグッと伸ばす。これをしないからといって怪我をするわけではないが、ルーティーンとしてやっている。よし、準備おっけーだ。
頭の中にガスコンロをイメージする。ガスが魔力で、ガスコンロが僕、火が魔法だ。コンロの取手を左にひねりきり、コンロに火をつける。
目の前の大木に手をかざす。その手のひらに魔力が集中していくのを感じる。このまま魔法を放つと暴発をしてしまう。コンロを右にひねり、弱火にする。
「『ウィンド』」
詠唱。手のひらの魔力が強風という魔法に姿を変え放たれる。その風によりあおられた木の葉がゆっくりと落ちてくる。
「『スト・ウィンド』」
今度はコンロを左にひねり、強火。
先ほどよりも強く、かまいたちのような鋭い風を創り出す。狙いを定め放ったそれは落ちていく木の葉一つ一つを鋭く二つに切断する。
魔法を使うこと自体は簡単だ。攻撃の対象を決め、攻撃をするという意思を持てば魔法が放たれる。しかし、魔法の威力の調整…弱くしたり、強くしたりするのはかなり繊細な技術が必要で、僕も習得するのにかなり時間を有した。
そんな僕が編み出した技が、イメージ。頭の中でガスコンロをイメージし、そこで火力の調整をすることによって狙い通りの威力の魔法を扱うことができるようになった。
なぜガスコンロかというと、僕がこのことを閃いたのが自宅で鍋パーティーをしている時だったからだ。そりゃ僕だってもっとかっこいいのをイメージしたかったよ。車のアクセルとか。なんだよガスコンロって。庶民かよ。
…庶民だったわ僕。
「っし、いい感じ。『リプレイス・ファイア』」
『中山大志 男性 16歳
属性魔法 炎
MP 24/100
HP 100/100
状態異常 なし
身体の損傷 なし』
ステータスが更新される。2段目の属性魔法が風から炎へ変わっていることが分かるだろう。先ほどの詠唱は属性を変更するときのものだ。しかし、ステータスのMPを見ればわかるように、この魔法は大量のMPを消費するため、実際の戦闘ではほとんど使用されない。
ちなみに、MPはHPと違い、時間経過で回復していくため、完全にMPが枯れることはない。しかし、魔法の使い過ぎには注意だ。
「まぁ、今日は試合ってわけじゃないから大量に使うけどね!『MP補充』からの『ファイア』!」
実際の試合では使えない、練習専用の技であるMPの補充をし、なおもひらひらと舞っている木の葉を焼き尽くす。しかし、イメージが上手くいかず、魔法の勢いが強かったのか、炎は木から木へと移って広がっていく。調子に乗ってスーパーカーのアクセルをイメージし魔力の調整を試みてしまった。僕庶民なのに。
このままでは大火事だ。仮想空間とはいえ山火事を起こすわけにはいかない。
「やばい!?『MP補充』!『リプレイス・アイス』!そして『スト・アイス』!」
属性を氷に変更し、広範囲にわたって氷魔法を唱える。一瞬で冷気が立ち上り、広がった炎をも覆い尽くす1つの氷山が出来上がる。なんとか大惨事は避けられた。ほっと一息。
「『リプレイス・サンダー』」
属性を雷に変え、氷山から少し遠ざかる。さらにMPを全快させる。
「最大火力だっ。『スト・サンダー』!」
バチバチと音を立てながら目にも止まらない速さで雷が駆け巡る。雷は氷山を貫通し、氷山にはポッカリと大きな穴が空いた。
「ふぅ、やっぱ属性間の相性って大きいよなぁ。」
VMWは炎、風、雷、氷の四つの属性を扱うことができるが、それぞれ相性の良い属性、相性の悪い属性がある。その相性はかなり大きく、相性の悪い相手にはよっぽどのことがない限り1 vs 1では勝てないという。
炎は風に強く、風は雷に強く、雷は氷に強く、氷は炎に強い、4すくみとなっている。
「ふふふ、ここまで完璧に魔法を使えるとは、やっぱり僕は最強だ!あっはっは!はーっはっは…虚しい。」
結局、今日も一人でVMW。いや、楽しいよ?現実世界では決して味わうことのできない、魔法を扱う、という楽しさがある。楽しいんだけど、やっぱり1人は虚しい。
柊星高校VMW部。未だに公式戦はおろか、練習試合すら未経験。そんな事実から目を背けるように、今日も僕は1人悲しく仮想世界を堪能する。
頭の中にガスコンロをイメージする。ガスが魔力で、ガスコンロが僕、火が魔法だ。コンロの取手を左にひねりきり、コンロに火をつける。
目の前の大木に手をかざす。その手のひらに魔力が集中していくのを感じる。このまま魔法を放つと暴発をしてしまう。コンロを右にひねり、弱火にする。
「『ウィンド』」
詠唱。手のひらの魔力が強風という魔法に姿を変え放たれる。その風によりあおられた木の葉がゆっくりと落ちてくる。
「『スト・ウィンド』」
今度はコンロを左にひねり、強火。
先ほどよりも強く、かまいたちのような鋭い風を創り出す。狙いを定め放ったそれは落ちていく木の葉一つ一つを鋭く二つに切断する。
魔法を使うこと自体は簡単だ。攻撃の対象を決め、攻撃をするという意思を持てば魔法が放たれる。しかし、魔法の威力の調整…弱くしたり、強くしたりするのはかなり繊細な技術が必要で、僕も習得するのにかなり時間を有した。
そんな僕が編み出した技が、イメージ。頭の中でガスコンロをイメージし、そこで火力の調整をすることによって狙い通りの威力の魔法を扱うことができるようになった。
なぜガスコンロかというと、僕がこのことを閃いたのが自宅で鍋パーティーをしている時だったからだ。そりゃ僕だってもっとかっこいいのをイメージしたかったよ。車のアクセルとか。なんだよガスコンロって。庶民かよ。
…庶民だったわ僕。
「っし、いい感じ。『リプレイス・ファイア』」
『中山大志 男性 16歳
属性魔法 炎
MP 24/100
HP 100/100
状態異常 なし
身体の損傷 なし』
ステータスが更新される。2段目の属性魔法が風から炎へ変わっていることが分かるだろう。先ほどの詠唱は属性を変更するときのものだ。しかし、ステータスのMPを見ればわかるように、この魔法は大量のMPを消費するため、実際の戦闘ではほとんど使用されない。
ちなみに、MPはHPと違い、時間経過で回復していくため、完全にMPが枯れることはない。しかし、魔法の使い過ぎには注意だ。
「まぁ、今日は試合ってわけじゃないから大量に使うけどね!『MP補充』からの『ファイア』!」
実際の試合では使えない、練習専用の技であるMPの補充をし、なおもひらひらと舞っている木の葉を焼き尽くす。しかし、イメージが上手くいかず、魔法の勢いが強かったのか、炎は木から木へと移って広がっていく。調子に乗ってスーパーカーのアクセルをイメージし魔力の調整を試みてしまった。僕庶民なのに。
このままでは大火事だ。仮想空間とはいえ山火事を起こすわけにはいかない。
「やばい!?『MP補充』!『リプレイス・アイス』!そして『スト・アイス』!」
属性を氷に変更し、広範囲にわたって氷魔法を唱える。一瞬で冷気が立ち上り、広がった炎をも覆い尽くす1つの氷山が出来上がる。なんとか大惨事は避けられた。ほっと一息。
「『リプレイス・サンダー』」
属性を雷に変え、氷山から少し遠ざかる。さらにMPを全快させる。
「最大火力だっ。『スト・サンダー』!」
バチバチと音を立てながら目にも止まらない速さで雷が駆け巡る。雷は氷山を貫通し、氷山にはポッカリと大きな穴が空いた。
「ふぅ、やっぱ属性間の相性って大きいよなぁ。」
VMWは炎、風、雷、氷の四つの属性を扱うことができるが、それぞれ相性の良い属性、相性の悪い属性がある。その相性はかなり大きく、相性の悪い相手にはよっぽどのことがない限り1 vs 1では勝てないという。
炎は風に強く、風は雷に強く、雷は氷に強く、氷は炎に強い、4すくみとなっている。
「ふふふ、ここまで完璧に魔法を使えるとは、やっぱり僕は最強だ!あっはっは!はーっはっは…虚しい。」
結局、今日も一人でVMW。いや、楽しいよ?現実世界では決して味わうことのできない、魔法を扱う、という楽しさがある。楽しいんだけど、やっぱり1人は虚しい。
柊星高校VMW部。未だに公式戦はおろか、練習試合すら未経験。そんな事実から目を背けるように、今日も僕は1人悲しく仮想世界を堪能する。
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